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笑いの理論 或いは、その䜓系化ぞの詊論


本蚘事は「笑いの理論 或いは、その䜓系化ぞの詊論」の続きです。未読の方はそちらを先にご芧ください。

本蚘事は第5章の䞀郚ず第6章ず「おわりに」のみの掲茉で、本皿の最終篇です。





第章 おかしさ・おかしみ以倖による笑いの説明

・瀟䌚的な笑い

前蚘事で説明しきれなかった笑いに぀いお曞いおいきたす。やや長くなりたすが、最埌の「11・笑い顔の䞇囜共通性」が、次の第6章の人類ホモ・サピ゚ンスの “新䞖界進出性” ぞず繋がり、それが笑いの “芞術” ずしおの根拠になりたすので、ご期埅ください。

9・笑いの感染性
たずは、我が “譊戒解陀論” が、他の理論ずは違い かなり楜に説明できる「笑いの感染性」に぀いおです。これは第1章で本家のラマチャンドランの誀譊報理論を玹介した際に觊れたしたが、改めお説明したす。

先述の通り、この笑いの感染の䞀぀に「぀られ笑い」がありたす。誰かに理由は無くずも笑い掛けられたら どういうわけか笑い返すこずがありたすし、友人ずでも笑劇䜜品を芳おいお、盞手が笑ったら自分も䞀緒に笑うこずは普通にありたす。反察に、盞手がずっず笑っおいるのに自分は䞀切笑っおいなかったら、関係は厩壊したす。  たた、ある実隓によれば、耇数の被隓者に同䞀の笑劇䜜品を二床芋せるず、二床目に芳た時はもちろん䞀床目より笑いの量が枛るが、ある被隓者には、二床目の芖聎の際に実隓者が同垭し、あるシヌンで実隓者が笑うず被隓者も笑い、しかも、䞀床目に䞀人で芳た時よりも倧きく笑ったそうです。志氎地『笑いその異垞ず正垞』前掲、pp.129-130  ã ã‹ã‚‰ã€ç¬‘いのラむブでお客さんがたくさん来おいるずいうのは非垞に倧事なのですが、この笑いの感染性の起源は䜕か

ここでは、プレヌリヌドッグを䟋に考えおみたす。
プレヌリヌドッグは䜓長30-40cmほどの霧歯類で、巣穎を掘り 矀れで暮らしおいたすが、倩敵のオオカミ等が近づいおきたら圌等は皆、巣穎の䞭ぞ隠れ、“譊戒” したす。しかし、そのオオカミが去ったなら、矀れの誰かが巣穎の倖に出おオオカミがいるかどうか確認するはずです。そしお、オオカミがいなくなったこずを確認できたら、「ほっずいう蚀葉のずおり少し息をはく。」  ãƒ—レヌリヌドッグの堎合は、鳎く。そしお、それを聞いた ただ巣穎の䞭にいる者達は「誰かが “解陀” したぞ」ず思い、巣穎の倖に出おオオカミがいなくなっおいるこずを確認し、自分も同じように鳎くでしょう。そうしお、他の個䜓も、他の個䜓も   ず、぀られお感染・䌝染しお笑う、ずいうこずです。

ちなみに、この考え方は僕だけでなく雚宮先生もされおいお、先のラマチャンドランの誀譊報理論を玹介する際に、圌の理論は笑いの感染性を䞻な論拠にしおいるずしお、以䞋のように曞かれおいたす――

笑い声が䌝える安心ず感染しやすさ、集団のたずたり維持の機胜に着目しお立おられた説である。たずえば、プレヌリヌドッグは、捕食者のコペヌテが去るず、穎から出おぎょんぎょん跳ねお、互いに声を出し合い、声がどんどん広がっおいく。

雚宮俊圊『笑いずナヌモアの心理孊 ――䜕が可笑しいの――』前掲、p.74

これには異論は無いず思いたす。

初期人類ヒトの堎合では、䟋えば、サバンナを矀れで歩いおいる時に草むらがゎ゜ゎ゜し 、皆 “譊戒” 状態になるのだが、勇敢なあたりにも勇敢な先頭の䞀人がその草むらの䞭を芗き蟌み、居たのがヒョりではなくサク゜・グラマティクスで、「あぁ、なんだ、サク゜・グラマティクスか あはははは  」ず蚀うず、矀れの他のメンバヌも「あぁ、なんだ  」「サク゜・グラマティクスか」「あはははは  」ず連鎖しおいくのだず思いたす。これには異論は無いず思いたす。


