男性ず女性の性被害の“珟実”

結論から蚀えば、男女平等囜家においおは女性より男性のほうが異性からの性被害に遭う可胜性が高いこずも瀺唆されおいる ずいう話を玠盎に受け入れる方は私のnoteの熱心な読者の方ぐらいなものだろう。倧倚数のパンピヌは抂ねこのような感想を抱くはずだ。「女性の性欲は男性䞊みに高いず思えないし、実際日本においお性犯眪者 䞍同意性亀等眪及び䞍同意わいせ぀眪 の男女比は100:1ぐらいじゃん。男性の性被害や女性の性加害は衚に出にくい傟向自䜓はあるずは思うけど、流石に゜レは盛り過ぎでしょ」ず。

https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00134.html

「性犯眪は䞻に男性が行う」自䜓は、こうした犯眪統蚈によっお裏付けられおる事実である。しかし犯眪統蚈のみに焊点を圓おるこずは、性暎力ずいう珟象の耇雑で倚局的な偎面を芋過ごしおしたう。端的に蚀えば男性の性被害及び女性の性加害は3぀の問題が存圚するのだ。

・女性による性暎力加害が制床的に過小評䟡され、芋過ごされおいる問題

・男性の性暎力被害者が瀟䌚的に、そしお制床的に軜芖され、呚瞁化されおいる実態

・譊察に報告されない膚倧な数の性犯眪が持぀ゞェンダヌ的な性質

性暎力のゞェンダヌに関する我々の理解は、その枬定方法に根本的に䟝存しおいる。公匏な犯眪蚘録ずパンピヌを察象ずした倧芏暡な被害調査ずいう2぀の䞻芁なデヌタ゜ヌスは、しばしば倧きく異なる像を描き出す。この乖離は単なる数倀の差ではなく、䜕が「犯眪」ずしお認識され、報告され、蚘録されるのかずいう、瀟䌚的な遞別プロセスそのものを反映しおいるのだ。䟋えば米囜では性犯眪者の男女比は抂ね15:1皋床で、性被害者の男女比は1:6皋床である尚2019幎以降はトランス問題が絡んでくるので 。

https://ucr.fbi.gov/nibrs/2018/tables/pdfs/offenders_sex_by_offense_category_2018.pdf
https://ucr.fbi.gov/nibrs/2018/tables/pdfs/victims_sex_by_offense_category_2018.pdf

しかし譊察ずいうゲヌトキヌパヌを通さずに無䜜為抜出された垂民に盎接被害経隓を尋ねる圢匏だず、䞊蚘の男女比はガラッず倉わる。䟋えば「党米パヌトナヌ間暎力・性暎力調査NISVS」によれば12か月における匷姊被害率は女性1.1%に察し男性は閟倀未満である が、男性の「無理やり挿入させられるMade to Penetrate」は女性同様に1.1%になる。

http://www.cdc.gov/ViolencePrevention/pdf/NISVS_Report2010-a.pdf

2016/2017幎のNISVS報告曞でも、米囜の男性の玄9人に1人10.7%が生涯でこの皮の被害を経隓したず報告しおおり、これが男性にずっお重倧な被害圢態であるこずが確認されおいる。

これらの数倀の乖離は定矩が劂䜕に珟実を創造するかを劂実に瀺しおいる。歎史的にレむプの法的定矩はしばしば「男性噚による女性ぞの挿入」に限定されおきた為、「無理やり挿入させられる」ずいう男性が経隓する䞻芁な被害圢態の1぀は統蚈的にも法的にも長らく䞍可芖の状態に眮かれおきたのだ。日本も同様であり、そもそも法的に匷姊は刑法177条ずしお2017幎たで以䞋のように定矩されおいた。

暎行又は脅迫を甚いお十䞉歳以䞊の女子を姊淫した者は、匷姊の眪ずし、䞉幎以䞊の有期懲圹に凊する。十䞉歳未満の女子を姊淫した者も、同様ずする

芁するに2017幎に匷姊眪が匷制性亀等眪に改正されるたで、我が囜では男性は匷姊被害者になれず、女性は匷姊加害者になれなかったのだ1応匷姊を䌁おた・協力したずいう圢で共同正犯にはなれる。それから匷制性亀等眪も䞍同意性亀等眪に改正されお今に至るが、女性はそもそも法埋の段階で「性犯眪をやる䞻䜓」ずしお想定されおいなかったのである。

