ミートアップで見えた、AI時代の建築ビジュアライゼーションの現在地
先日Kviz主催のミートアップに参加してきました。
会場の最寄りは虎ノ門ヒルズ駅。少し早めに到着したので、周辺を歩きながら建築やランドスケープを眺めていました。

そんな中で参加した今回のミートアップでは、3組の登壇者がそれぞれ異なるテーマで講演されました。内容はさまざまでしたが、振り返ってみると共通していたのは、AIが普及する時代に、人は何を担うのかという問いでした。
各セッションの内容を紹介するだけでなく、それぞれを通して私自身が考えたこともあわせて整理してみます。
Autodeskのセッションから見えたこと
AIによってビジュアライザーの役割はどう変わるのか
最初のセッションでは、Autodeskのお二人が、設計経験者とビジュアライザー経験者という異なる視点から、AI時代のビジュアライザーの役割について対話形式で紹介されました。
テーマは、AI時代におけるビジュアライザーの役割です。
これまで設計では、抽象的なアイデアと具体的な形を何度も往復しながら検討が進められてきました。その具体化を支えてきたのがビジュアライザーでした。しかし現在は、AIによって設計者自身が企画段階からイメージを具体化できるようになりつつあります。
実際のデモでは、AIによるアイデア出しから始まり、Formaでのボリューム検討や敷地計画、環境シミュレーションを経て、RevitやRhinoへつながる一連のワークフローが紹介されました。
単なる機能紹介ではなく、設計業務の流れに沿って説明されていたため、Formaをどのように使うのかが非常に理解しやすい構成でした。
AIが生成したアイデアがそのままRevitのモデルにつながっていく様子を見て、抽象から具体へ進むスピードは今後さらに速くなると感じました。
一方で、いくつか疑問も残りました。
本当にすべての設計者が企画段階からAIを積極的に活用するのでしょうか。そして、AIが提案した案を採用する判断や、AIへ読み込ませる設計データの品質は、誰が責任を持って担保するのでしょうか。
AIができることだけではなく、安全に運用するための仕組みも同じくらい重要になっていくように感じました。
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アクアクリエイティブラボの話から考えたこと
建築Vizで培った技術は、建築だけのものではない
2つ目のセッションでは、建築CGや映像制作を手掛けるアクアクリエイティブラボのお二人が登壇されました。
実績として紹介されたのは建築CGだけではなく、ナレーションや実写、演者、ドローン撮影などを組み合わせることで、より伝わる映像を制作しているという内容です。
また、VPと呼ばれる、背景をCGで制作し、その前で演者が演技を行う映像制作についても紹介されました。
VPについては今回初めて知った分野でしたが、印象に残ったのは、建築CGで培った技術は、そのまま他分野でも活かせるという考え方でした。
空間を構成する力。カメラアングル。ライティング。そして、クライアントとイメージをすり合わせるコミュニケーション。普段当たり前に行っている仕事は、実は建築だけに閉じた技術ではありません。
AIの進化によって建築ビジュアライゼーションの将来に不安を感じる人も少なくありません。しかし、仕事の内容が変わったとしても、自分たちが積み重ねてきた能力そのものが失われるわけではない。
そう考えると、新しい分野へ目を向けることにも可能性を感じました。
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楢原さんの講演から考えたこと
AI時代に最後まで人に残るもの
最後は、海外の大学で教鞭を執る楢原さんによるセッションでした。AIを活用した数多くの研究事例が紹介されました。
BIMによる空間検証、AIによる空間評価、人流シミュレーション、AIを活用した映像制作など、どれも一つの講演として成立するほど内容の濃いものでした。
その中で特に印象に残ったのは、AIは設計者に代わる存在ではなく、設計を支援する存在になるという考え方です。
設計の各段階でAIを使い分けながら、対話を重ねてイメージを具体化していく。一方で、AIが提案した案を採用しないという判断も、人が行います。
つまり、人に残る役割は、AIの提案を選び、検証し、価値を判断することです。
さらに印象的だったのは、最後に語られた言葉でした。
AIによって平均的な提案は誰でも作れるようになる。だからこそ、これから価値になるのは、自分は何を表現したいのか。
前例をなぞるのではなく、前例のないものを生み出そうとする主体性が、これまで以上に重要になるという話でした。
懇親会では少し楢原さんとお話しする機会もありました。
AutodeskがAIを導入する上で、まずは安全に活用できる土台づくりを重視しているのではないかという自分の考えをお伝えしたところ、「勉強させてください」と返してくださいました。
最前線で研究されている方でありながら、自分とは異なる視点にも耳を傾ける姿勢がとても印象的でした。
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3つのセッションに共通していたこと
3つのセッションは、それぞれ異なるテーマを扱っていました。しかし共通していたのは、AIが人の仕事を奪うかどうかではなく、人の役割をどう変えていくのかという視点でした。
AIは、設計を支援する。建築Vizで培った能力は、新しい分野でも活かせる。そして最後に残るのは、人が何を表現したいのかという主体性です。
私自身は、そこにもう一つ付け加えたいことがあります。
AIが設計を支援する時代だからこそ、そのAIが安心して利用できるデータや運用環境も同時に整備されなければなりません。AIの進化は、機能だけで語れるものではありません。
技術と運用、その両方が揃って初めて、建築の現場で安心して使えるAIになる。
今回のミートアップは、その未来を考える良いきっかけになりました。
