私がレーベル運営で学んだ、一番悔しくて、一番価値ある"原盤権"の話
私の"青い"失敗談、こっそりお話しします
レーベルのオーナーとして運営を始めたばかりの頃、私は曲の「権利」について、あまりにも無知でした…
同じような失敗をする人が一人でも減ってほしいと思い、今日は私の一番悔しい経験をお話しします。
音楽業界の「原盤権」という言葉を聞いたことはありますか? 当時の私は、その重要性を全く理解していませんでした。そして、その無知さが後に大きな代償となって返ってくることになるのです。

原盤権(げんばんけん)とは、音楽業界で非常に重要な権利のひとつで、録音された音源(原盤)に関する権利です。
「原盤権」を持っている人(または会社)が、その音源をCDにして売ったり、ストリーミングで配信したり、映画やCMで使ってもらったりする時の許可を出すことができ、そこから生まれる収益の大部分を得ることができます。
自分で作詞作曲した曲でも、原盤権を持っていないと、自由にCD化してリリースできないのです。
甘い誘惑?「原盤権買上げ」という契約
私たちのレーベルは、その当時、自主制作のCDしか作ったことがありませんでした。
手作りのジャケット、友人に頼んだデザイン、知り合いのお店での委託販売…
そんな小さなスケールでやっていた私たちに、ある日、初めてとあるレコードレーベル(A社)より「契約書を交わしてCDを出しませんか?」という打診が来たのです。
その瞬間の興奮は、今でも覚えています。
「ついに、一流アーティストの仲間入りだ!」そんな気持ちでした。
契約書には「原盤権は相手レーベルのものになる」と書かれていました。
(1)甲は、乙に対する『原盤』 完全譲渡の対価 として、『原盤完全譲渡料』合計 60,000円(金六萬円)を、『原盤』のマスターテープ受取後に以下の銀行口座に入金する。
でも、当時の私には原盤権の価値がさっぱりわからなかった。
「CDを作ってもらえて、販売もしてもらえるなら、それでいいじゃない」。
そんな軽い気持ちで、サインをしてしまったのです。

それよりも、名のあるレーベルから作品を出せて、タワレコとかの有名なお店に取り扱ってもらえる!という興奮のほうが大きかったのです。
今振り返ると、あの時の自分の浅はかさに愕然とします。
でも、知らないって、本当に怖いことなんです。
ちなみに原盤権を譲渡した、そのCDはヒットしませんでした。
次作の相談はなく、また自主制作の日々に戻りました。
頭を殴られたような一言。「それ、買い戻した方がいいよ」
それから数年後のこと。自主制作していた作品のひとつがヒット!
前回とは別レーベル(B社)から「コンピレーション収録」の相談がきました。
収録する=原盤権料を支払うのでCDに入れたい
という相談です。
私たちが持っている楽曲の原盤権に初めて収益が発生した出来事でした。
そのやりとりをしている中でこんな会話になりました。
担当さん「そういえば、いま何曲くらいストックありますか?」
私 「15~16曲ですけど、そのうち10曲は別レーベル(A社)から出してるから勝手にリリースできないです。」
担当さん「え?それ、買い戻した方がいいよ」
私は、頭を鈍器で殴られたような衝撃でした。
え!買い戻せるものなの?
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