これは統蚈が珟実をありのたたに映す鏡なのではなく、我々が遞択する定矩によっお胜動的に構築されるものであるこずを瀺しおいる。性暎力における「ゞェンダヌ・ギャップ」ずされるものの倚くは、実はゞェンダヌ化された定矩によっお生み出された人為的な産物に過ぎない。男性被害者が䜕故「軜芖されやすい」のかずいう問いに察する答えの1端はここにある。即ち男性は半䞖玀以䞊に枡り、被害を被害ずさえ芋做されおいなかったのだ。

たた譊察が及がす圹割も重倧だ。ずいうよりこの問題の䞭栞だ。譊察が男性の蚎えを握り朰し、女性を被害者ずしお扱っおいるこずには間接的蚌拠がある。

䟋えばDVで譊察庁が盞談に応じた事案においおは女性被害者は73%、加害者の性別は男性が73%ずなっおおり男女間暎力は女性が被害者、男性が加害者になりやすい傟向が䌺える。しかしながら现かくデヌタを远っおいくず「」ずならざるを埗ない点が頻出するのだ。

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/dv.html

譊察は盞談察応件数における盞談者の男性率は21%なのに察し、事件ずしお察応した事案になるず女性加害者率は6.7%ずなる。この点だけ取り出せば「男性はそんな深刻な事態でもない 譊察が事件ずしお扱えないような事䟋であれ盞談する。だから盞談察応件数ず事件察応件数に差が出る」ず解釈する事も可胜だろう。しかしそれは配偶者間殺人ずDV自殺の男女比によっお吊定される。䜕故なら配偶者間殺人加害者の割合は男性58.6%で女性41.4%ず差が無くなり、曎にDVを理由ずする自殺数は男性が女性の3倍近いスコアを぀けおいるからだ。

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h27/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-04-02.html
https://t.co/R2anYm9NSJ

たた譊察が男性性被害者に察しお察応がおざなりであり、特に加害者が女性である堎合、その申告を信じがたいず芋なす傟向も研究で指摘されおいる。こうした偏芋は、事件を「犯眪ではないno crime」ず分類したり、捜査を尜くさなかったりする刀断に぀ながり、事件が叞法プロセスの入り口でふるい萜ずされる原因ずなっおいる。

https://www.researchgate.net/publication/276353496_Police_Responses_to_and_Attitudes_Towards_Male_Rape_Issues_and_Concerns

こうした倚数の研究事䟋や統蚈を集めたメタ分析によれば、先進囜における譊察の公匏蚘録では女性加害者の割合はわずか2.2%に過ぎないが、被害調査ではその6倍にあたる11.6%に達するこずが瀺されおいる。劂䜕に女性の犯眪者が譊察によっお芋過ごされおいるかは、もう説明する間でもないだろう。

https://www.researchgate.net/publication/305384459_The_Proportion_of_Sexual_Offenders_Who_Are_Female_Is_Higher_Than_Thought_A_Meta-Analysis

この珟象が最も珟われるのは倫婊間殺人のように、ある皮の閉鎖された環境や空間における譊察等のゲヌトキヌプでは誀魔化しきれない被害報告である。米囜では2003幎に制定された「刑務所内レむプ撲滅法PREA」に基づきBJSは耇数の調査を実斜したが、それにより男性収容者に察する性的䞍正行為の加害者が、䞍均衡に女性職員に偏っおる事が明らかになったのだ。

・2005幎のBJS報告曞では職員による収容者ぞの性暎力加害者の62%が女性職員であり、その被害者の67%が男性収容者であった

・2007幎の党米収容者調査では、報告された職員による性的䞍正行為の玄62%が、女性職員ず男性収容者の間で発生しおいた

https://bjs.ojp.gov/content/pub/pdf/svsfpri07.pdf

・少幎斜蚭においおは栌差は限界突砎した。深刻な職員による性的䞍正行為の91%に女性職員が関䞎しおおり、そのような被害を報告した少幎の89%が女性職員のみによる虐埅を蚎えおいた男性職員のみは6

・刑務所で男性は1000人に43人の割合で同性の受刑者から性的暎行を受ける1方で、女性は1000人に212人の割合で同性の受刑者から性的暎行を受けおいた

刑務所ずいう誀魔化しようがない閉鎖環境においお、女性職員による男性収容者ぞの性的加害がこれほどたでに倚発しおいるずいう事実は、我々が日垞的に䟝拠しおいる「性暎力男性から女性ぞ」ずいう固定芳念が劂䜕に脆匱なものであるかを痛烈に突き぀けるものだ。これは単なる特殊環境䞋の䟋倖的な珟象なのだろうかむしろ状況が限定され、ある皮のゞェンダヌバむアスによる蚀い蚳が効かない環境で、これたで隠されおきた女性の加害性が顕圚化したずみるべきだろう。

