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《魔女のハーブは、あんまり甘くない》 魔女と花の妖精 Chapter 1ー2

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"A cozy fantasy story of a witch, her bitter herbs, and the gentle secrets they hold."


                                     〈2〉

「すごい。ちかくで見ると、かわいいし、すごく美しい顔……」

わたしは、ふくろうの子を見た。

「うん、この森には、こんな子がいるのね…」

ユーカリちゃんは、わたしを見て、つぶやく。

でも、子どもは、まだ歩くのがやっとのようすで、木のうえにむかって、「きゅ、きゅ」と小さな声をだしている。

「かわいそうに。きっと、木から、落ちてしまったのよ」

わたしがいうと、ユーカリちゃんは、うえを見た。

「あそこ……?」

めの前の、高い木のまんなかに、大きな穴が見える。
あそこが、この子の巣なのだろう。

羽が、森の風に、ゆれた。
新緑の葉が、枝から、おちてきた。

「ねえ、この子を、もどしてあげましょうよ」

「え、あたしたちで?」

わたしがいうと、ユーカリちゃんが、おどろいた表情になる。

「うん。わたしが、したから、おんぶするから、ユーカリちゃんは、羽をもちあげて」

わたしは、子どもを見ながら、つぶやく。

「う、うん、わかった……」

ユーカリちゃんは、すこし、とまどいながらも、子どもの背中にまわった。

わたしは「だいじょうぶよ、すぐに、おわるから」と、子どもに、ほほえんだ。

子どもは、すこし、心配そうだった瞳を、やわらかくひろげた。

「じゃ、ユーカリちゃん、せーの…」

わたしたちは、いっしょに羽を、ひろげた。

ぱたぱたと、わたしたちと子どものからだが、地上から空に、のぼりはじめた。

ーえ、けっこう重い。

わたしは、羽に力を、いれた。

「う…、ん」

すこし、からだが、ふらふらした。
子どもが、不安そうに、わたしを見る。

「だいじょうぶよ、心配しないで」

わたしは、背中の子どもに、ほほえんだ。

「え、風が?」

丘からふいてくる風が、木々のあいだをぬけて、わたしたちを持ち上げてくれた。

羽が、風に、のった。

ーようし。

「森の風が…。ほら、あとすこし」

「そうだね。もう、見えてきたよ」

わたしの声に、ユーカリちゃんが、こたえる。

やがて、巣が見えてきたので、わたしたちは、子どもを、あなのなかへと、ゆっくりおろした。

子どもが、うれしそうに、「きゅ」とないた。

「ふうっ、なんとか、この子を、もどせたね」

ユーカリちゃんが、わらった。
わたしは、羽を、そっとなでた。

「そうだね。あれ?」

わたしは、子どもを見た。

なんだか、お腹がすいているみたいで、空にむけて、ぱくぱくと口をあけていた。

「そうだ、これを、あげれば…」

わたしは、手のひらに、ハチミツをだした。

「あ、リリベルちゃん、それは?」

花びらでつくった水とうのなかに、あのハチミツを、いれておいたのだ。

「ほら、これを、飲んで」

わたしは、手のひらを、子どもにだした。

すると、子どもが、小さなくちばしを、ゆっくりと、ハチミツにつけた。

「わあ、よかった」

ユーカリちゃんが、わらった。

しばらくすると、子どもは、ぱたぱたと足をうごかして、そのばに、楽しそうにはねた。

ーやっぱり。

「ね、これは、魔女のハチミツだから」

わたしは、ユーカリちゃんにいう。

「え、リリベルちゃん、あれ?」

ばさばさっと、大きな翼をひろげる音が、風のふくほうから聞こえた。

「あれは…?」

まもなくすると、大きな、しろふくろうが、そばの枝にとまった。

子どもが、しろふくろうにむかって、口をあける。

ーこの子の、母親か。

母親は、じっと大きな黄色い目をあけて、わたしたちを見ていた。

「あ、ちがうの、あたしたちは……」

ユーカリちゃんが、母親になにかいおうとしているが、わたしたちの言葉を、どう伝えれば…。

「きゅ、きゅ」

ー?

