芋出し画像

東京郜矎術通 ゚ゎン・シヌレ展に行く前に______。クリ゚ヌタヌ玹介原皿あり

ここでの玹介先ぞお運び頂けおいる皆様には心より厚く埡瀌申し䞊げたす。
わたしが玹介させお頂いおいるクリ゚ヌタヌさんたちも、皆さん同様に玠敵な人達ばかりです。どうか、䞁寧に可愛がっおさし䞊げおくださいたすよう。䞖䞀  拝

 さお、1月26日から4月9日たで、東京郜矎術通で゚ゎン・シヌレ展が催されおいる。絵画奜き、近代アヌトにおける分離掟、象城䞻矩に觊手を動かされたご仁であるなら名前や䜜品をご存知の向きは少なくはないだろう。
 先日その゚ゎンシヌレ展に行かれた "秋(空き)時間 氏"が䞁寧であり勘所を抌さえた探蚪゚セヌをアップしおおられるので玹介ず共にひずくだり曞いおみたい。なんだかなヌ♬ シヌレも奜きなのね。合うじゃんわたしず(笑)

 私事だが、昚幎の6月だったろうか。わたしはこの゚ゎンシヌレの『鬌灯のある自画像』を觊媒ずした短線を仕䞊げおいる。ここnoteでも初期に挙げた䞀本だったが、その埌、次から次ぞず原皿をアップしたこずから、他人様の目に留たる機䌚は限定的だった。今回の゚ゎンシヌレ展ではこの「鬌灯のある自画像」も来おいるようだ。もしも芳るこずが出来れば䜕幎ぶりになるのだろうか。
 オヌストリアは、わたしが最も奜きな囜の䞀぀でもある。䞭でもりィヌン、ザルツブルク、むンスブルックはわたしにずっお思い出深い町でもあり、い぀かお話しを曞いおみたい町だ。


 さお、ここでわたしの"絵画関連の原皿"では初めお曞くこずになるお話しを䞀぀、二぀玹介しおおきたい。

゚ゎン・シヌレ / 1890幎6月12日生たれ 1918幎没
䞍染鉄 /     1891幎6月16日生たれ 1976幎没

なんずも、劙な因果を感じるのはわたしだけかもしれぬのだが、実は二人の描く絵には幟぀かの共通点が芗える。それも呜脈ず云えるような共通点なので玹介を詊みるに至ったものの、予め申し䞊げるず、今から曞くこずは倖で倧きな声で話しおはいけない。わたしの芋立おデアルカラシテ、これほど心もずないものは無いのである。

 最初に、俯瞰に立぀ポゞションに芪和性が高い点を挙げるこずが出来る。芁は、ものを眺める際、察象物を俯瞰する際の立ち䜍眮、絵に萜ずし蟌む際の立ち䜍眮が共通しおいるのである。
 䞍染鉄の画が、幎霢ず共に倉化を芋せたこずに鑑みるのであれば、圱響を受けたのは"鉄"の方ず考えるこずが劥圓だろう。シヌレは早逝しおいるが、鉄はシヌレの死埌50幎近くを生きおいる。埓い、オヌストリアの分離掟、象城䞻矩掟などの圱響を受けたであろうず芳るこずはなんら突飛な芋方ずなるこずは無い。調べおみるずその蟺のずころも分かるかもしれぬのだが、わたしの持぀䞍染鉄の資料ではそこたで確認するこずが出来ない。
远蚘/0204  20:00
少しだけ勉匷しおみた。むしろ知らぬ方が幞せだったかもしれぬ。䞀぀のこずを調べるず次から次に芋づる匏に党おが繋がり出す。䞍染鉄、速氎埡舟、シヌレ、岡倉倩心  これらはわたしの曞いた小説䜜品に凡お登堎する人物たちであり䜜品なのだが、䞍染鉄を通じ、凡おが䞀本の線で繋がり最埌に出おきたのが"村山槐倚"であった。やはり鉄はシヌレの圱響を受けおいた。象城掟の圱響を受けおおり、䞍染鉄、速氎埡舟、村山槐倚は岡倉倩心の䜜った矎術孊校の同玚生、同人だったのである。
 その埌、䞍染鉄はペヌロッパの象城掟の粟神を䜜品に投圱し、詩線ずの融合を果たしおいる。䞍䞖出の倩才画家・村山槐倚も象城掟の道を行った。
村山の絵などはたさに゚ゎンシヌレぞのオマヌゞュが滲む。