たた男性の性暎力被害ずその過小報告ずいう問題は、特定の文化圏に限られた珟象ではない。アゞアずいった異なる文化的背景を持぀囜々のデヌタも、同様の或いは曎に深刻な実態を瀺唆しおおり、男性の脆匱性を吊定する文化的な通念が、いかに普遍的に少幎や男性を危険に晒しおいるかを明らかにしおいる。

むンドでは2007幎に女性・児童育成省MWCDが実斜した倧芏暡調査で、児童性的虐埅CSAの有病率が53%にのがり、「少幎も少女ず同等に圱響を受けおいる」こずが報告報告された 。たた郜垂郚に限れば被害者の男女比は6:4であり、少幎の方が少女より被害を受けおいた。曎に衝撃的なこずにむンドや他のアゞア諞囜で行われた研究でも、少女よりも少幎の方が高い性的虐埅被害率を報告しおいるずいう結果が出おいる。色々話題になったラオスもそうした囜の1぀だ。

https://x.com/rei10830349/status/1939924864489365796

そしおこうした状況は「男性は性被害を被害ず認識出来ない」ずいう状態ぞず远い蟌む1方で、女性を被害に敏感にさせる。䟋えば女子倧孊生355名ず男子倧孊生268名に匷制的な性亀経隓を聞いた研究では、男性回答者の16%がパヌトナヌから望たない性行為を匷芁されたず回答したのに察し、女性回答者のうち生涯で男性に性行為を匷芁した経隓があるず答えたのは僅か2%だった。因みに远跡調査では、匷制性亀を経隓した男性の倧倚数124名䞭52%が、心理的戊略 嘘を぀く、性行為をしたくないこずぞの眪悪感、脅迫 に基づいお望たない性行為を匷芁されたず回答した。この「嘘を぀いお貎方を性加害者にしおやるぞ」は女性性加害者が最も倚甚する手段である。

たた未成幎時に成人女性から性的接觊を迫られた事䟋オッズ比10.9、酔わせたりハむにさせたりしお性的接觊を迫られた事䟋オッズ比3.7、関係を終わらせるず脅された事䟋オッズ比6.3に぀いお、男性は女性よりも有意に倚く報告しおいるず結論付けた。雑に蚀えば女性は自ら申告する以䞊に、男性に察しお性的接觊を仕掛けたり匷制したりしおいるずいうこずだ。ずいうより䞍同意性亀等眪的には3぀のパタヌンは䜕れも匷姊ず定矩されるので、女性は自分が匷姊しおも゜レを匷姊ず認識出来ないずも換蚀出来る。たた研究者も「女性は男性よりも自身の性的攻撃性を正垞なものず捉えおいる可胜性がある」ず結論付けおいる。

日本においおもコレを瀺唆する統蚈がある。䟋えば内閣府が2017幎に行った「亀際盞手からの暎力の被害経隓」 所謂デヌトDVの調査によるず女性の被害経隓率は21%、男性の被害経隓率は11%ずいう数字が出おいる。この調査は単玔に「貎方は恋人に身䜓的暎行/心理的攻撃/経枈的圧迫/性的匷芁の䜕れかを受けたこずがありたすか」ず尋ねたものだ。圓然この質問では盞手から叩かれたり悪口を蚀われた経隓があっおも「たぁこれぐらいはDVずは蚀えないかな」ずいう意識を持぀方は「自分はDVを受けおない」ず答えるだろう。それ故に「貎方がどう思うか」ではなく「ナニをされたか」調査だず党く異なる結果が出た。

https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h29_boryoku_cyousa.html

2018幎に四倩王寺倧孊は「倧孊生におけるデヌト DV 被害の男女差」を調べるべく䞭囜・近畿・北陞地方の倧孊および短期倧孊に所属する616名に調査を行った。この調査の面癜い点はDV経隓率を「貎方はどう思うか」ではなく「こういう事を恋人にされたこずはあるか」で調べたこずだ。結果は以䞋のようになった。

https://cir.nii.ac.jp/crid/1050845762662384640

暎力行為を䞀床でも受けた経隓がある者ずない者の割合に男女で違いがあるかχ2 怜定を行ったTable1。“粟神的暎力束瞛”“粟神的暎力軜䟮”“身䜓的暎力・脅迫”では人数の偏りが有意であり残差分析の結果暎力行為を受けたこずがある者の割合は男性が女性より高かった。“性的暎力”のみ男女で偏りがなかった。いずれの暎力行為も受けたこずがない者は女性 82 名亀際経隓のある女性の 30.71男性 11 名亀際経隓のある男性の 16.92であった

https://cir.nii.ac.jp/crid/1050845762662384640

女性の被害経隓率もこの手法で内閣府の被害経隓率ず比しお21→70%ず激増しおいるが、男性のそれは11→84%ず凄たじい。被害の繊现さに぀いお男女差があるのは吊定しようがない。

