英語フレーズの記録No.7 カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』
数あるnoteの中から、こちらをご覧いただきありがとうございます。
カズオ・イシグロさんの『わたしたちが孤児だったころ(When We Were Orphans)』を読み進めながら、気になった英語フレーズを紹介していきたいと思います。
※物語の一部に触れていますので、未読の方はご注意ください。
今日は、この作品で気になった英語フレーズを1つご紹介します。
... and that, as far as I recall, was all there was to it.
「…そして、それは僕が記憶する限り、それだけのことだった。」
《場面説明》
主人公クリストファー・バンクスが、隠していた野心をうっかり見せてしまった2つ目の出来事について回想します。
1つ目の出来事から数年後のこと、それは、バンクスが教室に入ったときのことです。
先生はまだ来ていませんでしたが、バンクスは少し遅れて入ったようです。 というのも、彼が教室に入ったときには、クラスメイトたちがすでに机の上やベンチ、窓枠などに集まって座っていたからです。
バンクスが5〜6人の男子のグループに加わろうとしたところ、彼らは一斉にバンクスの方を向き、どうやら彼について話していたことがすぐに分かりました。 バンクスが何か言う前に、グループのひとりが彼を指さしてこう言いました。
「でもさ、彼ってシャーロック・ホームズになるにはちょっと背が低すぎない?」
何人かが笑いましたが、特に意地悪というほどではありませんでした。
この後に、バンクスが記憶する限り「それだけのことだった。」という、今日の引用文が続きます。
🌀英語フレーズ
That was all there was to it.
「それだけのことだった」「要するにそれで全部だ」という意味で使われます。とても口語的で、「難しいことは何もないよ」というニュアンスを含みます。
引用文では関係代名詞thatが省略されていて、
本来の形は:
all that there was to it
(それに関してあったすべてのこと)となります。
細かく見ていくと、
all:すべて
there was:存在した
to it:それに関して
※it は直前の話題・出来事・理由などを指す指示代名詞。
これらが一まとまりになり、「それに関してあったことは全部でこれだけ」という意味になります。
例文:
She left because she was tired. That was all there was to it.
(彼女が帰ったのは、疲れていたからだよ。それだけのこと。)
it = 「彼女が帰った理由」
似た表現として以下の表現があります。
That’s it.:「以上」「終わり」。事務的。
That’s all.:「それだけ」。シンプルで軽い。
Nothing more to it.:「他に何もない」。強めに“簡単さ”を主張。
バンクス本人は必死に自分の野心を隠そうとしていたようですが、 クラスメイトたちにもそれとなく伝わっていたようです^^;
この場面の後にバンクスは、
「イギリスに来てからは野心がばれないように控えめに過ごしているが、 上海にいた頃はアキラと一緒に探偵ごっこを自由奔放に演じていた」と語ります。ここで初めてバンクスの幼なじみ“アキラ”が登場します。
バンクスは、幼い頃にアキラと夢中になっていた探偵ごっこを懐かしみ、ロンドンに移り住んでからも、人に気づかれないよう小声で、アキラの役割まで含めて一人でそのシナリオを演じていたと振り返っています。
アキラは、バンクスにとって単なる幼なじみではなく、自分の「探偵になりたい」という思いを形にしてくれた相棒だったのかなと感じました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました☺️
