わが道を行くM子ふたたび
2025年もあとわずかだなと、感傷的な雰囲気に浸っている今日このごろ、皆さまはいかがお過ごしでしょうか、などという上品な話ではないが、これで今年の厄を落とすつもりでお読みいただければ幸い。
拙作「学校の勉強はできるけど」で、自分ファースト全開の所業を披露した同級生のM子は、その後も相変わらずわが道を行く所業を展開しつづけている。
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飽きっぽい私だが、まじめに野菜を栽培したことがある。苗がたくさんできると友人や知人に分けてあげる。M子にも声をかけたことがあった。
M子はすぐにやってきて苗を一瞥すると「いいやつをちょうだい」と言い放った。私は驚いた。は?〝いいやつを〟だと? 普通なら遠慮がちに「ただでもらうんだから、捨てるようなのでいいわよ」とでも言うべきだろう。
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やや遠方に住んでいるT郎は、趣味で栽培している果物が豊作だった。T郎は、私が住む地区(T郎の出身地でもある)の同級生に分けてあげたくてM子のもとに持ちこみ、配ってほしいと頼んだ。
しかしM子は、自分の分をちゃっかりもらったうえで、「あたしは忙しいから凡筆堂くんに頼んで」と断った。T郎はしかたなく私のところへ持ってきた。私は同級生に配り歩いた。ちなみに、私はM子より忙しい。
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私は今年の三月まで、地元の神社の氏子総代(選挙で任命)を仰せつかっていた。祭りでは幟(のぼり)立てをはじめ、拝殿の清掃や飾りつけなどの指揮もする。
M子は偶然にもその年度の祭り世話人(隣保班単位での回り持ち)の一人だった。いつもは拝殿担当だが、何を思ったか幟立てのところへ来た。
そして、それはああじゃないのか、これはこうじゃないのかとか、あら、そういうふうにするのねとか喋り通していた。M子以外の人たちは要領を心得ている。M子は邪魔以外のなにものでもなかった。
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私は四月から隣保班の班長をしている。各戸あての配布物があれば郵便受けに入れる(もちろん、ただ入れるだけで用件が済むものに限る)。郵便受けに入れるのは郵便物だけという論はさておき、私はM子宅の郵便受けに複数の印刷物を入れた。
私にとっては不運なことにM子は在宅だった。M子は笑顔でご苦労さまと言ったあと、入れ方についてのいらぬ講釈を展開した。
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夏のはじめ、M子宅の近くで呼び止められた。年度が改まっていたから私は氏子総代を退任していたし、M子も祭り世話人の役を終えていた。
M子は過日、新総代と雑談をしていて予算の話になった。それについて私の意見を聞きたいと言った。面倒だったので、新任と話をすればいいじゃないかと突っぱねた。
私もM子も役から解放されている。同級生からの頼みごとは断るくせに関係ないことにちょっかいを出す。
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わが道を行くM子は地区の人たちによく知られている。一言二言意見してやりたいという人もいるが、面倒だから誰も言わない。
ただ、M子が悪人でないのは確かで、それが救いといえば救いだが、そんなM子にストレスはあるのだろうか。わが道を行くM子という言い方もいいが、ストレスフリーM子というのもいいかな。