10・挚拶の笑い

挚拶の笑いに぀いおも䜕床か觊れたしたが、確認したす。
志氎先生の『笑いその異垞ず正垞』によれば、「口に入った有害なものに察する防埡反応」が長い進化の結果、「自分が攻撃する意図はないが、攻撃を受けるかもしれない盞手に近づく時に敵意のないこずを瀺す意味で甚いられるようになり、これがマカク類のサルの「劣䜍の衚情」ずなった。」  そしお、「この衚情がさらに人間のあいさ぀の際などのほほえみぞ発展した」そうです。たた、珟代のマカク類も劣䜍の衚情を䜿うそうですが、皮によっおはさらに「芪和の衚情」ぞず進化しおいるそうです。同曞 p.10

サルの段階で挚拶の笑いはかなり完成しおいそうですが、人類ヒトにはこの笑いがより匷く必芁になった契機があるず思うので、それを以䞋で曞いおいきたす。


11・笑い顔の䞇囜共通性
䜕床も曞いた通り、ここから䜕䞇幎も遡らねばならないので、この項は長くなりたす。しかし、その終わりず次章の始たりで登堎する人類ホモ・サピ゚ンスの “新䞖界進出性” が、笑いの “芞術” ずしおの根拠になりたす。そしお、そこたで接続できたら本皿は終了になりたす。

珟代の実隓
たずは珟代での実隓結果ですが、人間の衚情ずいうのは基本的に䞖界共通だそうですが、どの囜でも、怒りや悲しみや嫌悪や驚き等の衚情よりも、笑い顔が最も正しく読み取れるそうです。志氎地・角蟻豊・䞭村真『人はなぜ笑うのか 』前掲、pp.153-155  ゚クマンやむザヌドずいう孊者達が調査したずころによるず――

ある衚情写真を芋せおその衚情がどの感情をあらわしおいるかを答えおもらうのだが、囜が倉わっおもおおむね正しく衚情が読み取れるこずがわかったのである。なかでも笑い顔の的䞭率は矀を抜いおおり、どこの囜で調査をしおも䞀〇〇パヌセントに近い高率であった。ちなみに悲しみや恐れをあらわす顔の衚情は五〇六〇パヌセントの的䞭率の堎合もある。

同曞 pp.154-155

このように、他の衚情ずは違い、笑い顔はどこの囜でも的䞭率が「䞀〇〇パヌセントに近い高率であった」そうで、笑い顔は「䞇囜共通」だず蚀えそうです。志氎先生はこう曞かれおいたす――

笑顔が文化圏を問わず、ほが䞀〇〇笑顔ずしお認識されるずいうこの結果は、他の研究ずも䞀臎しおいる。たた刀断に芁する時間も、笑顔が最も短く、刀断に必芁な写真の倧きさも最も小さくおすんだ。この結果は笑顔が最も短時間で、最も正確に刀断できる衚情であるこずをあらわしおおり、笑いのも぀コミュニケヌションの道具ずしおの圹割の重芁性ず普遍性を瀺しおいる。

志氎地『笑いその異垞ず正垞』前掲、p.210

しかし、これは なぜなのか   â€œè­Šæˆ’解陀” ずどう関わるのか


むラク戊争䞭の笑い顔による和解
前掲のスペシャル取材班『ヒュヌマン なぜヒトは人間になれたのか』pp.93-97には、アメリカのクリストファヌ・ヒュヌズ倧䜐が2003幎のむラク戊争䞭に䜓隓した笑い顔の力に぀いお曞いおありたす。

ヒュヌズ倧䜐はむラクのナゞャフ垂ずいう街を確保する任務を䞎えられ、地元の有力な聖職者ず話し合いをしようず垂内に向かったのだが、ヒュヌズ倧䜐達が聖職者を殺しに行くず勘違いした矀衆が暎動を起こし、石を投げたり 道に止めおある荷車を抌し倒したりず、堎を収束させるのが困難になったそうです。銃で脅したり撃ったりずいう歊力での制圧は可胜ではあったのだが、ヒュヌズ倧䜐は自分達も殺されおしたうこずを危惧し、「どのようにコミュニケヌションをずろうか」ず考えたそうです。「蚀葉がしゃべれないので、私がこの状況を打開するには蚀葉を䜿わない方法でなければなりたせん。芖芚的に盞手に蚎える圢で䜕かをしなければならなかったのです。」  そしお、混乱した矀衆に「私たちには敵意はないのだ。話し合いをしたいのだ」ずいうこずを印象付けるにはどうしたらいいか、ヒュヌズ倧䜐は考え、次の瞬間、郚䞋たちにこう叫んだそうです――

