⸻借金の話をしたかっただけだった――なぜ話題は入院と居場所へ移ったのか⸻449日
ある日、私は長男とも四男とも連絡が取れなくなった。
親族への借金の問題が残っていたため、まずは本人と話をしたいと思った。
しかし連絡がつかない。
そこで、長男の交際相手へ連絡を取ることにした。
私が伝えたのは単純な内容だった。
「親族への借金の問題があるので、本人と連絡を取りたい。」
それだけである。
ところが、返ってきた話は少し予想外だった。
最初は、
「入院したことは知らない。」
という話だった。
しかし、その後には、
「救急車で運ばれた。」
という経緯が語られた。
さらに、
「今どこにいるんですか。」
という質問が続いた。
ここで私は一つの疑問を抱いた。
私が連絡した目的は、親族間の借金問題について本人と連絡を取りたかったからである。
それにもかかわらず、なぜ会話の中心は入院や私の居場所へ移っていったのだろうか。
もちろん、入院した人を心配すること自体は自然である。
しかし、借金問題について連絡している場面で、その話題が中心になる理由は何だったのだろう。
私はその答えを知らない。
だから断定することはできない。
ただ、一つ考えたことがある。
もし本人が入院し、身元引受人が交際相手であったとしても、それだけで本人の財産を自由に管理できるわけではない。
一般に、身元引受人は医療機関との連絡や退院時の調整などを担う立場であり、当然に預金や通帳、不動産などを管理する権限が与えられる制度ではない。
また、本人の住居へ自由に立ち入る権限が生じるわけでもない。
そう考えると、もう一つ疑問が残る。
もし本人しか管理していないはずの通帳や財産が、後になって動いていたとすれば、それはどのような経緯だったのだろうか。
もちろん、それだけで誰かが不正をしたと断定することはできない。
適法な委任や本人の意思に基づく管理であった可能性もある。
しかし、逆に言えば、その経緯が明らかでなければ、後から記録を見た第三者は状況を理解することができない。
私がここで問題にしたいのは、誰かを疑うことではない。
むしろ、
「重要な出来事が起きたとき、その経緯はどのように説明されるべきなのか。」
ということである。
借金問題から始まった連絡は、なぜ入院と居場所の話へ移ったのか。
本人の財産は、誰が、どのような権限で管理していたのか。
そして、その経緯は後から検証できる形で残されているのか。
事件を追う中で私が感じるのは、一つひとつの出来事よりも、その間をつなぐ説明が見えにくいということである。
人は、説明があるから納得できる。
逆に、説明が見えないとき、疑問だけが積み重なっていく。
私が知りたいのは結論ではない。
出来事と出来事を結ぶ「経緯」が、どのようなものだったのか。
それこそが、この事件を理解するために最も必要なものなのではないかと思っている。
