芋出し画像

特定ちゃん❀ 第6話 『暎食』

 城厎真は、最近ずっず誰かに芋られおいる気が
 しおいた。
 駅。
 コンビニ。
 暪断歩道。
 振り返るたび。
 芖界の端で、人圱が消える。
 気のせいかもしれない。
 だが。
 特定ちゃんを远い始めおから、
 “偶然”が増えすぎおいた。
 スマホを開く。

 今日も誰かが燃えおいる。
 謝眪。
 切り抜き。
 眵倒。
 次から次ぞず流れおくる。
 芋たくもないはずなのに、指は止たらない。 

 深倜。
 匿名Discordサヌバ。
 特定班コミュニティ。
 城厎は、朜䌏甚アカりントでログを远っおい 
 た。

《投䞋完了》
《切り抜き回したす》
《拡散班お願いしたす》
《AI画像できた》

 異様だった。
 圹割分担。
 連携。
 速床。
 自然発生の炎䞊に芋えお。
 実際は。
 誰かが流れを䜜っおいる。
 城厎は、停アカりントで少しず぀内郚ぞ朜っお
 いく。
 炎䞊ネタ。
 裏情報。
 切り抜き玠材。
 “䜿える人間”を挔じる。

 その時。
 DMが届いた。

《無胜な䞀般人のフリ、浮いおたすよ》

 城厎の指が止たる。
 背䞭が冷える。
 数秒埌。
 続けおもう䞀通。

《目的が良く分かりたせんが、
 䜕か知りたいこずがあるのなら、䌚いたす》

 差出人【M】

 指定された堎所は、雑居ビルだった。
 五階。
 窓の無い郚屋。
 暗い。
 PCモニタヌの光だけが浮いおいる。
 倧量の画面。
 炎䞊動画。
 謝眪配信。
 切り抜き線集゜フト。
 サムネ䞀芧。
 人の泣き顔が䞊んでいた。

 「どうも」

 男が笑う。
 長い髪。
 现い身䜓。
 眠っおいない目。
 だが。
 劙に穏やかだった。

 「䞉浊です」

 本名かどうかは分からない。
 この界隈では、
 名前なんお食りだった。

 顔出し無し。
 耇数の切り抜きch。
 転茉アカりント。
 たずめサむト。
 名前は違う。
 運営者も別人を装っおいる。

 だが。
 裏偎では、
 党郚繋がっおいた。
 界隈では、
 “こい぀が回すず燃える"
ず蚀われおいる。
 衚には出ない。
 だが。
 間違いなく。
 炎䞊の䞭心にいる人間だった。

「単刀盎入に聞きたいんだが、
 特定ちゃんっお、結局なんなんだ」

 城厎が聞く。
 䞉浊は少し笑った。

「結論から話したすね」

 怅子ぞ深く座り盎す。

「䌚瀟みたいなもんっすよ」

「䌚瀟」

「圹割あるんで。

 掘る奎、煜る奎、たずめる奎、拡散する奎」

「  トップは」

 䞉浊は少し黙った。

「䌚ったこずないっす」

「䌚ったこずない」

「でも、存圚しおいる」

 その瞬間だけ。
 䞉浊の顔から笑みが消えた。

「䞊は、もっず静かっすよ」

 城厎が眉をひそめる。

「静か」

「俺らみたいなのは、

 結局“音”出しおる偎なんで」

 䞉浊はモニタヌぞ芖線を向けたたた、

 小さく笑った。

「煜っお、拡散しお、燃やしお」

「でも、本圓に䞊の人間っお、そういうこずしな
 いんすよ」

 数秒の沈黙。

「気づいた時には、党郚終わっおる」


 䞉浊は煙草を咥えながら、線集画面を開く。
 泣いおいる配信者。
 謝眪。
 炎䞊。
 切り抜き。
 サムネ。
 党郚フォルダ分けされおいる。
 気持ち悪いくらい敎理されおいた。

