旅先の光と言葉を、一枚に。Traveler's Notelet ができるまで @Osaka, Japan|Sep. 2026
オリジナル作品「Traveler's Notelet」ができるまで。
旅の写真と言葉を一枚の紙に綴るようになった理由。
Traveler's Notelet
Traveler's Notelet(トラベラーズ・ノートレット)とは、私が制作しているオリジナル作品のことである。A5サイズの用紙に、旅先で撮影した写真が一枚。それに続いて旅のエッセイが300字ほど続く。縦に細長く二つ折りにして、小さなノートのように開いたり、閉じたりする。

旅を閉じ込めておきたい。私だけの旅を、私だけの感覚、経験を。
そんな想いで作り始めた。
旅先で感じたこと。見聞きしたこと。その時の風、空、空気。
それは私にとって、とても重要な、宝物のようなものだ。
けれどそこには、相反する矛盾した感情が共存している。誰にも知られたくない、秘密にしておきたい気持ちと、誰かに伝えたい、誰かと共有したいという気持ちだ。それを形にしてみたら、「Traveler's Notelet」というものができあがったのである。
本と栞とサプライズ
私は、シェア型書店「HONBAKO」で箱主をしている。
もともとは、HONBAKOで私の箱から本を購入してくれた人へ、おまけのつもりで制作したのが、「Traveler's Notelet」の始まりだ。
「Traveler's Notelet」は縦に二つ折りにすると、少し大きめの栞のようになる。それを本の間に一枚ずつ忍ばせておいて、買ってくれた人に差し上げる。ちょっとしたサプライズとサービスのつもりで始めたことだった。
旅先で撮影した一枚。旅の空気や光が漏れ出るような一枚。ただ美しいだけでなく、その場にいたからこそめぐり合える、そんな一枚を選ぶ。そして、その場を旅している私が感じていたこと、旅人としてのひとりごと、その場にいる者にしか分からない情景を綴っていく。
「パリの朝を待つ」「駅前のカリーヴルスト」「クセになる国—ポルトガル」など、小さなフォトエッセイにはタイトルを付ける。写真も文字も、できるだけ小さくした。押しつけがましくなく、ひっそりとしたものにしたかったから。旅のノウハウとか、ハウツーじゃない、ひとりの旅人がただ旅をしている、ただそれだけの、小さなフォトエッセイだ。

旅人の嗅覚と「Traveler's Notelet」の行方
ひょんな思いつきから制作し始めた、「Traveler's Notelet」。
小さな窓口ながらも、世に出してみると、私が予想していたものとは違った反応や言葉を、少しずつ受け取るようになった。
「旅先でのことを書いたんです」と「Traveler's Notelet」を私が紹介すると、しばらくそれに目を通しながら「誰が書いたんですか?」と聞いた人がいた。
「フィクションですか?」と聞かれたこともある。
もちろんノンフィクションだ。私が実際の旅で経験したこと、感じたこと、それがすべてである。それのみで、「Traveler's Notelet」はできている。
読んでくださった方から、「この旅の続きが気になる」と言われ、ハッとさせられたこともあった。きっと、私と共に旅をしてくださったのだと思うと、じんわりとした感動があった。
今、「Traveler's Notelet」は、変わらないことを大切にしながら、変わっていこうとしている。
「Traveler's Notelet」をまとめて、一冊のフォトエッセイのZINEを制作した。バラバラだった物語が、ひとつの旅に戻ってくる感覚だ。そして、「Traveler's Notelet」の写真を大きくあしらったポストカードの制作も始めた。「旅に出たくなるポストカード」と名付けたシリーズは、誰かのことではない、「私が」また旅に出たくなるポストカードである。

私の旅は、いつも用意周到だ。けれど、旅先の私はとても自由で、計画通りには決して動かない。旅は旅人のもの。私は旅先の私の嗅覚をいつも信じている。ひっそりと、したたかに、そしてしなやかに。
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