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共生史



―人類は、矛盟する二぀の波を、なぜ同時に運んできたのか

前線「勝負脳史」では、「勝぀こずぞの興奮」を個人の脳のスケヌルで考えおみた。





けれど、この興奮は個人の䞭だけでは終わらない。集団になれば、競争になり、瞄匵りになり、やがお埁服や支配にもなる。

しかしヌ人類はずっず「勝぀こず」だけを求めおきたのだろうか。

歎史を眺めおいるず、どうもそうではない。
人類は、競争しながら、同時に助け合っおきた。

奪いながら、分け合っおきた。
支配しながら、ケアしおきた。

この䞀芋矛盟する二぀の流れを、人類はなぜ同時に運んできたのだろう ずいう考察線。


䞀、波A――埁服ず支配の系譜


前線で芋た「勝負脳」。

勝おば埗をする。
序列で䞊に立おば有利になる。
盞手より倚く持おば、生き残る可胜性が高くなる。

この回路を集団のスケヌルに広げれば、埁服や支配の論理が芋えおくる。

狩猟における捕獲の成吊。郚族間の勝敗。土地や資源をめぐる争い。それは、王朝の興亡になり、
囜家の拡倧ヌ怍民地時代 ず続きヌ
そしお珟代の䌁業によるシェア争いたで。

もちろん、それぞれを同じ皮類ずはしおいないが、けれど、そこには䞀぀の共通する構造がある。

「自分の偎を、より有利な䜍眮に眮く」
ずいう欲求である。

ここでは、これを「波A」ず呌んでおきたい。
埁服、競争、支配、所有etc

目に芋えやすく、勝敗が぀きやすく、蚘録にも残りやすい歎史の流れである。

二、波B――盞互扶助ずケアの系譜


しかし、もし人間が「勝぀こず」だけで生きおきたのなら、ここたで長く皮を維持できただろうかずいう話。


ホモ・サピ゚ンスは、盞互扶助や関係性、ケアずいった胜力を持っおいたからこそ、生き残っおきた。

䟋えば考叀孊には、そのこずを考えさせる痕跡がある。

叀い人骚の䞭には、倧腿骚などを骚折しながら、その埌長期間生き延びたず考えられる個䜓が芋぀かっおいる。

骚が治癒するたで生き延びるには、食料を埗るこずも、倖敵から身を守るこずも必芁だっただろう。

そこには、誰かが食料を運び、身を寄せ、守った可胜性がある。䞀本の骚が、誰かに支えられお生きた時間を語っおいる。

もちろん、そこから「人類は優しい生き物だった」ず単玔に結論づけるこずはできない。

それでも、人間は、匱った仲間を切り捚おずに生きるこずができた。老人であろうず、怪我や病気をした人であろうず

これは、人類の進化を考える䞊で重芁な特城だったはずだ。

育児。共同での食料確保。負傷者の介抱。

よく蚀われる話だが、経枈の原初にあるのは、
莈䞎。そしお亀換。やがお共同䜓の互助。こうした普通の人々の暮らしや営みの殆どは王の名前ほど歎史曞には残らない。


戊争や王朝亀代は歎史に残るのに、

「今日も誰かが誰かの子どもを芋おいた」

「今日も誰かが誰かに食料を分けた」

ずいう出来事には、ほずんど蚘録が残らない。圧倒的倚数の人々の日垞があっただけ。

それでも、それが䜕䞇幎、䜕十䞇幎ず積み重なっおきた筈。ここでは、この流れを「波B」ず呌んでおきたい。

䞉、歎史は、目立぀ものだけではできおいない


もし波Aず波Bの二぀が、本圓に人類史を貫いおきたのだずしたら。

なぜ人類の歎史が「埁服の歎史」に芋えるのだろう。理由の䞀぀は、単玔に目立぀からだ。戊争は蚘録される。埁服は蚘録される。王の名前は蚘録される。領土の拡倧も蚘録される。

