永遠に愛しい人
これまで、夫の母との思い出を、Kindleで3冊書かせてもらった。
お母さんと過ごした時間は、それほど長くはない。
それでも、思い出す話はたくさんある。
その中でも、ずっと書こうか迷っていた話がある。
今回は、お母さんの名前が欠かせない話なので、あえて有料記事として書いてみようと思う。
これまで、お母さんの話を読んでくださった方なら分かっていただけると思うけど、お母さんはとても個性的で、クセが強くて、本当に面白い人だった。
話し方も独特で、思ったことはハッキリ言う。
人に媚びるようなタイプではなかったので、若い頃は敵も多かったようだ。
お風呂上がりには、なぜか下半身だけバスタオルを巻いて出てくる。(デカい乳丸出し)
まるで、おっさんみたいなお母さん。
そんなお母さんが、私にしてくれた話がある。
お母さんは伊豆の出身で、中学を卒業すると横浜へ出てきた。
食堂でレジ係として働いていたそうだ。
調理人さんから料理を教わったという、お母さん。
お母さんが作るごはんは、どれも本当に美味しかった。
当時はいろいろなお客さんが来ていたらしい。
見た目は決して綺麗な身なりではないのに、腹巻きの中に全財産を入れて持ち歩き、羽振りの良かったお客さん。
そんな話を、楽しそうによく聞かせてくれた。
そしてある日、お母さんは、若い頃に出会った忘れられない人の話をしてくれた。
お父さんと出会う前のことだ。
常連のお客さんの一人に、お母さんへ好意を寄せていた男性がいた。
その人は船乗りだった。
お母さんは、その人にこう言ったそうだ。
「あたしはね、港、港に女がいるような男は好きじゃないんだよ」
その男性は、決してそんな人ではなかったらしい。
でも、お母さんのそんな気の強さも魅力だったのだろう。
二人が恋に落ちるまで、時間はかからなかったという。
その人は鹿児島の出身だった。
家庭の事情で船を降り、故郷へ帰らなければならなくなったそうだ。
「一緒に来てほしい。」
そう言われた。
でも、いろいろな事情があり、お母さんはついて行くことができなかった。
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