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SMIC 四半期売上30億ドル突破

中国最大の半導体ファウンドリ(受託製造企業)SMIC(中芯国際集成電路製造)が、最先端デバイスで競合と売上高を競っているわけではない、ということは十分認識していますが、それでも、工場がほぼフル稼働で売上を伸ばしていることは注目に値します。

下記の XenoSpectrum の記事を要約・考察しました。


要約

SMIC の Q2 2026 決算が歴史的だった

  • 売上
    25.05億ドル (Q1) → 30.05億ドル(Q2)
    前四半期比+20.0%
    。30億ドル超えは初。

  • 出荷
    8インチ換算ウェハー 250.9万枚 → 286.9万枚 +14.4%増

  • 能力
    月産能力は 107.8万枚 → 109.6万枚と +1.7% しか増えていない。
    稼働率 93.1% → 93.7%

  • 単価
    参考値のウェハー1枚あたり売上 約938ドル → 約991ドル +5.7%増
    数量だけでなく ASP と製品構成改善で粗利率も 20.1% → 25.3% に改善。

つまり、工場を大きく増やしたのではなく、高稼働のままより高く売れる製品をより多く出荷して 20% 成長した。

順位の事実関係

  • TrendForce 集計
    世界ファウンドリ TOP10 合計は前年比 +11.5% で 534.9億ドル と過去最高。

    • 1位 TSMC 約402億ドル 72.5%

    • 2位 Samsung Foundry 32.6億ドル 5.9%

    • 3位 SMIC 30.05億ドル 5.4%

    • 差は約2億5000万ドル、0.5ポイントまで縮小。

  • ただし調査会社で定義が違う

    • Counterpoint Research
      Samsung 7% vs SMIC 5%で差 2ポイント。
      Samsung は自社向けロジックICを含めて集計していると注記あり。

    • TrendForce は Samsung の社内需要をどう扱ったか非開示。

  • SMICの世界3位は今回が初ではない
    Counterpoint の系列では少なくとも 2025年Q3 から3位。GlobalFoundries (GF) が落ちたから上がったわけでもなく、GF も Q2 は売上 +9% / 出荷 +8%で成長している。

何が売れたか

  • 需要ドライバー
    TrendForce は PC の前倒し調達、AI 周辺 IC、サーバーネットワーク、メモリ不足に伴う NAND / NOR フラッシュメモリの受託製造を指摘。

  • SMIC 公式
    用途別は民生機器 44.2%、スマホ 16.9%、産業・自動車 16.5%、コンピューター・タブレット 15.6%。地域別で中国が 90.2%

  • 口径
    ウェハー売上の 78.2% が12インチ。ただし 12インチ = 先端プロセスというわけではない。

考察

数字の接近と技術の接近は別物です。

① 売上接近 ≠ 技術接近

  • SMIC はプロセス世代別の売上構成を一切開示していない

  • 対して TSMC は Q2 でウェハー売上の 77% が 7nm 以下 (2nm 3%, 3nm 30%, 5nm 33%, 7nm 11%) と明確。

  • SMIC は 2020年から米商務省 Entity List 対象で、10nm 以下に固有の装置・技術は輸出許可が原則不許可。全面禁輸ではないが、競合と同じ土俵ではない。

  • したがって「Samsung に追いついた=AI 向け最先端 GPU を作れるようになった」という解釈は誤り。

② 成長の本質は「中国の成熟ノードの地産地消」

  • 売上の 9割 が中国。米中対立下でのサプライチェーン内製化と、民生・産業機器の広い裾野需要、そしてフラッシュ逼迫という追い風を総取りした成長。

  • 最先端ではなく、28nm〜成熟ノードで高稼働・高ASP化に成功したモデル。粗利率が 25% 台に乗ったのはこの戦略が収益性を伴ってきた証拠。

③ Samsungとの差が示す競争の非対称性

  • Samsung Foundry は売上自体を単独開示せず。Q2 は HBM 用ベースダイと米国顧客の受注で改善したと説明。下期は第2世代 2nm モバイル、4nm  LPU(言語処理ユニット)、HBM ベースダイを拡大計画。

  • つまり、SMIC が「中国+周辺 IC+成熟ノード」で伸びる一方、Samsung は「HBM+2nm」で伸びる。同じ 2.5 億ドル差でも、中身の競争領域が違う。

④ 今後見るべき指標

記事が最後に指摘する通り、Q3 の注目点は売上順位ではない。

  • SMIC の Q3ガイダンス
    売上 +2〜4%、粗利率 26 〜 28%。Q2 の +20% から急減速。稼働率 93.7% でこれ以上伸ばすには新工場の立ち上げが必要で、出荷余力を作りつつ単価を維持できるかが試金石。

  • TrendForce 予測では Q3 も旗艦スマホと次世代 AI / HPC が市場を牽引。だがその恩恵は TSMC には先端 XPU、Samsung には 2nm / HBM、SMIC には民生周辺 IC と、同じ需要でも行き先が分かれる

まとめ

SMIC の 30億ドル突破は、中国ファウンドリが「量産成熟ノードの覇者」として確立した象徴であり、米規制下でも収益性のある成長モデルを作れた証明です。Samsung との差 0.5 ポイントという数字はセンセーショナルですが、それはファウンドリ市場の定義と中国市場の特殊性が生んだ「売上の接近」であって、「最先端プロセスの接近」と混同してはいけない、というのがこの記事の冷静な視点です。


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