「笑え、笑うんだ」

同曞 p.95

そしお、戊堎で笑い顔になるこずに䞍慣れな兵士達がなんずか笑い顔を芋せるず、矀衆達はアメリカ兵達に察しお埮笑み返したそうです。その結果、双方が笑い顔を浮かべ、亀流ムヌドに包たれ、䞀觊即発の “譊戒” 状態が解消されたそうです。しかし、なぜヒュヌズ倧䜐はそのような刀断をしたのか

私は䞖界の89ヵ囜に行っおいたすが、蚀語の壁、文化の壁、民族や宗教の壁があっおも、笑顔の力が働かないのを芋たこずはありたせん。この䞖界で、笑顔は䞀぀の意味しかありたせん。ですから暎力があり、䞍安があり、怒りがあり、混乱がある状況だったずしおも、あなたがその人に笑顔を芋せたら、少なくずも察話がはじたりたす。そこで、私は笑顔になりたした。

同曞 pp.95-96

このように、笑い顔には攻撃的な盞手ずも和解する力があるこずを経隓的に知っおいる人もいるようです。しかし、これもなぜなのか なぜ笑い顔にはそのような効力があるのか


ボトルネック効果
これらを説明する前に、確認しおおかねばならないこずがありたす。それは「ボトルネック効果」ずいうものです。これは、ある時期に人口が極端に枛少し、その結果ずしお遺䌝的倚様性が著しく倱われる珟象のこずです。

およそ2030䞇幎前にアフリカで誕生したず蚀われる珟生人類ホモ・サピ゚ンスは、珟圚 地球䞊の至るずころに生息しおいお80億以䞊の数に䞊っおいたすが、その遺䌝的違いはかなり少●な●い●そうです。党人類の遺䌝的差異は0.1未満ずも蚀われおいたす。  そしお、それはボトルネック効果によるものだずされおいたす。珟生人類ホモ・サピ゚ンスは䞖界䞭に拡がっおいたすが、もし生たれ故郷・アフリカを出た「出アフリカ」埌に進化しおいたのならおんでバラバラに、遺䌝子の倚様性は倧●き●く●なっおいたはずです。しかし、珟圚の人類ホモ・サピ゚ンスには遺䌝的違いが少●な●く●、ボトルネックは出アフリカ以●前●に起きたず考えられたす。そしお、差異の少ない遺䌝子ず人間性を持っおアフリカを出おいったのですが、ここに「笑い顔の䞇囜共通性」ず「笑い顔の的䞭率100性」の根●があるはずです。

しかし、では、そのボトルネックはい぀起きたのか


人類絶滅の危機 トバ火山倧噎火
それは玄7侇4千幎前だずする説が有力です。この時期にむンドネシアのスマトラ島のトバ火山が倧噎火を起こし、ニュヌペヌク倧孊のマむケル・ランピヌノ教授によれば、その圱響で圓時 地球䞊に10䞇人はいたずされる人類が1䞇人以䞋にたで激枛したそうです。参考NHK BS『コズミック フロント☆』「人類絶滅寞前 超巚倧噎火」前掲、スペシャル取材班『ヒュヌマン なぜヒトは人間になれたのか』前掲、pp.136-146  この噎火の芏暡は過去10䞇幎の間でも最倧で、200幎前の有史で最倧の犠牲者を出したむンドネシアのカルデラ噎火の噎出物は50立方キロ皋床だそうですが、このトバ火山の噎火では3000立方キロだったそうです。圓時の人類ホモ・サピ゚ンスはただアフリカにいたのですが、遠く離れたむンドネシアの噎火がなぜアフリカにたで圱響を䞎えたのか

さすがの倧噎火ずいえど、火山灰や衝撃波音も含めがアフリカにたで到達したわけではなくそしお、圓時の人類には噎火が起こったこずなど知る由もなかった、人類を絶滅の危機にたで远いやったのは、「火山の冬」ず呌ばれる寒冷化だったそうです。

その火山の冬の䞻な芁因は硫黄ガスで、倧量に噎出されたガスが空気䞭で氎に反応しお硫酞゚アロゟルになり、それが栞ずなっお厚い雲を䜜り、倪陜光を反射し、地球の気枩が䞋がっおいったそうです。気象庁気象研究所の田䞭泰宙 博士によれば、噎火埌から玄10日ほどで雲が地球党䜓に拡がり、地球の平均気枩は1015床も䞋がり、倏でも平均気枩が5℃くらいにたでなったそうで、それが匕き金ずなっお氷河期さえ始たっおしたった可胜性があるず蚀いたす。『コズミック フロント☆』「人類絶滅寞前 超巚倧噎火」前掲  そしお、それが䜕幎も続いたそうなのですが、垞に「冬」では怍物が育ちたせん。するず、それを食べる草食動物は生きおいけたせん。するず、それを食べる肉食動物も生きおいけず、結果、人類の食べる物は無くなり、たた寒さ自䜓もあり、盞圓の数の人類ヒトが呜を萜ずしたそうです。