 1923幎に䞍染鉄が仕䞊げた画に『持村』ずいう䜜品がある。シヌレの逝去から5幎が経った頃になる。
゚ゎンシヌレの『黄色い町』や『小さな町』に代衚される颚景画における俯瞰描写ず䞍染鉄の俯瞰描写には明らかな共通点を芋出すこずが出来るだろう。

巊・䞍染鉄・持村/1923     å³ãƒ»ã‚šã‚Žãƒ³ã‚·ãƒŒãƒ¬ãƒ»å³¶ã®ç”º/1915

二぀目だが、この二人の描く絵に泚目するず興味深いこずが芋えお来るのである。互いに、村や町を描きそれらは抂ね代衚䜜ず呌ばれる䜜品ずしおの存圚感を確かならしめおもいる。
 さお、村や町であれば本来描き蟌たれお圓然のもの__________そう人間であり暮らしぶりなのだが、この二人の画家が描く村や町には極端に人物描写が芋られないのである。
 䟋えば、䞍染鉄の持村はチラホラずは芳止めるこずが出来るのだが、他の町、村を描いた䜜品にはほずんど人間は出おこない。
 他方、゚ゎンシヌレの手による『町シリヌズ』
黄色い町、小さな町、島の町   頑ななたでに人物描写が無いこずがわかるだろう。

䜕が圌らの䜜品から「人間」を取り陀かせたのだろう。
この蟺りに思いを銳せおみるのも楜しみ方の䞀぀かもしれない。人間が知りたくなるでしょ ?  実はこの蟺りにも絵画ず向き合う楜しみ方は隠されおいるのです。なぜ   䜕が   小説の楜しみ方にも通じおきたすね。
だからわたしは、画を小説の觊媒にした䜜品ばかりを曞いおいるのですが。

゚ゎンシヌレ・小さな町シリヌズ モルダり河畔のクルマり

さお、ここで"シヌレ"ず云えば自画像なのだが、䞭でも『鬌灯のある自画像』は代衚䜜ずしおも広く知られたずころであり、今回の東京郜矎術通゚ゎンシヌレ展の目玉でもあるのだが  あたりオカシナ先入芳を持ち出すこずは控えなければならないのでサラッずだけ。参考たでに頭に眮きながら眺めおみるのもオモシロい。頭の片隅に邪魔にならぬよう留め眮いおほしい。

たず皆さんに承知しおおいおいただきたいこずは、『鬌灯』の花蚀葉である。ここで曞きだしおしたえば良いず思われるかもしれないが、ここで曞いおしたうず、埌半のわたしの曞いた小説の意味が半枛するので、花蚀葉を知りたい埡仁は最埌の小説ぞのお付き合いをお願いしたいずころ。

口を閉じた゚ゎンシヌレ自身。鬌灯の実もたた口を割っおはいない。
巊斜め䞊方からチョむずハスに芋䞋ろすシヌレ。その䞋方には鬌灯が䞉぀枯れた枝にぶら䞋がる。
 そもそも花蚀葉は明治期にペヌロッパから日本ぞず䌝わっおきたものであり、これをたずめたのが文人芞術家の䞎謝野晶子であるず䌝わっおいる。埓っお、花蚀葉は抂ね䞖界共通ず申し䞊げお差支えのないものなのだ。

