障がいのある人を笑いものにする人
えーと、ほんとは「ファンタジウム」のための取材日記を投稿する予定でしたが、ちょっと思い出したことがあるので書いておきますね。以前、「知的最先端人」みたいに言われている〇さんと、編集さんと私の三人で割烹でお酒を飲むことになりました。私はお酒がダメなので、お料理だけ頂きましたが、宴もたけなわ、盛り上がってきたらとつぜん〇さんが、良く訪れる震災の被災地に行ったお話を始めました。それはそれは、とこっちも聞く姿勢になったのですが、酔っぱらった彼の口を突いて出たのは驚くような話でした。以下、要約⇒
〇さんが被災地で取材中に知り合った女の子は十九か十八歳、知的障がいがあって、その辺で知り合った行きずりの男性相手に売春をしているという。その商売の手口が凄くて、地域の観覧車だったかゴンドラだったか、とりあえず一周回って戻ってくるような密室になる遊具に男性客と一緒に乗って、その間にセックスをしてくるというものでした。「その女がすっげえバカでさ。どうやってセックスすると思う?」と大笑いしながら〇さんが私に聞いてくるので「さあ」と返すと「男と二人っきりになったところに怪談を話すんだって、そうすると男がおびえてそのまま抱き着いてきて、やっちゃうんだって‼もうすっげえバカなのよ!ハハハハ」と話して大爆笑…しらふだった上、なんとかして話を合わせようとしていた私は行きたくもないトイレに何度も行って、違う話になってないかなと思って戻ってくると、〇さんはその女の子の話がしたくて仕方ないらしく、真っ赤な顔で「すっげえのよ、バカ女で。一日80人位とやってるってよ」と大声で繰りかえすのでした。セッティングしてくれた編集さんも、お店のご主人も、そして私も「これは酔っぱらった上での放言で、それを厳しくたしなめるべきなのか?」とモヤモヤした空気の中で、〇さんだけが大笑いしており、時間が来たのでとりあえず宴席はお開きになりました。
私は遅い電車に揺られて一人で帰宅しましたが、〇さんが話した女の子の事をずっと考えていました。被災して、家族が病気か、自分も障がいがあって、仕事が無くて、お金が無くて、必死で働くすべを見つけたのかもしれない、ただ単純に淋しくて悲しくて手近な男性と触れ合いたいだけかもしれない。私は顔も知らない、会ったこともない彼女がどんな子なのか、ずっとずっと考えていました。でもそういう風に考えない人もいるんですね。〇さんは知的であるのが売りで、誰もが一目置くような人のはずなんですが…その晩から私は幽霊の正体見たり枯れ尾花って言葉がずっと脳裏でグルグル回っています。知性があれば、賢ければ、人より鋭く考えられるし、誰もが羨むうまい生き方ができる。そんなあさはかな発想で、必死で闇雲に生きている人を軽んじる人間を心底軽蔑します。障がいのある女の子を「すげえバカ」「すっげえバカ女」と言いながら大声で笑い転げたあの顔を、思い出したくないけど、忘れられません。あなたのような屑を、いつか漫画に描いて差し上げます。