「なんで、そこたでやる」

 城厎が聞く。

「金か」

 䞉浊は少し笑った。

「違いたすよ」

 モニタヌの光。
 その目だけが、劙に茝いおいる。

「俺は、もっず喰いたいんですよ」

 城厎が黙る。
 䞉浊は、恍惚ずした顔で続けた。

「情報を」

「喰らいたいんすよ。人の悪意ずか、本音ずか」

 静かな笑い。

「人の心が折れる音ずか 」

 䞉浊はモニタヌを芋぀めたたた、
 ぜ぀りず蚀った。

「炎䞊っお、人の本質が暎かれる瞬間じゃないで
 すか」

 だが。
 䞉浊は、ただの狂人ではなかった。

「今の䞊、叀いんすよ」

 モニタヌを芋ながら蚀う。

「時代遅れなんです」

「  どういう意味だ」

「炎䞊っお、もっず䞊手く料理できるんですよ」

 城厎は気づく。
 䞉浊。
 こい぀。
 ただの晒し狂いじゃない。
 俺たちずは違うものを芋おいる。

「俺、蚌拠持っおるんすよ」

 䞉浊が笑う。
 USBメモリ。
 Discordログ。
 内郚資料。
 炎䞊候補者リスト。
 投皿タむミング。
 拡散指瀺。
 党郚入っおいた。
 城厎の顔色が倉わる。

「欲しいですか」

 䞉浊は軜くUSBを振った。

「必ず出しおくれるなら、提䟛したすよ」

「  出す」

「蚘事っすよ」

 䞉浊は笑う。

「俺、ただ朰したいわけじゃないんで」

 その目。
 欲望に濁っおいた。

「今の䞊、匕きずり䞋ろしたいんす」

 䞉浊は、怅子ぞ深く座り盎した。

「トップが消えれば、次は俺らの時代だ」

 城厎は理解する。
 䞉浊は。
 特定ちゃんを朰したいんじゃない。

 “奪いたい”のだず。

 その倜。
 城厎は垰宅埌、USBを芋返しおいた。
 そこには。
 炎䞊が“蚭蚈”されおいる蚌拠が䞊んでいた。

 投皿時刻。
 拡散順。
 AI画像䟝頌。
 煜り文。
 党郚。
 管理されおいる。
 自然発生じゃない。
 䜜られおいる。

 その時だった。
 スマホ通知。
 倧量。
 止たらない。
 SNSを開く。
 そこにいた。
 䞉浊だった。

“芋る偎”の人っお、
自分は燃えないず思っおるよね〜♡

 添付画像。

 䞉浊の顔。
 本名。
 䜏所。
 そしお。
 過去の犯眪歎。
 未成幎ずの金銭トラブル。
 瀺談曞。
 削陀枈み掲瀺板ログ。
 匿名時代の脅迫DM。

 党郚。

 綺麗に䞊べられおいた。
 城厎の背筋が冷える。

「  早すぎる」

 䞉浊ぞ電話。
 数回目で繋がる。

「  あヌ」

 䞉浊は笑っおいた。
 だが。
 その声には、少しだけ疲れがあった。

「やっぱ芋おたか」
「逃げろ」
「もう逃げおたすよ」

 埌ろ。
 電車音。
 駅か。

「でもたあ」

 䞉浊は小さく笑う。

「勝機はある思ったんですがね、読みが甘かった
 っす」

 その時。
 城厎のスマホぞ、新しい投皿通知。
 開く。
 そこには。
 䞉浊ず城厎が䌚った日時。
 店名。
 監芖カメラ画像。
 党郚貌られおいた。
 城厎の喉が鳎る。
 䞉浊が静かに蚀った。

「  あヌ、そういうこずか」
「䜕だ」
「目的は俺を消すこずじゃない ハハッ」

 䞉浊は笑う。
 也いた笑いだった。

「倚分 あんたに芋せたいんだ」
「ここたで芖えおるっお」

 沈黙。
 そしお。
 䞉浊が初めお、少しだけ䜎い声になる。

「倚分あんたもたずいだろうから、逃げた方がい
 いっすよ」
「  マゞで党郚芖えおるから」

 通話が切れる。
 翌朝。
 䞉浊のアカりントは、党郚消えおいた。
 切り抜きch。
 たずめサむト。
 Discord。
 党郚。
 痕跡ごず消えおいる。
 SNSでは。

《切り抜き垫ざたぁ》
《因果応報》
《次は誰》
《いや普通に怖いだろ》
《最近芋ないず思ったらこれか》
《さすがにやりすぎ》
《でも自業自埗感ある》
《なんか可哀想になっおきた》
《ネットっお怖》
《次の燃料ただ》

 そんな蚀葉だけが流れおいた。

 深倜。
 城厎は、䞀人でPCを芋おいた。
 静かな郚屋。
 ノむズ。
 その時。
 匿名ファむルが送られおくる。

ファむル名。
【RECRUIT】


 城厎の顔が固たる。
 ゆっくり開く。
 䞭には。

《おめでず♡ キミ、才胜あるよ〜。入る笑》

 そこで画面が萜ちる。
 真っ暗になったモニタヌに。
 城厎自身の顔だけが映っおいた。


぀づく


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