もしもこの「鬌灯のある自画像」に皆さんが察峙したずき  
是非、詊しおほしいのが、花蚀葉を口ずさむ  唱えおみるこずである。
きっず、シヌレの䞖界が身近に感じられるかもしれない。

考え過ぎ   そう。凡おは抂ね考え過ぎるずころから始たるのである。考え過ぎるから突き詰めるこずが出来る。考え過ぎないものは突き詰めるこずは出来ない。たた、考え過ぎの床合いは人によっおも違うのである。わたしの考え過ぎなどは垞人にずっおの垞識ぐらいの䟡倀にしかならぬ堎合もあり、ずきずしお、それは劄想ぞず発展をみるのであるが   。

『我々は我々が芋るずころのものに執着するのではなく、それを超えた思玢に赎かねばならない』アビ・ノァヌルブルク

 折角なのでわたしが去幎の六月に曞き䞋ろした小説「鬌灯の実がおちるたで」を恥ずかしげもなく、以䞋に再掲し締めくくりずしたい。
 なんだかね、こんな所にもシンクロ二シティヌ、欠片が萜ちおいた。
進む方向に間違いがない時はこんなものなのかもしれない。
 玠敵な原皿を曞いおいただけた秋(空き)時間氏に感謝を。
                             䞖䞀


小説「鬌灯の実がおちるたで」
                                                                                   ç­†åã€€é£› é³¥ 侖 侀
                       2022幎06月䜜品
 
「たっちゃん  この画家さん、どうしお自画像ばかり癟枚も描いたのかしら  どんだけ自分のこずが奜きだったのよ」
 玲子は、そう云うず半ば呆れたず云わんばかりの笑いを達也にむけた。

 オヌストリア・りむヌン、旧垂街を取り巻く環状道路。リングの䞀本倖偎にあるレオポルド矎術通に二人の姿はあった。 
 幎の初めの元日。りィヌンフィルによるニュヌむダヌコンサヌトでも知られるりむヌン孊友協䌚ホヌルからであれば歩いお十分ほど、北西に䜍眮した矎術通であり、呚蟺はさながらアヌトコンプレックスの様盞を芋せる䞀画、様々なゞャンルの矎術通が集たっおいる。
 陜の沈むこず無き囜・神聖ロヌマ垝囜の郜りむヌン。
 高く青い空にひず際映えるテレゞアンむ゚ロヌに染め抜かれた宮殿の荘厳さは、芳る者に深い感慚を䞎え吊応なく埀時を偲ばせる。
 街なかではそこかしこに蚭けられた公園が、゚ントランスを無料で開攟し、色ずりどりのバラたちが甘酞っぱい銙りを挂わせ芋る者を誘う。
 音楜ず哲孊・文孊。絵画ず䌝統工芞ずいう文化が独自の発展をみた街であり、今日の芞術文化の囜際的ベヌシックを築いた街ずしおの評䟡も䞍動だ。 
 䞀方で、無類の酒飲みが倚い街ずいう䞀面も芋せる。
 ワむンずそれを䟛する居酒屋(ホむリゲ)の存圚も知られたずころであり、倕方ずもなるず老若男女問わずにこのホむリゲの垭を埋めるのが日垞だ。
 穏やかなドナりの流れにナトリりム灯がオレンゞ色の明かりを萜ずす。倜の垳が萜ちはじめたころ。街䞭は䞀斉にオレンゞに染たる。旧垂街のように景芳保存条䟋が機胜した街なかでは、建物に䜿われる色が限定的であるが故、街党䜓がナトリりム灯の色に染たる。その様子はさながら䞭䞖返りを想わせる。
 倜のドナりは音もなく静かに流れ。
 芳光遊芧船なのだろう。ブッフェディナヌ付きのホむリゲクルヌズなども芳光客に人気を博しおいるようだ。そんな街に日本からの旅行者・画家 益子達也(四十四歳)ず絵画ギャラリヌオヌナヌの宗川玲子(䞉十䞃歳)が蚪れおいた。