アフリカ最南端の岬・ピナクルポむント ぞ
しかし、陞の食べ物は無くなっおも、氎の䞭はただ倧䞈倫だったそうです。即ち、海。海の䞭はそこたで寒冷化の圱響を受けなかったようで、人類ヒトは海岞に集たっおいったそうです。アリゟナ倧孊のカヌティス・マリヌン教授によれば、アフリカ倧陞の最南端にある岬・ピナクルポむントの掞窟内で芋぀かる石噚や貝殻等の数が、トバ火山の噎火以降の地局で激増したそうです。同前  ã€ãŸã‚Šã€ã“の掞窟は人類ヒトの避難所になっおいお、皆ここで生き延び、そしお、掞窟内の人口は増えおいったそうです。

しかし、むリノむ倧孊のスタンレヌ・アンブロヌズ教授によれば、トバ火山噎火以前の人類ホモ・サピ゚ンスは匷い瞄匵り意識があり、激しい争いをしたり仲間を殺したりもしおいたそうでチンパンゞヌの生態もかなり これず近いようです、さらに共喰いさえも行なっおいたそうです。同前  が、トバ火山噎火以降およそ数千幎12䞇幎埌にはそのようなこずは枛り、仲間同士で食糧を共有するようになり、そしお、芋知らぬ盞手でも争いをせず 共に困難に向き合っおいった、ず。これは䞀䜓どういう倉化なのか 䞀぀の掞窟内においお、攻撃的であった皮族がい぀か仲間ず䞀緒に暮らしおいけるようになった、ずいうのは


「笑い顔の䞇囜共通性」ず「笑い顔の的䞭率100性」の起源
ここに、「笑い顔の䞇囜共通性」ず「笑い顔の的䞭率100性」の起源を求めおみたいず思いたす。

トバ火山噎火埌、人類は絶滅の危機に瀕し、ピナクルポむントぞ集たっお来たのですが、埌からこの掞窟に入っお来た者はすでに先にいた者に察しお、どうしたでしょうか もちろん、争うこずはあったはずです。そしお、䜕人もの人達が戊っお呜を萜ずしたでしょう。しかし、結果ずしお人類ホモ・サピ゚ンスは生き残っおいるので、この局面における人々は なんずか この堎を乗り越えたはずです。が、どうやっお 或いは、埌行者が先行者達に受け入れおもらうためには たた、先行者の方からも襲われるこずや無駄な争いを避けるために埌行者を受け入れるこずを瀺すには     ã€Œè‡ªåˆ†ãŒæ”»æ’ƒã™ã‚‹æ„å›³ã¯ãªã„が、攻撃を受けるかもしれない盞手に近づく時に敵意のないこずを瀺す」には   ここで、人類ヒトの挚拶の笑いの必芁性・重芁性がかなり高たったはずです。そしお、この人類絶滅の危機の䞭で、たた、生きるか死ぬかの䞀觊即発の状況で、盞手の衚情・感情・意思を読み違えおはならなかったはずです。

人類ホモ・サピ゚ンスはこの岬に数千幎12䞇幎間ほどいたそうですが、その間に、攻撃的であった者達が共に暮らしおいけるほどになりたした人䜓的にも倧きな倉化があった。最初は戊闘しおいたずしおも食べ物や居䜏スペヌスや雌を力づくで奪ったずしおも、長続きはしなかったでしょう。その時は良くおも、䞭長期的には、他の矀れから排他され遺䌝子を残すこずはできなかったでしょう。この狭い䞖界では戊闘をしおはならなかったはずです。そしお、数千幎12䞇幎間ずいう長い時間を掛けおだが、他族に察しお、“譊戒” ではなく、“解陀” をしなければならないずいうこずを孊んでいったのだず思いたす。

そうしお、笑い顔は誰もが確実に認識できるようになったのでしょう。そしお、その胜力を持った人間だけがこの局面を切り抜け 生き残るこずができ、アフリカを出お䞖界各地ぞ拡がっお行ったのだず思いたす。或いは、その先で、怒りや悲しみや嫌悪等の衚情は倉わっおよかったずしおも、笑い顔だけは倉えおはならなかった・倉えるこずができなかったのだず思いたす。



第章 新䞖界ぞTo the New World

・ドヌパミン 快楜物質

ずころで、第5章の「5・遊びの笑い」で取り䞊げた「孊習」に぀いおですが、これにはドヌパミンずいう脳内の快楜物質が関わっおいるそうです。玉川倧孊脳科孊研究所の坂䞊雅道 æ‰€é•·ã«ã‚ˆã‚Œã°ã€ãƒ‰ãƒŒãƒ‘ミンは――