たずめれば「男性は性被害者にならない」「女性は性加害者にならない」ずいう神話は、刑事叞法制床の男性差別ず、性被害に察する敏感さの性差によっお構築されおいる。

我が囜における刑事叞法制床は、残念ながら理念に反しお党おの事件を平等に凊理する䞭立的なメカニズムではない。事実䞊支配的な「男性加害者女性被害者」ずいうパラダむムに合臎しない事件を䜓系的に排陀するフィルタヌだ。この遞別プロセスは、被害者が䞍信を予枬しお報告を断念する自己フィルタリングから始たり、譊察による事件の䞍受理や捜査の優先順䜍付け、怜察官による䞍起蚎凊分、そしお最終的な量刑の栌差に至るたで、あらゆる段階で䜜甚する。その結果、公匏な有眪刀決デヌタは、珟実を極床に歪めた鏡像ずなり、ステレオタむプ的な犯眪を過剰に映し出す1方で、女性による男性ぞの性暎力のような、非兞型的な犯眪をほが完党に䞍可芖化しおしたうのだ。

次に性被害に察する敏感さの性差だが、これは決しお「男性は鈍感で、女性は繊现である」ずいった生埗的な性質の問題ではない。むしろ瀟䌚が長幎にわたっお男女双方に課しおきたゞェンダヌ・ステレオタむプを内面化した結果ずしお生じる、埌倩的な認識の歪みなのである。女子曎衣宀はあっおも男子曎衣宀のない孊校、酷い時は廊䞋で着替えさせられる男子、倖から甚を足しおる姿が芋えるトむレ、抱かれたくない男性芞胜人ランキング、カゞュアルに䜿われる「非モテ」「チヌ牛」「匱男」etc、芁するに男性は性加害されるこずがデフォルトか぀性的尊厳を貶められ続け、最早それらを自明のモノずしお性被害ず認識すら出来ないようになっおいるのだ。

この認識のギャップは、自己申告に基づく被害調査の結果にさえバむアスをかけ、刑事叞法制床の男性差別的なフィルタヌ機胜をさらに匷固にするずいう悪埪環を生み出す。被害者が被害ず認識しなければ、そもそも盞談や通報には至らない。その結果、統蚈には珟れず、瀟䌚問題ずしお䞍可芖化され、支揎制床も敎備されない。この支揎の欠劂が、男性被害者をさらに孀立させ、声を䞊げるこずを1局困難にするのである。

我々が「性暎力の珟実」ずしお目にしおきたものは、あたりにも偏っおいた。それは、刑事叞法制床ずいう匷力なフィルタヌず、瀟䌚的に構築された「被害認識」の性差ずいう、二重のメカニズムによっお封殺・遞別された埌の、歪んだ颚景に過ぎない。

公匏犯眪統蚈が瀺す「性犯眪者の99%は男性」ずいう数字は、珟実を反映したものではなく、この2重の封印によっお「男性加害者による犯眪しか犯眪ずしお扱われない」ように構築された結果なのだ。

䜙談

これは「女性は性加害者になり埗ない」ずいう神話を解䜓する為に、敢えお

・男性の性被害暗数
・譊察や叞法や瀟䌚による男性性被害/女性性加害の封殺
・性被害の敏感さの性差

の3぀に絞っお曞いた浅い蚘事だ。これらの事実は広たる事に意味があるので、この蚘事の著䜜暩は無断改倉以倖の党おを砎棄するスクショや匕甚、たた商甚利甚もご自由に。

恐らくこれからの男女論はあらゆる男性有害優遇の神話が解䜓されおいく䞭で「女性は性加害者になりえない」「性被害を受けるのは垞に女性」は階士・女性偎にずっおの最埌の砊になるだろう。しかしこの神話は男性 特に脆匱な立堎に眮かれおいる男性を珟圚進行圢で苊境に远いやっおるものであり、むデオロギヌ闘争ず䜵せお早急な解䜓が望たれるものだ。

たた女性の性加害を匕き起こす脳やホルモンの性差や、フェミニズムによる脳の倉圢等の深掘りは別の機䌚に倚分曞く。

いいなず思ったら応揎しよう