「たぁ、随分病んでいたずいう話は残っおいるよね」達也は蚀葉を぀づけた。
「今の時代なら、アルファベットの䞉文字、四文字で顕すこずが出来るような病質は抱えおいたらしいからね。よく云われるこずだけど、黒胆汁気質が勝ちすぎた画家だろな。たぁ、どんな芞術家でも少なからずの異物は抱えおいるからね  そうそう、ずころがさ、なんか無茶苊茶女性にもおたらしいよ」
 達也は、シヌレによる自画像【ほおずきのある自画像】を眺めながら玲子の問いに応えた。
「あっ、モテたの ぞぇヌモテたんだぁ  、自画像ばかり癟枚っお、チョットなんかキザでナルシストかず思ったけど、この自画像芳おるずチョット違う感じもするのよね   なんか圱っお云うか、コントロヌルできない自分を持お䜙しおいるようで   なんか鬌気迫るっおいうか  」
 玲子は持ち前のギャラリヌオヌナヌずしおの掚県を披露しおみせた。
「ちなみに、たっちゃんは、䜕枚ぐらい描いたの 自画像」
「吟茩かぁ  そう云えば、吟茩は自画像は描いおいないなぁ、あれっ、云っおなかったっけ」
「知らなぁい  初めお聞いたわ  」
 達也はわざずらしく埌ろに反り返りながら「吟茩」ず自分を呌んでみせた。正確に云うのであれば、描かないず決めおいる  が正しかった。
 理由を問われるのが煩わしい  なんずか遣り過したい気持ちが働く。 

【゚ゎン・シヌレ】オヌストリアが生んだ近代画の巚匠ずしお知られ、その才胜を高く評䟡したクリムトの庇護のもず䜜画に没頭。象城掟、分離掟、衚珟䞻矩の画家ずしお知られた存圚であり、倚くの䜜品を遺したが、千九癟十八幎、二十八歳ずいう若さで鬌匣(きばこ)に玍たりをみた。レオポルド矎術通は、䞖界屈指のシヌレコレクション矎術通ずしお近代矎術愛奜家に知られる。

「そうなんだぁ  欲しいなぁ  益子達也先生の自画像  倚分シヌレは自分で描いた自画像あげたず思うのよ。愛する女性(ひず)に 」
「   いやいや埅お埅お、玲子ちゃん、君には絶察にあげられないよ」
 達也はシリアスにならぬよう、お道化た調子で玲子に告げた。
「゚ヌっ、なんでよぉ  酷いじゃないのよ、それっ」
「だっお、売っちゃうだろ ギャラリヌに来たお客さんにさ。自画像描いお、君にプレれントしお、それを売られちゃ吟茩はタダ働きだろ」
「売らない売らない。絶察に売らないから、自分の郚屋に食るから、お願い䞀枚描いおよ。私の・た・め・に  」
【それが嫌なんだよ。ずっず芋られおいるようで、監芖されおいるようで  これは情を亀わしたパヌトナヌに限ったこずでは無く、自画像が他人の元にあるずいうこずが気色が良くないんだよ】達也はそう自問しおいた。

「   ずころで、柳絮の才高しず、高名な先生たちの芚え目出床き玲子先生に蚊きたいんだけどさ」
「なによ急に。たた話をはぐらかす気でしょう。描いおね。描いお頂戎」
 玲子は画に向き合ったたた口を尖らせおいた。
「この画、鬌灯(ほおずき)が描き蟌たれおいるけどさ、なにか意味があるず思うんだよね  䟋えばアナグラムずか、アトリビュヌトみたいな。ちなみに、花蚀葉わかるかなぁ」
「そう そうなのよ、私もそれを考えおいたのよ、だっお鬌灯っおさ、日本ではお盆のお花、䟛花っおいうむメヌゞが定着しおるじゃない、だから  」
「ちょっず埅っお玲子ちゃん。君は今、日本っお云ったよね  、云ったわよっお  そう開き盎られちゃ困るけどさ  、鬌灯を、お盆の䟛花にするのは䞃月盆の関東地方が䞻立っおいお、八月盆の関西地方では、鬌灯は殆ど䜿わないんだよ。だから、䞃月九日、十日の浅草寺ほおずき垂や愛宕神瀟のほおずき垂みたいなものは関東だけだし、関西にはないんだ」
「えっ、関西っおほおずき垂  ないの 関東だけ なのになんで、りむヌンで鬌灯なわけ りむヌンにお盆ある(笑) 」
「飛ばし過ぎ、玲子ちゃん(笑) だから花蚀葉を蚊いたんじゃないの」
「なるほどね、チョット埅っおね調べおみるから」玲子はそういうずスマホを取り出し怜玢をはじめた。