孊習しなくちゃいけないずいうシグナルずしお私たちに快感をもたらす。

NHK BS『ヒュヌマニ゚ンス 億幎のたくらみ』「 “快楜”   ãƒ‰ãƒŒãƒ‘ミンずいう倩䜿ず悪魔」前掲

ドヌパミンは そもそも食糧を確実に埗るために䜿われおいるそうで、名叀屋垂立倧孊倧孊院理孊研究科の朚村幞倪郎 教授によれば――

ドヌパミンは䜓にずっお栄逊があるずいうプラスの状況になったずきに快楜を感じるように䜿うこずが䞀番生物にずっお効率が良かった。

同前

そしお、人類ホモ・サピ゚ンスがアフリカを出る盎前に、ドヌパミン神経现胞に関わる䞀぀の遺䌝子に倉化が起きたそうで、その結果、ドヌパミン攟出量が倚くなり、䞍安をあたり感じにくい性栌になったず蚀いたす。東北倧孊の河田雅圭 教授によれば――

䞍安傟向が少ないず、新たな環境にチャレンゞしお拡がっおいきやすい。それに䌎っお、䞍安傟向を感じにくい遺䌝子が増えおいった。

同前

実際に、䞍安傟向を感じにくい遺䌝子を持぀人の割合はアフリカから離れた地域ほど倚くなるそうで、アフリカよりもナヌラシア倧陞の方が、ナヌラシア倧陞よりもアメリカ倧陞の方が倚いそうです。同前  そしお、坂䞊雅道 所長によれば――

ポゞティブでもネガティブでも、ずにかく驚き。予枬できおいなければ出るドヌパミン现胞もある。眰でも。ずにかく驚くずいうこずが重芁。驚きもドヌパミンの攟出によるもので、しかも「快感孊習」に関わっおいるのかもしれない。そのこずが、ゞェットコヌスタヌやお化け屋敷など驚きで出るドヌパミンが、新しいものを開拓する、開拓粟神を生んだのかもしれない。

同前

本皿では おかしさ・おかしみ による笑いには垞に「驚き」があるずしおいたしたが、それはドヌパミンによるものだったそうです。しかも、「予枬できおいなければ出るドヌパミン现胞もある」そうで、N400ずいう脳波も予期・予枬に反した事象・蚀葉に出䌚った際に出るのでした。そしお、「驚きで出るドヌパミンが、新しいものを開拓する、開拓粟神を生んだのかもしれない。」  “驚き” ずドヌパミン―― “快” ――を以っお人類ヒトは、“新䞖界 ” ぞ進出しおいったそうです。


・立川談志垫匠の萜語論

萜語ずは「業の肯定」である、ず立川談志垫匠は蚀っおいたしたが、その「業」ずは「非垞識」のこずで、「垞識」に反したものです。その「垞識」は人間が瀟䌚で生きるためには必芁なのだが、「倧倉に狭いものであっお、それらのなかで暮らそうずするず、䞍快な郚分が出おくる。」立川談志『談志 最埌の萜語論』梧桐曞院、2009幎、p.19  

織田正吉先生も「垞識」を「ある瀟䌚、ある集団の共通の認識、慣習、行動様匏」ずし、「この枠組みは人間の理性が生み出したもので、たっずうに瀟䌚生掻をいずなみ、生きお行くには必芁なものだが、同時に人間の粟神を窮屈な枠の䞭に閉じこめ抑圧する」ず曞かれおいたしたが、「垞識」ずは「倧倉に狭い」「窮屈な枠」です。

しかし、それを砎った「非垞識」を肯定しおいるのが萜語である、ず談志垫匠は蚀っおいたした。


・“”

西欧での最倧の「非垞識」は、20䞖玀の “ダダ” ず呌ばれる反芞術運動です。ダダずは、叀代ギリシャ以来の論理・合理・理性的思考の結果が第䞀次䞖界倧戊であったこずに激怒した圓時の若者達による、文化・芞術・思想・蚀語すべおの面における反乱です。或いは、西欧文化の超新星爆発の劂きであり、蚀語解䜓の祝祭カタルシスが繰り広げられおいたした。その「ダダの革呜を発明した男」トリスタン・ツァラは――

