冷静と情熱の間に、人の生を見る。
黄金の光が、闇を駆けていく。
恐怖と好奇心を乗せて。
亡霊と精霊の足跡を見つめながら……。
いよいよ、開幕したGW。
久々の5連休を迎えた。期待に胸が膨らむ。
GWは、「ゴールデンウィーク」とも、「GOLD WAY」とも読める。
今回は後者を望む。気持ちだけでも……。
昨日の夕刻、車の前輪部分が悲鳴を上げた。
幸い事故はなく、無事であったものの。
今日から始まるGWは「車なし」確定。
身体が無事であったことに感謝しつつ、モヤモヤを隠せない。
旅行の予定をすべてキャンセルし、お家生活に切り替える。
読書、noteの執筆、数学、ランニング、カフェ、マッサージ、……ギターの練習はどこでしようか……。
悩みが尽きない、そんなGWの1日目が始まる。
白で囲まれた壁に、ゴッホの絵画「ひまわり」(レプリカ)が見える。
黒色のテーブルの上には、ボールペンとノートが置かれている。
無地の、クリーム色で暖かなノート。
高校時代から変わらない、思考を整理する魔法のノート。
数式、アイデア、デッサン、予定、日頃のモヤモヤ、で埋め尽くされていく。
日を追うごとに、カオス(混沌)のような色合いを帯びてくる。
1000年後の、黒魔術の書。
そして、テーブルの上には紅茶もある。
TWININGS(トワイニング)の「アールグレイ」が黄色の香りを漂わせる。
レモンの香りが部屋に広がり、鼻を颯爽と駆けていく。
ブーブーブー、ゴーゴーゴー、キュッキュッ。
いつも穏やかなアールグレイも、今日だけは激しい。
アイスのアールグレイを口に含み。
苦味に、心を重ねていく……。
車は直るだろうか…。
健康診断の時よりも緊張する。
17時からの車の点検と、人生の苦さに乾杯だ。
苦味で十分に疲れを抽出したら、次はホットで。
ホットは100℃からスタート。
90℃がベストという声に心を揺さぶられながら、今日は攻めを選択する。
苦味と甘みのバランスが絶妙だ。
ベルガモットの香りが少しずつ口に広がる。
さっきの苦さも和らいで、2つが伴奏し始める。
いや、激しいバトルをするように口の中を駆けていく。
ノートに書かれる数式は、いつも以上に濃密だ。
蜂蜜を垂らすように、透き通ってサラサラと。
昨日の講義中に閃いたアイディアを、再構築する。
ツルツルした面に、ザラザラの感情を加える。
数式「y=x」の、xを3に変えるように。
ボールペンが、淡々とノートを駆けていく。
新しいアイディアを求めて…。答えを求めて。
気がつけば、アールグレイも50℃を迎える。
ぬるい。
人はマズいというかもしれない……。
しかし、私はこの甘味が全開になる一瞬を見逃さない。
生と死の狭間で揺れ動く、感情のように。
最期の灯火を、口いっぱいに堪能する。
ベルガモットの余韻を全身に感じて。
最後のひとくち……。
油断した左手がカップを滑らせ、口からベルガモットが溢れ落ちる。ノートに、黒い数式の上に花が広がっていく。友情が芽生えるように、ゆっくり広がる。息をのむ。時が止まったような感覚。
生き方の違う2人が交わる瞬間。
冷静と、情熱の間を彷徨う物語。
そして、ティシュを取ろうと本棚に目を移す。本棚に刺さった、アニメ『イニシャルD」を見つめて。
2人の主人公の純粋な心に魂を揺さぶられる。
車を通して、生き方を見つめ直す作品。人生のバイブルの1つ。
