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0️⃣『きっかけ学』人生を変える学びはすべて「キッカケ」で始まる【序章】

序章

「きっかけ学」

〜人はなぜ、自ら動き出すのか〜


私は長年、「自立型人材育成」をテーマに、人材開発や組織育成に携わってきた。

研修、面談、メンタリング、コミュニティ、ジョブアサイン。
企業における育成施策を数多く実践しながら、ずっと考えてきたことがある。

それは、

「なぜ人は主体的に学ぶ人と、そうでない人に分かれるのか」

という問いだった。

どれだけ良い研修を用意しても、自ら吸収し成長する人がいる一方で、同じ環境でも全く動かない人もいる。
逆に、たった一つの経験をきっかけに、急に変わり始める人もいる。

私は以前、

「人事ができることは、“きっかけ”を与えることだけだ」

とよく言っていた。

しかし今思う。

それは少し、軽く考えていたのかもしれない。

なぜなら、

「きっかけを与える」

ということ自体が、想像以上に難しく、深く、人間的な行為だからだ。



そんなことを改めて考えるようになったのは、

90歳近い母との出来事

がきっかけだった。

母は昔からガーデニングが好きだった。
庭いじりをし、花を育てることが日課だった。

しかし年齢とともに、外へ出ることがおっくうになっていった。
体力も落ち、準備も面倒になり、次第に庭に出なくなった。

私は最初、

「また花を植えたら?」
「外に出た方がいいよ」

と声をかけていた。

だが、動かない。

当然だったのかもしれない。
好きだったとしても、“最初の一歩”が重くなっていたのだ。

そこで私は、

* プランターを準備し
* 土を入れ
* 苗を買ってきて
* 「植えるだけ」の状態

を作ってみた。

さらに、

「この花、去年きれいやったな」
「これ育ったら楽しみやな」

と、成長を一緒に話題にした。

すると母は、少しずつまた庭へ出るようになった。

その時、私は大きな気づきを得た。

母は、
「やる気がない」のではなかった。

ガーデニングが嫌いになったわけでもない。

ただ、

“動き出せるきっかけ”

が必要だったのだ。


私はこの出来事を通じて、あることを強く感じた。


これは、人材育成でも同じではないか。

企業ではよく、

* 主体性を持て
* 自ら学べ
* 成長しろ

と言われる。

しかし、人は命令では動かない。

むしろ、

* 不安
* 面倒
* 失敗経験
* 孤独
* 自信喪失
* 意味の不明確さ

によって、“動けない状態”になっていることの方が多い。

つまり本当に重要なのは、

「どう育成するか」

より先に、

「どうすれば人は自然に動き出せるのか」

なのではないか。

私はこの問いを、

「きっかけ学」

と呼ぶことにした。


本書で扱う「富士翔大郎メソッド2.0」は、単なる研修論ではない。


研修だけで人は変わらない。
管理だけでも変わらない。
評価制度だけでも変わらない。

人が変わり始めるには、

* その人に合ったきっかけ
* 小さな成功体験
* 信頼できる対話
* 挑戦できる環境
* 仲間との関係性
* 自分なりの意味

が必要になる。

そしてその後に、

* メンタリング
* 面談
* コミュニティ
* ジョブアサイン
* OJT
* 学習循環

といった支援が生きてくる。

本書では、

「人はどうすれば自ら動き出すのか」

を中心テーマに、

* 自律型人材育成
* メンタリング5.0
* 学習循環
* 組織文化
* AI時代の成長支援

までを統合的に整理していく。


人を無理に変えることはできない。


しかし、

“変わり始めるきっかけ”

をつくることはできる。

私は今、その可能性を信じている。

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