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山田五郎を追って ①巡礼へのとば口

勝手に師と仰いでいた
山田五郎氏が帰天された。

あすやせは、ただの1ファンである。
それでもヨーロッパを旅していると、
自然に氏の解説が蘇る場面に
何度も出くわして、
旅の先導者として仰いできた。

Youtubeチャンネル
「山田五郎オトナの教養講座」を
見つけたのは、
コロナ禍で動画を漁っていた頃だ。

それまで山田氏に対しては
世間の多くの人と同じように、
大手出版社に勤めていながら
深夜番組でヘンなことばかり喋っている人、
という印象しか持っていなかった。

しかし美術史を解説するこのチャンネルで、
それまでの印象はがらりと変わった。
山田氏の解説は専門的でありながら
素人にもわかりやすくかみ砕かれ、
1つの動画を見終わるたびに
知識欲をかき立てられた。

氏が留学されたザルツブルクは、
あすやせがツレと初めて
海外旅行に向かった地である。

ザルツブルク音楽祭に通いながら、
モーツァルトの生家や
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の
ロケ地などへ楽しく出かけたが、
1週間の滞在は時間を持て余すこともあった。
それぐらい、こじんまりとした街である。

美術を学ぶために留学した山田氏が、
この街から飛び出して他のヨーロッパの
美術館や教会を渡り歩いたことは、
旅行者の身にも理解できるものがある。
そして音楽だけに飽き足らず、
美術や建築も味わいたいという
欲深い旅行者にとって、
山田氏のチャンネルは
道しるべとなるものだった。

コロナ禍を経て海外旅行を再開した我々は、
空白の2年間を取り戻すように
1つの旅にありったけの予定を
詰め込むようになった。
それは「可能性」を詰め込むのと同じである。
日本と違って多くの国は、
予定通りに動かないのが常だからだ。
その最たる国ともいえる
イタリアで目指したのは、
15世紀の画家
ピエロ・デラ・フランチェスカの絵画を辿る
巡礼のような旅であった。

なぜ巡礼という言葉を使ったのか。
それは真夏のひまわり畑を突っ切る
モンテルキ州道221号線を、
バス停を起点に往復約7kmを歩いて
Museo della Madonna del Parto、
「出産の聖母美術館」へ赴いたからである。

山田五郎、本名武田正彦氏の洗礼名は、
「アルベルトゥス・マグヌス」だという。
カトリック信者の氏を偲んで、
また「山田五郎オトナの教養講座」に
勝手に導かれたファンの1人として、
最後はアッシジの
聖フランチェスコ大聖堂まで足を伸ばした、
2025年8月の旅を記していきたいと思う。

モンテルキ州道沿いに広がる畑

[次回予告]
中世の街アレッツォ

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