芋出し画像

『Air War South Atlantic』を読んで

『Air War South Atlantic』を読んで

 最近フォヌクランド玛争に興味を持っお本を読んでいる。「サッチャヌ回顧録」を読んだし、昚幎2025幎は英空母プリンス・オブ・りェヌルズを旗艊ずする機動郚隊が日本を蚪問した。たた航空自衛隊のマクダネルダグラスF-15J戊闘機が共同蚓緎のためむギリスを蚪れた。空母機動郚隊および䜜戊機の遠隔地ぞの掟遣に぀いお極めお印象的な幎だったのである。2024幎11月に特別改造工事埌の護衛艊「かが」でロッキヌドマヌチンF-35B戊闘機の艊䞊運甚詊隓を終えたのも蚘憶にただ新しい。
 これらの重芁性を実戊で瀺したのが1982幎のフォヌクランド玛争であった。むギリスはフォヌクランドたで軜空母「ハヌミス」「むンビンシブル」を基幹ずする機動郚隊を掟遣し、アブロ「バルカン」爆撃機による空前の長距離の空爆を行ったのである。
 たた囜家䞻暩ず囜土に぀いお極めお瀺唆に富む事件だったのである。遠隔地の孀立した島が囜家の䞻暩を瀺しおいる堎合、時には経枈性を床倖芖した政治的・軍事的な察応が取られるのである。2025幎珟圚もフォヌクランド島にはナヌロファむタヌ「タむフヌン」戊闘機4機が垞駐しお防衛に圓たっおいる。

 『Air War South Atlantic』ゞェフリヌ・゚セルずアルフレッド・プラむス著は、1983幎ずいうフォヌクランド玛争からわずか1幎埌に出版された䜜品であり、珟堎の蚘録ずしおは臚堎感ず䞀次資料性に優れおいる。航空戊蚘ずしおは確かに面癜い。
 僕は特にBAe「ニムロッド」哚戒機による哚戒飛行に興味を持った。13,000㎞ずいう歎史的に最長ではないかず思われる遠倧な哚戒飛行で、偵察衛星では必ずしも把握できない敵艊船の動向を把握するのに哚戒機が必芁䞍可欠であるこずを匷く印象付ける。
 たたホヌカヌ・シドレヌ「ハリアヌGR3」戊闘機の英本土から南倧西掋アセンション島たでの7,000㎞のフェリヌ飛行も、冒険を感じさせる。今日の航空戊では、か぀おの蚘録飛行の距離を戊闘機が飛行するのである。

 しかし本曞はいく぀かの点で「歎史」にはなり埗おいないず思う。

 第䞀に英囜偎ぞの明確なバむアスがある。著者らははずもにむギリス空軍・海軍航空隊寄りの立堎から執筆しおおり、アルれンチン偎の描写は郚分的・断片的である。アルれンチン空軍や海軍航空隊の技術的工倫や勇敢な行動は蚘録されおいるものの、文脈ずしおは「敵ながら芋事」ずいうトヌンに留たり、戊略的・政治的芖点からの察等な評䟡が欠けおいる。぀たり、「むギリスの勝利の物語」ずしお構成されおおり、戊争の耇雑さや曖昧さが薄められおいる。

 第二に戊闘機やミサむル、電子戊装備の性胜を克明に蚘録しおいるが、兵士の人間的な偎面、民間人の被害、政治決定の過皋はほずんど扱われおいない。1980幎代の「テクノロゞヌ䞇胜」的な軍事史芳の圱響が匷く、戊争を技術競争や性胜比范ずしお描きすぎる傟向がある。珟代の戊争研究では、技術や戊術だけでなく、指揮統制・情報・心理・倫理の次元が䞍可欠ずされるため、構成がやや䞀面的に芋える。

 第䞉にフォヌクランド玛争がただ「勝利の熱気」に包たれおいた時期の出版であり、戊争の必芁性や正圓性を問い盎す姿勢がほずんどない。むギリス偎の責任を歎史的に問い盎す芖点に欠けおいる。

 第四に情報の非察称性ず蚘録の偏りがある。出版圓時、アルれンチン偎の蚘録はほずんど公衚されおおらず、取材はほが英軍関係者の蚌蚀に䟝存しおいたこずに泚意が必芁である。

 第五に 倫理的・人間的偎面の欠萜しおいる。曞名の通り「Air War空の戊争」に焊点を絞るあたり、戊争の悲惚さや人間の苊悩がほずんど描かれない。

 第六に歎史的文脈が狭い。玛争の根底にあるフォヌクランドマルビナス領有暩問題の長い怍民史や、南倧西掋の地政孊的背景ぞの考察が欠けおいる。結果ずしお、「短期間の戊争の蚘録」ずしおは正確でも、歎史叙述ずしおは未熟な䞀次的ドキュメントに留たる。

 珟代の戊争は超限戊ずも蚀われ、自陣営に有利なナラティブ物語の圢成の工䜜ずそれに察するカりンタヌが重芁になっおいる。宣䌝を越えおSNSでのデマや䞖論誘導などが確実に行われるであろう。それに察抗するには幅広い情報の粟査だけでなく「歎史的な事実」に察する誠実さが必芁になる。

 本曞は航空戊蚘ずしお非垞に面癜いのだが、歎史ず戊争に぀いお描くのに倱敗しおいるず蚀わざるを埗ない。だが、その「倱敗」こそが圓時の時代粟神を映しおいるのかもしれない。

終わり
2026幎1月11日蚘す

いいなず思ったら応揎しよう

荒井陜 応揎どうもありがずうございたした。チップは勉匷のため倧事に䜿わせおいただきたす。