【どれほどこの画の前にいるだろう。他にも芳るべき画はあったものの足が進たず、『ほおずきのある自画像』の前から動けないたただ。そもそも日本人は鬌灯を日本のものだず思っおはいないだろうか。欧米アフリカアゞアず広く分垃しその皮類は癟を超える。お盆の䟛花はもずより、颚鈎ずセットで倏の颚物詩ずしお、赀や緑の鬌灯の蕚(がく)を捲り䞊げ、擬人化した鬌灯人圢を䜜ったりず、䞖界䞭で俗文化颚習ずの銎染みは深い】 

「あらっ  たっちゃん、そう云えば、ほおずき垂、もう来月じゃない  早いわねぇ  にしおも、ほおずき垂が関東だけなんお  はいはい、花蚀葉よね花蚀葉。 あのねいくわよ、嘘、停り、欺瞞  なんかチョット重いわねぇ  それずぉ  䞍思議  私を誘っおください   そしお  心の平安  っお、なんなのこれ 私はやっぱり癟八本のバラだわ  」
「アハハ   シヌっ ごめんごめん、矎術通だった。いや、でもその花蚀葉、䜕だろう笑えるよね傑䜜じゃない 」
「なんか、支離滅裂っお感じなんだけど、倚分、日本ずオヌストリアで花蚀葉が違うのよ  」
「いや、殆ど同じなんだよ。ずいうか、花蚀葉がペヌロッパから日本に䌝わっおきたのは明治に入っおからだからね。日本では、文人芞術家の䞎謝野晶子が纏めたずいうこずらしいけどさ。だから殆ど同じず思っおいいんだよ」「でも意倖よね、死に関する蚀葉は芋圓たらないもの  」
「うん。そうなんだけどさ  その花蚀葉を口にしながら、この自画像を芳おごらんよ  」達也がそう告げるず玲子はシヌレの自画像に向き盎り花蚀葉を唱え始めた。
「嘘  停り  欺瞞  䞍思議  私を誘っおください  心の平安   お盆 」玲子は䞉床ほどその呪文を唱えた。
「あぁ  なんか倜に鏡が芋られなくなりそう」
「それは違う呪文だろ(笑)  で、どう なんか感じた 」
「うん  分かったず思うわ、倚分。ただ  䞻䜓が自画像なのか鬌灯なのかずいう疑問が倧きくなるわよね  きっず。でも、シヌレのあの䞊からの目線  分かるかな君たちに  そう蚀っおいるように感じられたのは花蚀葉を調べたお蔭かも  」
 玲子はそう告げるず、もう䞀床画に向き合い花蚀葉の呪文を唱え始めた。 

 あごを巊暪に突き出し、巊斜め䞊から芋䞋ろしたシヌレの自画像の暪には、枯れた葉を数枚だけ枝に䌎わせ、真っ赀な鬌灯が䞉個、枝の䞋を埋めおいる。どの鬌灯も口を割っおはいない。シヌレの自画像も口を閉じおいる。時に擬人化のアナグラムやアトリビュヌトずしお甚いられる鬌灯。玲子ず達也は暫くその画に察峙した。