けれど、日々のケアは蚘録されにくい。

共同䜓の䞭で誰かを助けたこずも、誰かに食料を分けたこずも、ほずんど歎史曞には登堎しない。

だから、歎史に残っおいるものの量ず、実際に人類を支えおきたものの量は、必ずしも䞀臎しない。

これは生態系にも少し䌌おいるようにも思える。

目立぀倧型の捕食者ばかりを芋おいるず、その生態系が捕食者によっお支配されおいるように芋える。匱肉匷食がデフォルトのように思えおしたう。

けれど、その䞋には膚倧な数の小さな生呜がいお、それらの埪環によっお生態系そのものが成立しおいる。

人類史も同じなのかもしれない。

目立぀波Aの䞋に、目立たない波Bが流れ続けおいた。


四、ゲヌムずいう小さな人類史


この二぀の波を考えおいるず、珟代のゲヌムが劙に面癜く芋えおくる。

ゲヌムには、勝敗がある。

栌闘。シュヌティング。スポヌツゲヌム。察戊型オンラむンゲヌム等々 

盞手に勝぀。ランキングを䞊げる。自分の匷さを蚌明する。

これは、かなり分かりやすい「波A」だ。

前線で考えた「勝぀こずぞの興奮」が、安党なルヌルの䞭で再珟されおいる。

珟実には誰かを傷぀けなくおも、

「勝った」ずいう快感だけは味わえる。いわば、疑䌌的な競争装眮である。ずころが、ゲヌムの䞖界を芋枡すず、それだけではない。

『Minecraft』で䜕時間もかけお建物を䜜る。

『あ぀たれ どうぶ぀の森』で島を敎える。

資源を集める。育おる。亀換する。誰かず䞀緒に䞖界を䜜る。そこには、必ずしも「勝぀」ずいう目的がない。

それでも、人は倢䞭になる。ここに、波Bの別の顔が芋える。

人間は、勝぀こずだけを楜しんでいるわけではない。

䜜る、育成する、探怜する、亀換する、
そうした行為そのものにも、人は充足感を感じる。

だから、ゲヌム垂堎を眺めおも面癜い。

「人間は勝負が奜きなのだから、競争ゲヌムが圧倒的に垂堎を支配するはずだ」

ず぀い぀い考えたくなる。

ずころが実際には、プラットフォヌムによっお様盞が違う。

PCではFPSなど競技性の高いゞャンルが匷い。

䞀方、䞖界のゲヌム収益で倧きな比重を占めるモバむルでは、パズル、マヌゞ、育成、建築、RPGなど、必ずしも勝敗を䞭心に眮かないゲヌムも巚倧な垂堎を圢成しおいる。

ザックリ蚀うず、人間の䞭には、「勝ちたい」ず、「䞀緒に䜕かをしたい」が、同時に存圚しおいる。

ゲヌムは、その二぀を比范的安党な堎所で遊ばせおいる。

この前、知り合いの投資家が株匏を遊びでやっおいお、配圓金を党お慈善団䜓に寄付しおいる、ずいう話を聞いたが、少し構造が䌌おいる


五、カむペワを、二぀の波から読み盎す


ロゞェ・カむペワは『遊びず人間』の䞭で、遊びをアゎン競争、アレア運、ミミクリヌ暡擬、むリンクス眩暈の四぀に分類した。

この䞭で、アゎンは明らかに波Aず盞性がいい。

競争する。勝敗を぀ける。胜力を比范する。盞手より䞊に行く。

人間の「勝負したい」ずいう欲求を、ルヌルの䞭に閉じ蟌めるこずで、競争は遊びになる。

䞀方、波Bには、カむペワの四分類の䞭に明確な居堎所があるわけではない。

匷いお蚀えば、「パむディア」ず呌ばれる自由な遊びの偎に、その気配が残っおいる。

それは、ただ勝敗が決たっおいない。ルヌルも固定されおいない。ただ䞀緒にいお、笑っお、䜕かを䜜っおいる。遊びそのものを共有しおいる。そんなニュアンス。

もちろん、波Bをそのたたパむディアず同䞀芖するこずはできないが、遊びは、必ずしも盞手に勝぀ためにあるわけではない。

ゲヌムは、人間の二぀の欲求を映す鏡なのかもしれない。


六、二぀の波は、敵ではない




æ³¢A悪。波B善。
なのではない。

æ³¢Aがあるから、集団は倖郚の脅嚁から身を守るこずができる。競争があるから、技術も発達する。勝敗があるから、人は努力する。

そしお波Bがあるから、集団の内郚で人を育おるこずができる。匱った人を支えるこずができる。
知識や資源を次の䞖代ぞ枡すこずができる。

぀たり、

人類は波Aず波Bのどちらかを遞んできたのではなく、䞡方を必芁ずしおきた。

最近の䞖盞をみるず、波Bが少し芋盎され始めた気配があるが、䞀方で䞻語がデカい「囜家」や「むデオロギヌ」は、波Aの勢いが圧倒的だ。


49察51


所有する。埁服する。支配する。管理する。奪う。

そしお同時に、

介抱する。分かち合う。共に生きる。

人類史は、この矛盟する二぀の波を、どちらか䞀方に絞り蟌むこずなく運んできた。

もしかするず、人類をここたで運んできたのは、圧倒的な「共生」だったのではなく、もっず際どいものだったのかもしれない。波Aの波Bの拮抗

49察51 䜍の感じ

もちろん、そんな数字に科孊的な意味はない。
ただの比喩であるが、けれど、もし人類が、ほんの少しだけ「共に生きる偎」に傟いおきたから、
そのわずかな差が、ホモ・サピ゚ンス30䞇幎ずいう時間を運んできたのかもしれない。

しかしヌ過去にそうだったからずいっお、未来もそうだずは限らない。

人類は今も尚、戊争をしおいる。

そしお、これからも戊争が起きる可胜性は消えおいない。栞兵噚ずいう、自らを脅かすほどの力たで手にしおしたった人類 

そしお今、もう䞀぀の巚倧な力が珟れた。

生成AIである。

最近は「AIが人類を滅がす」ずいう論考もある。

けれど、それも結局は同じ問いなのかもしれない。AIは、人間の倖偎からやっおきた䜕かではない。

人間が぀くったものだ。

だからAIは、人間の知性だけでなく、欲望も、競争も、支配も、創造も、共生ぞの願いも映し出す。

栞も、ゲヌムも、AIも。

人類が生み出したものは、どこかで人類自身の鏡になっおいる。

ゲヌムの䞭では、勝っおも負けおも、もう䞀床やり盎せる。けれど、珟実の䞖界にはリセットボタンがない。

だから、AIが人類を滅がすかどうかを考える前に、考えなければならないず思う。

そもそも人類は、人類同士で共生できおいるのか。

この問いを持぀こずから始めたい。



ロゞェ・カむペワの解説



モノコトフロヌ研究所


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