チャトチャック公園から何度でもピンクの海へ
バンコクにいて、バンコクを感じにくいところはどこだろうと考えていると、そういえば、かつてバンコク生活に少し疲れたときにときどき行っていた所のことを思い出した。
それはチャトチャック公園で、ここにいると、タイ文字とタイ語に溢れたバンコクの喧騒から離れるせいか、ここはバンコクなのかどこなのか、ちょっとわからないと思い込ませることができていた。
それは僕がタイで生活するうえで結構重要だったことで、公園へ行ってタイから少しだけ逃避することは、水泳の息継ぎの瞬間と同じだったのだ。
長期旅行のときも同じで、PM2.5で曇るバンコクの街で突如呼吸が難しくなると、近くの公園へ逃げ込む。もしくは○日は公園へ行く日にしようとしっかりと計画に組み込む。
そして見えてくるものは、凹凸のない安全な小道を無邪気に走る子どもの姿やチョンプーパンティップを眺めながらベンチで語らう恋人たちの姿、健康のためにジョギングに励む老若男女。きのうカオカームーの大盛りでも食べたのかなと、僕がいつも自分に思うことを投影する。
ここにいると、まるで駒沢公園か大濠公園かにいるような、場所を限定しない感覚が呼び覚まされる。心が吸い寄せられるものや避けたくなるものは国を問わず同じだよと、足元に現れるリスがアドバイスしてくれているみたいに木の実を貪る。

僕の頭のなかの湖面の波紋が落ち着いたら、その足でチャトチャック市場へ向かうのだ。そうやって僕は何度でもバンコクのピンクの海へ潜り込む。


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