は䜕も意味しない

・ツァラ『ムッシュヌ・アンチピリンの宣蚀――ダダ宣蚀集』塚原史蚳、光文瀟、2010幎、p.25

ず叫んでいたしたが、これは衚向きのこずです。ダダは䞀般的には吊定・砎壊運動ずしおのみ捉えられたすが、カヌル・リヌハの以䞋の分析ほど正しいものはありたせん――

『ダダ幎鑑』には、アテナの誕生に぀いおの叀代の神話にちなんで、は時代の硬盎ずテンポずを、その頭から生み出したのであり、「ダダはそれ自身においお創造的行為である」ず曞かれおいる。したがっお、非芞術および反芞術ずいう芳点は、を銖尟䞀貫しお把握するためには䞍十分である。はたさに諞芞術ずその可胜性のラゞカルな解攟ずしお捉えられねばならない。

カヌル・リヌハ線『ダダの詩』宇䜐矎幞圊蚳、関西倧孊出版郚、2004幎、pp.2-3

このように、“” は「諞芞術ずその可胜性のラゞカルな解攟」であっお、「それ自身においお創造的行為」でありたした。それたでの19䞖玀たでの芞術のルヌル・決たりごず・「枠組み」・「垞識」を砎壊し、新たな芞術を創出した――。

ダダに限らずずも19䞖玀埌半20䞖玀前半には、いわゆる “前衛アノァンギャルド” ず呌ばれる芞術の革新掟が台頭し、ピカ゜もマティスもクレヌもカンディンスキヌもマレヌノィチもストラノィンスキヌもシェヌンベルクもベルクもりェヌベルンもアルトゥヌル・ルリ゚もニコラむ・ロスラノェッツもアレクサンダヌ・モ゜ロフもルむゞ・ルッ゜ロも皆、旧い芞術を打ち壊しお新しい衚珟を远求しおいたした。そしお、19䞖玀たでずは違った “新䞖界 ” ぞ進出したのでした。それから100幎が経った珟代の芞術では、「なんじゃ、こりゃあ!?」が讃蟞ず同矩ずなり、必芁条件にさえなっおいたす。

倧平具圊先生はこう曞かれおいたす――

ツァラはたた、「あの〈退屈しない〉ずいう唯ひず぀考えられる偉業をなしずげる䜓力ず粟神的耐久性ずが自分にあったならば」、自分は詩人よりはむしろ、「掻気に溢れ身ごなしも敏捷な冒険家になっおいただろう」ず蚀っおいたが、そうであれば、そのクリ゚ヌタヌたちをあえお芞術方面だけに限定する必芁はさらさらあるたい。

倧平具圊『トリスタン・ツァラ 蚀葉の四次元ぞの越境者』前掲、p.393

「前衛アノァンギャルド」ずいう蚀葉は、元々は軍事甚語で、敵ず最前線で戊う郚隊のこずであり、それが「先駆者」ずいう意味に転甚され、䞻には芞術運動に察しお䜿われるようになったそうですが、しかし、スポヌツでもファッションでも孊術でも経営でも料理でもゲヌムでも䜕でも、“開拓者パむオニア” ずいうのは垞に称讃されたす。或いは、ナヌリ・ガガヌリンは人類で初めお宇宙ぞ進出したこずにより、人類史で氞遠に讃えられるでしょう。ツァラもこのようなこずを蚀っおいたそうですが、“前衛芞術家アノァンギャルド” ずいうのは極地探怜家のようなもので、誰も芋たこずのない・前人未到の地ぞ進出する者達のこずです。20䞖玀の前衛達の掛け声は「前進せよ」でしたが、21䞖玀の芞術家達のテヌマは “新䞖界ぞ   ” です。


・ロシア・フォルマリズムから

ずころで、皆さんは「ロシア・フォルマリズム」ずいうものを知っおいたすか ロシア・フォルマリズムずは、20䞖玀前半にロシアで誕生した䞖界初の文孊批評です。フォルマリスト達は、圓時の文孊批評が歎史孊や哲孊や文化史や心理孊や政治むデオロギヌ等の寄せ集めでしかなく、文孊に関する孊ではないこずを批刀し、「文孊批評」ずいう、文孊固有の特性に基づいた、それだけで自立・独立した孊問を創ろうずしたした。

その䞭心メンバヌの䞀人であったノィクトヌル・シクロフスキヌは「手法ずしおの芞術」ずいう論文で、「異化非日垞化」ずいう抂念を唱えたした。圌は文豪・トルストむの日蚘を䟋に挙げ、そこでトルストむが、郚屋の䞭を拭いた埌に少し歩き回っお゜ファに近づくず、もうすでに゜ファを拭いたのかどうか思い出せず、これらの行動が習慣化しお無意識的なものになっおいるからだずし、拭いたこずを忘れおしたったのでは䜕もしなかったのず同じこずであり、倚くの人達の党生掻が無意識のうちに過ごされるのなら その生掻は存圚しなかったのず同じである、ず曞いおいたこずを受け、こう䞻匵したす――

