《魔女のハーブは、あんまり甘くない》 ソアラと魔女のお茶会 Episode1−2
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"A cozy fantasy story of a witch, her bitter herbs, and the gentle secrets they hold."
<2>
「射手座が、あんな、ちかくに?」
わたしは、星空に、ひらいた手を、のばした。
あたたかさが、指さきから伝わる感じがして、星が、手のなかにはいったような、気分になった。
「わあ、かわいい」
メルルが、楽しげな顔で、テーブルに、ティーカップをならべ、アロマキャンドルを、そばにおく。
「すてきね。じゃ、ハーブティーは、私が」
先生も、ティーカップに、ハーブティーをいれて、嬉しそうに声をだす。
「ちょっと、おそい時間だけど、いいのかな?」
わたしは、夜空を見ると、雨あがりの大地からの、さわやかな草の香りが、ながれてきた。
「ええ。たまには、こういうのも、いいわね」
わたしは、用意してあったティースタンドに、ケーキやスコーン、サンドイッチをならべた。
「わ、おいしそう」
メルルが、声をだす。
「ニャオ」
「あ、この子も、楽しそうね」
わたしは、黒猫の、背中をなでる。
「そうだ。まだ、この子の名前を、つけてないの」
メルルがいうと、わたしは、テーブルのルバーブのジャムの瓶が目にはいった。
「じゃ、ルーブで、いいかな」
「あ、いいね、それ」
メルルが、嬉しい声をだす。
「うん、そうしましょう」
メルルが、ルーブと名づけた黒猫を、だきあげる。
わたしたちは、イスに座り、テーブルをかこむと夜空をながめた。
テラスのさきの、小さな泉に、星の光が、うかんでいた。
「お茶会なんて、ほんとに、ひさしぶり」
先生は、ハーブティーを飲むと、ほほえむ。
「おいしい、あんまり甘くなくて。それに、雨上がりって、いつもより、星が、くっきりしているみたい」
「あれ?」
わたしは、メルルの胸の、小さな光を見た。
「え、ペンダントが?」
ペンダントが、かがやいていた。
「ねえ、見て、あの星」
メルルが、夜空の射手座を、ゆびさした。
「え、あの光は……?」
射手座が、さっきより、かがやいている。
やっぱり、わたしたちを、呼んでいるみたい…。
「それじゃあ、これを」
メルルは、星にむけて、ペンダントをかざした。
「ソアラちゃん、いい?」
メルルが、わたしを見る。
わたしは、うなずくと、右手で指の輪をつくり、星とペンダントのあいだに、かざした。
「星の光よ、ほほえんで…」
メルルが、つぶやいた。
ペンダントから、白い光がでると、指の輪のなかをとおって、星までのびた。
わたしは、はっとした。
「見て、射手座の星が、ゆらいでる……」
射手座の弓から放たれた星の矢が、夜空のなかをとんでいった。
「ほら、射手座の矢が、とんでいく。わたしたちの星座……」
メルルが、つぶやくと、星の矢が、ほかの星にあたり、大きく光った。
「まあ、こんなことが」
先生が、口に、手をあてて、おどろく。
「え、先生?」
わたしは、先生を見る。
「矢が、魔女座に……?」
先生が、星空に、声をだす。
あれが、さっき、いっていた……。
はっきりと見るのは、はじめてだ。
なんて、きれいな、星のならびなんだろう。
すると、魔女座の、白い星が、光った。
「ラ・ リィアが、かがやいて……?」
先生が、星に、つぶやく。
「え、その星は?」
「ええ。私たち魔女の、最高の星……」
わたしの言葉に、先生が、こたえた。
「あの星を、あやつることができるのは、最高の魔女だけ……」
先生の言葉に、わたしとメルルは、顔を見あわせる。
「その魔女の魔法が、光の大地を、つくりあげるのよ……」
すると、ラ・リィアからの光が、大地にのび、泉をてらした。
メルルが、おどろいて、ペンダントから、指をはなしそうになる。
そして、しばらくすると、光は、きえた。
「え、いまのは……」
わたしは、星を見たあと、先生のほうを、むいた。
先生は、わたしに、小さく、うなずいた。
「え、ソアラちゃん、あれは?」
小さな泉のそばに、光る花が、咲いているのが見えた。
「あれって、はじめて見る花だけど。え、ええ……?」
やがて、泉をかこむように、たくさんの金色の花たちが、つづくように咲いた。
「わあ」
メルルが、手をとりあって、よろこぶ。
ルーブが、「ニャ」となく。
「金色の花?」
小さな、金色の花の輪が、夜のなかで、かがやいていた。
「すばらしいわ。あなたたちが、咲かせたのよ」
先生が、わたしたちを見て、ほほえむ。
「わたしたちが?」
メルルが、おどろいた表情になる。
あれが、光の大地を、うむのだろうか。
「ええ。あの花は、魔女の花。魔法をうみだす花なの」
わたしは、はっとした。
たしか、その言葉って……。
「ね、メルル。あれで、ハーブティーを、いれても、いいかな……」
わたしがいうと、メルルは、にこり。
「ようし、じゃ、すこしだけ」
わたしは、テラスをおりると、泉のそばまで歩いた。
「すごい。光る泉ね………」
わたしは、つぶやくと、金色のハーブの葉を10枚ほど、つんだ。
生のハーブだから、このくらいは、必要だ。
すぐに、わたしは、テラスにもどると、メルルが、お湯のはいったティーポットを用意していた。
「ソアラちゃん、香りが、ながれないようにね」
わたしが、ハーブの葉をティーポットにいれると、メルルは、すばやくフタをする。
ルーブが、「ニャオ」となく。
「わ、すてきな色。ね、ソアラちゃん」
メルルが、ハーブティーがはいったカップを、そっと、わたしの前にだした。
「わたしが…、飲んでいいの?」
わたしの言葉に、メルルが、うなずく。
「先生。これを飲めば、わたしは……」
わたしは、先生を見る。
「ええ、きっと、すてきな魔法が、あなたにやどるわ……」
先生は、わたしに、つぶやく。
「いただきます……」
わたしは、ハーブティーを、ひとくち飲んだ。
ルーブが、小さな目で、わたしを見ている。
わたしは、目を、つむった。
たくさんの金の糸が、わたしを、つつみこむような、感じがした。
ーやわらかい。
「この感じは……」
わたしは、目をあけると、ティーカップから、口をはなした。
「おいしい。こんな香り、はじめて……」
わたしがいうと、ルーブが、わたしの足もとにきて、小さなからだをつけた。
「?」
ーなんだろう。
ルーブの、からだが、光ってるような?
