プランダジネットのシャンデリア
時間のない世界、時代を超えて歴史を駆け巡り、未来の枝葉さえ見渡せる。空間のない世界、アンドロメダの果てまでも一瞬なのさ、距離の概念がないのだから、好きな世界史の名場面を映画のエキストラみたいに共演できる。いつしか私は心の翼で、中世ヨーロッパの母、フランスのバラと称される「アリエノール・ダキテーヌ (Aliénor d'Aquitaine)」の晩餐会に入り込む。トルバドゥール(Troubadour)が歌い上げる抒情詩、リュートやハープのリズムに舞い、香しいボルドー・ワインを片手に燭台の光に酔い痴れると、欧州12世紀は、彼女の逸話でミステリアスに彩られていた。
当時はロマネスク様式の成熟期、木製シャンデリアが仄かに宮廷を照らす。王冠や車輪のデザイン型に蝋燭を立てる照明、真鍮や水晶装飾はまだない。「フランス中世歴史散歩 (白水社: レジーヌ&ジョルジュ・ベルヌー)」によると、アリエノールはラテン語で「アドミラビリス・アクートゥス」(すこぶる機転が効き冴える)と評され「人を不安にさせるほどの美人」だった。自由奔放なパリピの大令嬢は、修道僧のように信心深いフランス王ルイ7世(カペー朝)に愛想を尽かして離婚。「せいせいしたわ」とすぐさま、イングランド・プランタジネット朝の創始者ヘンリー二世と電撃的に再婚する。なんと、フランスに続いてイギリスの比類なき王妃となるのです。

プランタジネット朝は始まりから、甚だしくめちゃくちゃな家系であった。英米の舞台劇・映画「冬のライオン(The Lion in Winter)」は、1183年クリスマス、シノン城に集結した一族の愛憎を描いている。アリエノールは、ヘンリーとの間に五男三女、前夫ルイとの間に二女の子宝に恵まれたが、骨肉の政争にまみれた。三男は十字軍で中東に乱入し、イスラム・アイユーブ朝の英雄サラディンと奮戦するリチャード獅子心王。ヘンリーの寵愛した末っ子は、ルイが再婚した妻との息子フリップ尊厳王に誑かされるジョン失地王、ヘンリーは次第に不倫に耽り、アリエノールを幽閉してしまう。波乱の生涯に拘わらず、晩年まで彼女の勇敢な行動力は衰えず82歳の長寿をまっとう、フォントヴロー修道院で、ヘンリーとリチャードの傍らに眠った。
The Lion in Winter (1968):
アリエノール役 キャサリン・ヘップバーン
ヘンリー役: ピーター・オトォール、リチャード役 アンソニー・ホプキンス
そんなアリエノールの大胆不敵な生き様や絢爛なシャンデリアの輝きとは、縁もゆかりもないが、とある占いで人生テーマに「羽目を外す、悪ふざけ」などありましたね、と言われたことがある。え~、何それ、占い師はいくつか回答のパターンを揃えるが、そんなカードあるのと思いつつ満更でもない気がする。かろうじて世の中の寛容さが漂っていた人生の前半は、遊び心、から騒ぎ、悪ノリなくしてつまらない、と決めてきたのかもしれない、
若かりし頃の気兼ねない同期の二次会、失恋の痛手であろうか、握りしめたグラスをブチ壊して血まみれになり意識は朦朧、独身寮の部屋にいたる廊下に血が滴る不始末。それにしても、友人に救われつつ、覚えていないのになんとか帰宅できるのは不思議でならないが、ある時は、靴、時計、メガネの三種の神器をなくした(心優しい一つ上の先輩は、カバンをなくしていた)
苦難を乗り越えたプロジェクト打上げで泥酔、タクシーは乗車拒否となり、仲間が救急車を呼んでくれて搬送、朝目覚めたら文京区のとある病院で点滴を受けていた。「急性アルコール中毒ですからね」と宿直看護師さんの苦い微笑が虚ろに揺れる。いったいどうしたことか、平日なんだ出社せねばと、吐きそうなまま病院を抜け出し通勤ラッシュを逆流、よれよれの淀むスーツで帰宅する。この先はご想像にお任せするが、時を経ても、ふとした拍子に「ねえ、請求書届いて病院に支払いに行ったの私・・」あ、逃げ場がない
海外ではさすがに命にかかわるから気が張っていたが、久しぶりのローカル社員との再会に浮かれて、よりによってテキーラをグイグイ飲み交わした。あいにく期末日、決算を締める責任者にも拘わらず酩酊、オフィスのデスクにもたれて気づくと深夜2時。憐れむ優秀な部下から「すべて終わりました、ご安心を」との報告に、赤面して深謝するばかりだった。
「そんなこともあるさ、ご愛嬌」か、「度を超すのも、いい加減にしろ」か人それぞれ価値観で大きく触れるでしょう。過去にこころの脆さ、危うさをえぐり出したから、いまは社会的なペルソナ(仮面)を被らない隠れ家バーでさっぱりと愛飲を嗜んでいる。人間関係や仕事の苦境、虚無への叫び声に、思いっきり感情を解放(カタルシスCatharsis)する醍醐味を抱擁したい。そう、わたしにとって、Siaの代表曲「Chandelier」は、圧巻のボーカル、彼女の分身を演じる少女Maddie Zieglerの切なく独創的なダンスとともに、いつも力強く生きる勇気を呼び覚ましてくれるのです。
Maddie Ziegler & Sia Perform Chandelier On The Ellen DeGeneres Show
Party girls don't get hurt
Can't feel anything, when will I learn?
I push it down, push it down
I'm the one "for a good time call"
Phone's blowin' up, ringin' my doorbell
I feel the love, feel the love
パーティガールは傷ついたりしない
何も感じない いつになったら分かるのかしら
感情を抑え、 押し殺すの
私は "都合のいい女"だから
電話がきて ドアが鳴る
それで 愛を感じてしまう
1 2 3, 1 2 3, drink
1 2 3, 1 2 3, drink
1 2 3, 1 2 3, drink
Throw 'em back till I lose count
1 2 3、1 2 3で飲んで
1 2 3、1 2 3で飲んで
1 2 3、1 2 3で飲んで
意識が溺れるまで飲むのよ
I'm gonna swing from the chandelier
From the chandelier
I'm gonna live like tomorrow doesn't exist
Like it doesn't exist
I'm gonna fly like a bird through the night
Feel my tears as they dry
I'm gonna swing from the chandelier
From the chandelier
シャンデリアからぶら下がる
シャンデリアから
明日なんて無いみたいに今を生きていく
明日なんて存在しない
一晩中、鳥のように夜空を飛んで
涙が乾いくのを感じる
シャンデリアからぶら下がる
シャンデリアから
But I'm holding on for dear life
Won't look down, won't open my eyes
Keep my glass full until morning light
'Cause I'm just holding on for tonight
Help me, I'm holding on for dear life
Won't look down, won't open my eyes
Keep my glass full until morning light
'Cause I'm just holding on for tonight
On for tonight
でも私はこの人生に必死にしがみつく
下を見ないで、 目を開けるのが怖い
朝までグラスを満たしておいて
だって 私は今夜だけ乗り越えるから
助けて 、まだ生きていたい
下を見ないように 目を開けないから
朝が来るまでグラスを満杯にして
だって 私は今夜だけしがみつくの
今夜だけ
Sun is up, I'm a mess
Gotta get out now, gotta run from this
Here comes the shame, here comes the shame
朝日が昇り、 私はめちゃくちゃ
すぐにここから 逃げなくちゃ
もう壊れてる、恥ずかし過ぎる
