見出し画像

静かな田舎暮らし、のはずだった

うちに、ついに「この土地ならではのペット」が現れました。
イノシシです。
しかも、ただのイノシシではなく、かなりの大物です。

山の奥で見かけるわけでもなく、ニュースの中の話でもなく、誰かのTikTok動画の中でもなく、親の家の敷地に本当に現れるのです。
夜になるとやって来て、まるで自分の庭のように土を掘り返し、畑を荒らし、母が大事に育てている苗を散らかして、重たい足跡だけを残して帰っていきます。

私たちの地域は住所の上では市内なのですが、感覚としてはほとんど田舎です。
山があり、田んぼがあり、一軒家が並び、竹林もある。
そんな穏やかでのどかな風景の中に、ある日突然「自然と隣り合わせの現実」がそのまま入り込んでくる。そんな感じです。

実際にそのイノシシを見たときは、やはり少し怖かったです。
しかも見つけたのは本当に偶然でした。昼間にイノシシが姿を見せることは普通あまりありません。
その日は近所の人が敷地で枯れ草を燃やしていて、イノシシはいったん離れたようでしたが、そのあと戻ってきたのです。

最初に気づいたのは、うちの猫でした。
塀の上に座っていた猫が、突然ぴたりと動きを止めて、一方向をじっと見つめ始めたのです。
何を見ているのだろうと思って私たちも目を向けると、家のすぐ近くを、大きくてまったく無害には見えないイノシシが、ゆっくりと隣の空き家の庭へ入っていくところでした。

昨年の秋から冬にかけて、日本ではクマのニュースが本当に多くありました。
2025年には、全国でクマによる人的被害が238件にのぼり、過去最多だったそうです。
私はその頃、「少なくともこのあたりにはクマがいないから」と、自分を少し安心させていました。
でも今度は、まさかのイノシシです。
もちろんクマではありませんが、十分に迫力のある相手です。

市役所に相談したところ、これまでにこの地域でイノシシが人を襲った例はないとのことでした。
基本的にはおとなしく、夜に食べ物を探しに来ているだけだそうです。
でも、そう説明されるのと、娘が遊ぶ家の庭のすぐそばに荒らされた土や足跡が残っているのを見るのとでは、やはり感じ方が全然違います。

もちろん、私たちはすぐに捕獲の相談をしました。
こうした対応は、資格を持った専門の方たちが行っていて、有害鳥獣対策の仕組みの中で費用もまかなわれているそうです。
公式の資料によると、私たちの地域では2025年に2,500頭を超えるイノシシが捕獲されたとのこと。
そういう数字を聞くと、「自然の近くで暮らす」という言葉の意味が、急にずっしり現実味を帯びてきます。

その後、猟師さんが箱わなを設置してくれて、「しばらく様子を見ましょう」とのことになりました。
……そして、待ち始めてもう二週間です。

ところが、その間にイノシシのほうはますます自信をつけてしまったようで、もはや人感センサーのライトにも動じません。
どうやら完全に慣れてしまったようです。
昨夜もまた、母の苗が見事に掘り返されていました。

そして今日は、猟師さんが“野生との交渉レベルを一段引き上げる”新たな策として、犬の鳴き声が出る装置を設置してくれました。
ちゃんと、かなりそれっぽく吠えます。

自然の近くで暮らすというのは、広さや静けさやきれいな景色だけではないのだなあと、しみじみ思います。
そこには本当に豊かで多様な生きものの世界があって、そのうちの一頭は、どうやらうちの庭を自分の縄張りの一部だと思っているようです。

見てみたいですか。
よろしければ、どうぞ。

ぜひリアクションで、私を少し励ましてください🙏

@アシェル🙂


.

いいなと思ったら応援しよう!

アシェル 「音・ことば・思い」 もしよければ、あなたの優しさをチップで分けていただけると幸せです。それが新しい表現への勇気になります🌷