「ソアラちゃん、指が?」
メルルが、わたしを見る。
わたしは、左手を見ると、指さきが光っていた。
「え、これは、もしかして……?」
やがて、左手が、自然に、谷のほうをむくと、ゆびさきから、光の矢がのびた。
「ニャ」
ルーブが、わたしを、見上げている。
わたしは、自分の指さきを見て、おどろいた。
「さっきの、星の矢みたい……」
メルルが、光の矢に、つぶやく。
しばらくすると、指さきから、光の矢が、きえた。
「これは、魔法なの……?」
わたしは、自分に、話しかけた。
「ほら、2人とも、あれを見て……」
先生が、わたしたちに、声をだす。
わたしたちは、谷のほうを見た。
「あれは……」
わたしは、目をひらいた。
大きな谷に、虹が、かかっていた。
「わあ、虹が?」
メルルが、イスから、たちあがる。
虹は、遠い、むこうの大地まで、のびた。
「ね、ソアラちゃん、近くで、見てみない?」
メルルが、ルーブをだきあげていうと、わたしは、ほほえんで、いっしょにテラスをでて、谷にむかった。
「すごい、大きい」
「ニャオ」
メルルとルーブが、虹に、声をだす。
「これが、ハーブの魔法なの……」
わたしは、谷のむこうにむかって、つぶやいた。
ーでも、これは、まだ、最高の魔法ではない。
夜空の魔女座が、そう伝えている気がした。
ルーブが、わたしを見て「ニャ」とないた。
「あら、わたしに、なくなんて、めずらしいわね……」
わたしは、ルーブに、ほほえんだ。
「ね、先生も、つれてこようよ」
メルルが、そう言って、わたしを見る。
「そうね、それがいいわね」
虹が、しずかに、語りかけているように感じた。
わたしたちは、テラスにもどってみると、先生の姿が、なかった。
「あれ、先生は?」
メルルが、あたりを見回す。
「どうしたんだろう……、あれ?」
わたしは、テーブルのうえに、小さな手紙があるのに、きづいた。
「なんだろう?」
わたしとメルルは、手紙を見た。
「 <メルルちゃん、ソアラちゃんへ>
素敵な、お茶会を、どうも、ありがとう。
あなたたちの成長が見れて、とても、楽し かったです。
2人が、素敵な魔女になるのを、星の世界 から、みまもっています。
また、会うときまで 」
手紙を読み終わると、わたしたちは、顔を見合わせた。
「え、どういうことなんだろ?」
わたしは、つぶやく。
「星の世界って?」
メルルが、わたしを見る。
「ね、あれ見て、メルル」
わたしは、夜空の魔女座を見た。
「あの星が、光っているよ」
きらりと、白く光る星があった。
「もしかして、先生……、あそこに?」
メルルが、わたしを見る。
「ニャオ」
ルーブが、ないた。
なにかを、伝えている目だった。
ーえ、つまり……。
「ね、先生は、わたしたちに、教えにきたんじゃないかな」
わたしがいうと、メルルは、はっとした表情になる。
「星の世界から、ハーブの魔法を?」
メルルがいうと、わたしは、メルルに、うなずく。
わたしたちは、ゆっくりと、イスに座ると、ルーブが、メルルのヒザのうえにのる。
「ね、わたしたちが、あのハーブを育てようよ」
メルルが、泉のそばで光る、金のハーブを見る。
「そうね。すてきな魔法を、いっぱい覚えないと」
わたしの言葉に、メルルが、にっこり。
ー本当に、すてきな笑顔だ。
わたしは、谷にかかる虹を見ると、はっとした。
〈素敵なハーブを育てれば、素敵な魔法を手にできる〉
あのとき、この言葉を、教えてくれた人って…。
きらりと、夜空の星が光った。
すると、メルルのペンダントも、小さく光った。
わたしは、テーブルの手紙を、もう一度見ると、ある記憶が、よみがえってきた。
「あ、先生の名前って、たしか……」
そう、たしか……。
「え、ソアラちゃん、どうかした?」
メルルが、わたしを見る。
「ううん。じゃ、星のお茶会のつづきを、しようか」
わたしは、イスから、立ちあがった。
「うん、わたしも、金のハーブティー、飲んでみたい」
メルルがいうと、ルーブが「ニャオ」と、楽しそうにないた。
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魔女ハーブは、あんまり甘くない
ソアラと魔女のお茶会 Episode 1
Thank you for reading Episode1.
See you in Episode 2!🤗🐈⬛🌈
END