 こうしお無に垰せられながら、生掻は消え去っおいくのである。自動化䜜甚は、も●の●を、衣服を、家具を、劻や戊争の恐怖をのみ蟌んでいくのである。
   ïŒ»â€ŠïŒœãã“で、生掻の感芚を取りもどし、も●の●を感じるために、石を石らしくするために、芞術ず呌ばれるものが存圚しおいるのである。芞術の目的は、 も●の●を感じさせるこずである。たた、芞術の手法прОёЌブリペヌムは、ものを自動化の状態から匕きだす異化ПстраМеМОеアストラニ゚ヌニ゚の手法であり、知芚をむずかしくし、長びかせる難枋な圢匏の手法である。

新谷敬䞉郎・磯谷孝線蚳『ロシア・フォルマリズム論集――詩的蚀語の分析』珟代思朮瀟、1971幎、p.117

シクロフスキヌによれば、「異化非日垞化」ずは、「ものを自動化の状態から匕きだす」こずであり、それが「芞術の手法」であり、「知芚をむずかしくし、長びかせる難枋な圢匏の手法」だそうです。

ずころで、自然界においお「自動化」ずいうのは非垞に重芁です。それが食べるこずが できるのかできないのかの刀断に時間が掛かっおしたっおは、それを逃しおしたうかラむバルに取られおしたいたす。たた、それが敵かどうかの刀断が遅れおしたっおは襲われおしたいたす。自然界では即断しなければなりたせん。無意識、或いは、反射のレベルに至るほどに。

珟代では、毎回パンに䜕を塗ったらいいかを考えお家䞭の物を塗っおいたらキリがありたせん。毎回 靎䞋を塗ったりドアノブを塗ったり冷蔵庫を塗ったりを詊しおいおぱネルギヌ効率が悪すぎたす。パンに塗るのはバタヌやマヌガリンやゞャム等ず決め自動化しお、゚ネルギヌの節玄効率化を図らねばなりたせん。

しかし、自動化それパンに塗るのはバタヌやマヌガリンやゞャム等ず決めるこずは、䞖界・思考の限定であり、「垞識」ずいう「倧倉に狭い」「窮屈な枠」に閉じ蟌めるこずです。本来、パンに塗るのは䜕だっおいいはずです。〈うちぬゎけゑにょヌびょ〉でも〈靊爚鞇櫌鹻霎櫺虁鬭錷襺栟鑰瓛〉でも〈qみゃz靈靆デmど殱ヌ歠っりょヌ〉でも塗ったらいいのです。なお、これらは、ロシア未来掟の詩人・フレヌブニコフ由来の僕の新造語ネオロギズムです。  ãã†ã—お、異化非日垞化ものを自動化の状態から匕き出し、知芚を難しくしお長びかせる難枋にするこず或いは、“謎” を創るこずが “芞術” です。

「垞識」ずいう「倧倉に狭い」「窮屈な枠」既存語や文法もここに含たれるを打ち砎り、“新䞖界を創出するこず”・“新しい蚀葉を創るこず” 、それが『笑芞』であり、“笑いの芞術” です。



おわりに

たずめ

長くなりたしたが、本皿は以䞊です。以䞋に、本論のたずめをしおみたす。

本皿では笑いの起源・統䞀理論を “譊戒解陀” ずしお、すべおの笑いを説明し、䜓系化しようずしたのでした。第1章では、笑劇で扱う おかしさ・おかしみ による笑いの説明をしたした。その「1・笑うず力が抜ける」ず「2・草むらのゎ゜ゎ゜」では、笑いの身䜓的・生物孊的基盀を求め、笑いを生呜掻動ずしお捉え、危険に察しお “譊戒” し 安党だず分かったら “解陀” する、そしお その際の顔・身䜓の匛緩が笑いであり、笑い声ずは戊闘等のために蓄えたが䞍芁になった酞玠の攟出でした。その “譊戒” ず “解陀” がどの おかしさ・おかしみ による笑いにもあり、ゞョヌクを䟋にしお説明したした。そこでは、 “譊戒” が「」で “解陀” が「あ」ずしお、その「」の解消・解決「あ」が笑いでした。たた、その埌には、この “譊戒解陀論” の基はラマチャンドランずブレむクスリヌの「誀譊報理論」であったこずも曞きたした。

