アイブリーのモバイル開発におけるAI活用
本記事は、#IVRy_AIブログリレー の9月16日(10日目)の記事です。先週9月11日は、jigsawさんの「LLMの期待外れをプロンプトの継続改善で克服する」という記事を公開しました。ブログリレーの記事一覧は「IVRy AIブログリレー全記事まとめ」をぜひご覧ください。
こんにちは、アイブリーでソフトウェアエンジニア(モバイル)をしているamemiya(@mirock)です。最近のAIツールの進化がすごく、開発体験がガラッと変わっていくのを感じています。
特に去年末から今年前半にかけてはより高度な開発を任せられるAIツールであるCursor、Devin、Claude Codeが登場して、モバイルチームでも活用しています。
本記事では、アイブリーのモバイルアプリ開発にフォーカスしてAI活用について紹介します。
目次
アイブリーアプリの技術構成
前提としてFlutterを使ったモバイル開発は、iOS・Androidという異なるプラットフォームに対応する必要があり、各プラットフォームにはライフサイクルや独自の設定が存在しています。ファイル種別も多岐に渡っており、結果としてソースコードが複雑になっています。
アイブリーのモバイルアプリはそれに加えて、基本的な操作画面の大半はWebView、VoIPを使った通話機能部分はAndroid・iOS側のコードをMethodChannel/PigeonでFlutter側から呼び出すという構成になっています。よく使用するファイル種別の割合を集計すると以下のような構成になっています。
Flutter/Dart:約4割
Android(Kotlin):約2割
iOS(Swift):約4割
FlutterだけでなくAndroidとiOSの知識が求められ、それらを行ったり来たりするため、実装と理解、スイッチングコストが重くなっています。
AI活用ツールの変遷(2024年〜2025年)
アイブリー開発チームのAI導入に関しては、komatakiさんのブログで説明しています。全体的にスピード感をもって導入してもらっており、例えばCursorなどは導入しようという開発内での意思決定から3日ほどで導入されており、開発者としてはストレスなく新しいツールを活用できているという状態です。
開発チーム全体に追従してアイブリーのモバイルチームでは、以下のタイムラインでAIツールを導入してきました。
2024年:GitHub Copilot
2025年2月:Cursor
2025年3月:Devin
2025年6月:Claude Code
2025年9月:Claude Code Agent
各AIツールの使い分けと具体的活用法
Claude Code
モバイルエンジニアのメンバーがメインで利用しているツールです。基本的なコーディング作業に使用し、他のツールよりも妥当性が高く、実装に使える提案が多く得られます。Flutter/Dart側のコードとAndroid・iOSのコードのブリッジ実装でも正確に動作するコードを生成してくれます。
Opus 4.1とSonnet 4で性能差があるため、Sub Agentを活用して実装がプロジェクトの定義やセキュリティ要件に沿っているかをレビューするほか、Claude Code Actionを利用したコードレビューで、ケアレスミスやセキュリティリスクがないかをチェックしています。Claude Code Actionも活用しており、ケアレスミスやセキュリティをチェックしています。
Cursor
実装の理解や仕様の調査、小規模な切り出しタスクの実装に使用しています。VSCodeベースのため既存のワークフローに馴染みやすいのが特徴です。ただし、Flutter/Dart側のコードとAndroid・iOSのコードのブリッジを含めた実装など、コードベースが大きくなると修正が必要な提案が多くなる傾向があります。
Devin
実装の理解や仕様の調査でCursorと併用しています。高速なレスポンスが特徴で、体感的に良いフィードバックが得られます。エディタを開かずにSlackやDevinコンソール上でコーディングできる点も便利です。また、小規模な独立したタスクの自動実装にも適しています。
個別の活用状況とAIツールの組み合わせ
チームメンバーのAIツールの個別の活用状況は多様です。開発環境ではAndroid StudioとCursorの両方を使用するメンバーや、CursorにClaude Codeを接続して使用するメンバーがいます。全体的にはCursor、VSCodeユーザーが多数を占めています。
各メンバーが自分の作業スタイルに合わせてツールを組み合わせています。
AIモブプロの導入
AIツールの活用状況がメンバーによって異なる中で、ツールに対する知識量にも差が出てきていました。そこで、モバイルチームでは「AIモブプロ*1」という取り組みを実践しています。
AIモブプロでは、まずチーム内で気になるAIツールをピックアップし、多数決で試すツールを決定します。選ばれたツールは環境設定から始めて、実際に何かを作らせてみる等想定通り動いてくれるかを見て実力を測定します。
検証後はチーム全体で効果や使い勝手を議論し、導入方法やつまずきやすいポイントを共有します。「なんとなく良かった」ではなく、開発速度向上やエラー削減など具体的な効果を数値化することを心がけています。
導入の成果
バグ削減
Claude Code導入後、パッチリリースが50%以下に減少しました。今後は、Claude Code Actionを利用したコードレビューによってさらなるバグ削減を図っています。
今後の展望
新しいツールへの継続的な挑戦
技術の進歩が早い分野であるため、新しいツールが出たら積極的に試していく方針です。例えば最近ではOpenAIのCodexがベンチマークのスコアも導入に向けて進めていきたいです。
既存ツールの最適化
Claude Codeの性能はSonnetを使用していても比較て他のツールより高いため、HookやSub Agentを使った調整で性能向上を目指していきます。
チーム全体の底上げ
AIモブプロの取り組みを継続し、個々の活用状況のバラつきを解消しつつ、チーム全体の生産性向上を図っていきます。
他ツールとの連携
FIrebase MCP*2で上がってきたエラーを自動的に直してくれたり、Figma MCPでデザインシステムから自動的にUIコンポーネントを作成してくれるようにして、開発者が重要な作業に集中できるようにしていきます。
まとめ
アイブリーのモバイルチームでは、複雑な技術構成というチャレンジングな環境の中で、様々なAIツールを使い分けながら開発効率の向上を実現しています。「AIモブプロ」という取り組みを通じて、チーム全体でのナレッジ共有と継続的な改善を行っている点が特徴的です。
AI活用による開発の変化は今後も続くと予想されますが、チーム一丸となって新しい技術を取り入れながら、より良いプロダクト開発を目指します。
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*1 モブプロ(モブプログラミング)とは、複数のエンジニアが1つのコンピューターで協力してプログラムを作成する開発手法です。1つのコンピューターの前に3人以上が集まり、役割を分担しながらプログラム開発を進めるのが特徴です。
*2 MCPは、AI(人工知能)モデルと外部のデータソースやツールを結びつけるための、Anthropicが提案したオープンソースの標準プロトコルです。