 レオポルド矎術通をあずに倖ぞ出るずいうず、十八時だずいうのに陜は西に傟いたばかりのように芋えた。
 濃い藍に、橙を暈かし広げたようなりむヌンの空には鋭利に研ぎあげられた䞉日月が癜く銎染みを芋せおいた。

「随分现い䞉日月ね  あんなに现い䞉日月を芳た蚘憶がないわ」
「゚ンゞェルカりチ  」
「あぁなるほどね。なんでも゚ンゞェル぀ければいいず思っおいるでしょう(笑) 」
「   グルグルしおやるよ」
「えっ  」
 二人はい぀の間にか孊友協䌚ホヌル前の広堎たで歩いおいた。
「だから、グルグルしおやるよ」
「やぁヌよ、こんな所で  しおいらない。恥ずかしいじゃないの」
 達也は玲子の蚀葉が終わるのを埅たず、手を匕き寄せるず、巊手を腰に回し、右腕を脇の䞋から背䞭にむけお差し入れ、グッず頭䞊に抱え䞊げ、ゆっくり回り始めた。最初こそ玲子はケラケラず嗀いながら「わかったからもういいから」ず抗いを芋せおいたものの、慣れお来たのか目を閉じるず達也の手に䜓を預けおいた。

「たっちゃん  ゚ンゞェルカりチが廻っおる  」
「吟茩は目が廻っおきたよ  」
「ダメ  もうちょっずだけ   ねえ  東京に垰ったら自画像描いおね、私に。鬌灯の実がおちるたで   に 」
【鬌灯の実っお萜ちるのか  確か  枯れお網目暡様になった鬌灯を網ほおずきずか、透かしほおずきずか云ったはずだけど。それでも鬌灯の赀い実は萜ちずに぀いおいたはずだけどなぁ  玲子はそれを知っおいるのだろうか、いやこれだけでは枈たないだろう  自画像は始たりで䟵攻の狌煙か、次は倚分  マンション買っおか】

「たっちゃん  鬌灯の実っお食べたこずある そう  子䟛のころに私もあるけど  赀ちゃんできたら食べさせちゃダメよ。流産しちゃうから  」
 玲子は達也の腕に身を任せながら頭を埌ろに仰け反らせるず、癜く薄っすらず汗を滲たせたデコルテを露にそこたでを蚀葉にした。
 達也は危なく転がりそうになるのを堪えるず、埐々に回るスピヌドを萜ずし、やっずのおもいで止たった。
 止たるず、りむヌン孊友協䌚ホヌルの広堎の真ん䞭、倧の字にひっくり返り、深い呌吞を繰り返しながら藍が深くなり始めたりむヌンの空を芋䞊げた。
 空にはシヌレの「ほおずきのある自画像」がぜっかりず浮かんでいるように感じられた。達也は自分でも意識せぬたたに呪文を唱える。

「嘘、停り、欺瞞  䞍思議  私を誘っおください  心の平安  お盆  お盆  」
 シヌレの芋䞋ろす目は、たるで達也を芋透かしおいるようにすら感じられた。
 ふいに芖界が暗く遮られる
「ねぇ  起きお  こんな所で寝おちゃ  䜕 䜕喋っおるのよ 」
 芆いかぶさるように、玲子は達也の顔に自分の顔を近づけるず唇を重ねた。達也は玲子の顔を䞡手で挟むず、深い口づけを䞎えた。

【鬌灯の実が萜ちるたでにっお  】
 達也の頭の䞭、網目だけになった鬌灯に、しがみ付いた赀い実がその茪郭を次第に擬人化し぀぀あった。

                           了

長文ぞの最埌たでのお付き合い。
心より厚く埡瀌申し䞊げたす。有り難うございたす。
たた、秋(空き)時間氏におかれたしおは歀床の刺激を頂戎したしたこず心より厚く埡瀌申し䞊げたす。有り難うございたした。
侖侀

いいなず思ったら応揎しよう