第2章では、粟神生理孊・脳科孊等や民俗孊・民族孊等の領域は本皿では取り扱えないずいうこずを曞いたのですが、笑いの研究の広倧さを知っお頂けたかず思いたす。

第3章では叀兞的な笑いの理論ずしお、アリストテレス・ホッブス・パニョル・ベルク゜ン・カント・ショヌペンハりアヌ・梅原猛・スペンサヌ等の理論を玹介し、どれも正しいずころはあるものの それは䞀郚であり、笑いのすべおを説明できるものではないずいうこずを曞きたした。しかし、カント・ショヌペンハりアヌ・梅原猛等の理論は “実践・実䜜プレむ” ず盞性が良いため、詳现に怜蚎したした。

第4章では笑いの分類を行い、次の第5章でそれらを䞀぀䞀぀説明しおいきたした。嬉しさ・喜び・楜しさによる笑いや遊びの笑いは、おかしさ・おかしみ による笑い「垞識」ずのズレずは異なるものの、生物にずっおの “快” を “前提ずしおの䞍快の解消” ずし、これも “譊戒解陀” ずしお説明するこずができたした。そしお、挚拶の笑いず笑い顔の䞇囜共通性を説明するために人類史を78䞇幎遡り、その起源・発達をトバ火山噎火埌のピナクルポむントでの掞窟生掻に求め、それを身に付けた人類ヒトが䞖界各地に拡がっお行ったのだが、最埌の第6章では、その “新䞖界進出性” ず2021䞖玀珟代の芞術の性栌を結び付け、笑いはその性栌ずしおも手法ずしおも芞術ず同質のものであり、“新䞖界を創出するこず” が笑いの芞術ずしおの根拠ずなりたした。

こうしお、“譊戒解陀論” ですべおの笑いを説明するこずができ、たた、芞術論にたで結び付けるこずができたした。アリストテレス以来 数倚の孊者が挑んでも解けなかった難問を “プレむダヌ” の意地を以っお解いたず思いたす。本論が䞖界初の笑いの統䞀理論ずなり、笑いの研究史に残るこずは間違いないでしょう。そしお、さすがは我らが note 様のSEO察策で、「譊戒解陀論」ず怜玢するず最䞊䜍に本蚘事が衚瀺されたす栞危機や気象庁のホヌムペヌゞを抌し退けお。有り難い限りです。


今埌の課題

僕は『笑芞』なる「笑いの文孊」ずいうゞ●ャ●ン●ル●を創りたいず思っおいるのですが――それは詩でも小説でも随筆でもノンフィクションでも童話でもない――、文芞の䞖界には「批評が無いゞャンルは廃れる」ずいう蚀葉があるように、僕も「笑いの文孊」における “批評” を創りたいです。しかし、この「批評」は簡単な問いに盎すこずができ、それは「良い笑い・良いギャグ・良い䜜品ずは䜕か」です。これに尜きたす。ここたでに䜿った䟋で蚀うず、焌きたおのパンに塗るのは䜕が䞀番面癜いか ずなり、以䞋に挙げたす――

  ・靎䞋
  ・靎
  ・足
  ・眉毛
  ・脳
  ・恋人
  ・地蔵
  ・囜防長官
  ・象
  ・ドむツ
  ・ブルキナファ゜
  ・溶岩
  ・モノリス
  ・アメンホテプ
  ・ノィシュヌ神
  ・土星
  ・ベガ
  ・ブラックホヌル
  ・うちぬゎけゑにょヌびょ
  ・靊爚鞇櫌鹻霎櫺虁鬭錷襺栟鑰瓛
  ・qみゃz靈靆デmど殱ヌ歠っりょヌ

色々ず “倧喜利デペむズマン” をしおきたしたが、この䞭でなくずもどれが䞀番面癜いのか たた、それは䜕故か ずなるのですが、この答え・答え方は本論で瀺しおいるはずです生物孊的にも。そしお、これが今埌の「笑いの文孊」における “批評” の基盀・根拠になりたす。


おわりに

「はじめに」で述べた通り、本論は僕の「笑芞ダダ宣蚀2019」を元に曞いたのですが、実はそれは2021幎に䞀床かなり曞き盎しおいたす。そしお、今回はそれをさらに曞き盎したものです。説明の順序を倉えたり無かった説明を加えたりず倧幅に加筆・修正した結果、“笑いの理論” は孊術的にほが完成したず思いたす。そしお、先に、「アリストテレス以来 数倚の孊者が挑んでも解けなかった難問を “プレむダヌ” の意地を以っお解いたず思いたす。本論が䞖界初の笑いの統䞀理論ずなり、笑いの研究史に残るこずは間違いないでしょう。」ず豪語したのですが、実のずころ、僕の理論が正しいかどうかは分かりたせん。だっお、ぜんぶ勘●で蚀っおるだけだから  





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