すると、子どもが、小さな声で、母親に鳴きはじめた。

「え……?」

ユーカリちゃんが、子どもを見る。

わたしたちのことを、伝えているのだ、きっと。

そして、子どもが、くちばしのさきについたハチミツを、母親に見せた。

「クック」

すると、母親が、おおきく鳴いて翼をひろげると、巣のうえにある小さな穴のなかに、くちばしをいれはじめた。

「……?」

やがて、母親が、光るものをくちばしにくわえて、わたしたちに見せてきた。

「え…?」

ユーカリちゃんが、おどろきの声をあげた。

「これは…、種?」

わたしは、母親のくちばしから、金に光る種をうけとった。

「すごい、金色の種……?」

ユーカリちゃんが、種を見つめる。

「きっと、あの、魔女の花の種だよ」

わたしは、そっと、つぶやいた。

ーやっぱり。種も、金色なのか。

ユーカリちゃんは、目を、かがやかせている。

「どうも、ありがとう…」

わたしがいうと、「クック」と母親がないた。

そして、子どもが、「きゅ」と嬉しそうにないて、わたしたちを見た。

わたしは、ほほえむと、空をみた。

「ほら、もうすぐ、星がでるよ。いこ」

わたしは、ユーカリちゃんに声をかけた。

風がやんだ空に、星が、顔をだしはじめていた。

「じゃ、またね」

わたしたちは、子どもに手をふって、空に向かってとんだ。

                                      ☆

「じゃ、この種を、ここにうめて」

わたしは、ハーブのお店の裏庭に、金の種をうめた。
ユーカリちゃんが、種のうえに、土をかける。

「あと、星の光を、あびれば……」

わたしは、夜の空をみた。
大きな星が、ちょうど、まうえで光った。

「あ……?」

すると、星からの光のすじが、まっすぐに、わたしたちのまえに、のびてきた。

ユーカリちゃんが、おどろいて、種の位置から、すこしはなれる。

「え、星の光が、ここへ?」

光のすじが、どんどん種のうえに、ふりそそいでいた。

ーやっぱり。
   
     妖精の国とおなじで、星の光を、いっぱい
     すいこんでいるんだ。

やがて、光のすじが、星とともに、きえた。

「ほら、ユーカリちゃん、よく見てて……」

わたしは、じっと地面を見た。

「あれ、芽が?」

ユーカリちゃんが、つぶやく。

ゆっくりと、土から金色の芽がでてくると、どんどんと、夜空にむかってのびていった。

そして、のびた茎に、金色の花が咲きはじめた。

「すごい、金色のふちの花びらが、いっぱい。どうして?」

ユーカリちゃんが、わたしを見る。

「いま、あつめた光を、はなってるのよ。魔女の花なの……」

やがて、美しい香りが、庭に、ひろがってきた。
あの、ハチミツの香りだ。

「これで、地上にも、どんどん魔女の花が…」

ーそう、このお店から、魔女の街が、できあが       っていくのだろう……。

「ココちゃん、どこにいったのかな?」

すると、お店のほうから、声がした。

わたしは見ると、あの青い瞳の子が、こっちに歩いてきた。

「ね、リリベルちゃん、こっち」

わたしたちは、ちかくの花のかげに、かくれた。
ふつうの人なら、わたしたちは、見えないはずなのだが……。

「あれ? この花は?」

青い瞳の子は、金の花を見ると、足をとめた。

「わあ、きれい。光の塔みたい」

青い瞳の子が、手をあわせて、よろこびの声をだす。

わたしは、花びらから、そっと、顔をだした。

花からひろがる、あわい金の光のなかで、女神がいるように見えた。

すると、小さな足音が、きこえてきた。

「アカリちゃん、甘くないハーブのいれかたって…、あれ?」

赤みのかかった髪の、きれいな子が、お店からでてきた。

「わ、すごい、きらきらしてる」

赤い髪の子が、金の花を見て、目をかがやかせる。

「ね、セーラちゃん、びっくりしたでしょ?」

青い瞳の子がいうと、赤い髪の子が、にこりと、ほほえむ。

2人で、手をとりあって、よろこんでいる。

「ほんと、よかったね」

わたしが、ユーカリちゃんを見る。

「ね、ほんとに……」

わたしちは、おたがいの顔を見て、わらった。

「あ、あれは…?」

ユーカリちゃんが、お店を見ると、あの黒猫が、お店の開いた窓から顔をだしていた。

そして、わたしと目があうと、黒猫は、ぴょんと、庭におりてきた。

「え…?」

黒猫は、また、なにかを口にくわえていた。
すると、それを、わたしのまえにおいた。

「これって…、種?」

わたしは、おどろいた。

小さな銀色の種が、かがやいていた。
ユーカリちゃんが、目をあける。

「銀色って…? 」

ユーカリちゃんの言葉に、わたしは、はっとした。

「まさか、これは……」

妖精の国の、銀色の花の種を持つ人って…。

わたしは、金の光のなかで、手を取り合っている2人を見ると、しぜんに、ほほえんだ。

「ほんものの、魔女さんたちなのね……」

わたしの言葉に、黒猫は「ニャオ」と、楽しそうにないた。


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☆Cat & Flower☆

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《魔女のハーブは、あんまり甘くない》
                                               魔女と花の妖精

                                                                 END

Thank you for reading Chapter 1.

See you in Chapter 2!💐🐈‍⬛🩷🤗
 
                                           

                                                                                                                                                                                   

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