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【詩】あやかし

あやかし

ともし火の 揺れるほうへ
ふらり ふらりと

耳慣れた声が
確と聞こえたのに
近づいてみても
風の音がするばかり

藍に溶ける 着物の裾
薄闇にまぎれ
あえかに みだれ

風のなかなのか
自分が風なのか
わからなくなるような

むせかえるほどの
あまい花の匂いに
やにわに我にかえる

ともし火は なお遠く揺れ
近づけど 声は幽かに 
白南風とまじりぬ

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