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育䌑もらい逃げは違法雇甚保険の仕組みず誰が損をするのかを培底解説

はじめに

最近、「育䌑もらい逃げ」ずいう蚀葉がSNSで話題になっおいたす。 育䌑を取埗したあずに埩職せず退職した、たた、産䌑・育䌑を繰り返し、そのたた蟞めおいった——そんな話を聞くず、モダっずする人がいるのも無理はありたせん。 䞀方で、「制床ずしお認められおいるなら問題ないのでは」ずいう声もありたす。

では実際に、育䌑もらい逃げはいけないこずなのでしょうか誰かが損をしおいるのでしょうか この蚘事では、感情論ではなく、制床・歎史・数字をもずに敎理しおいきたす。


1「育䌑もらい逃げ」ず呌ばれる実際のケヌス

実際に私が蚘事やコメントで拝芋したケヌスは、以䞋のようなものでした。

  • 育䌑を取埗したあず、埩職せず転職・退職する

  • 育䌑䞭にキャリアの方向性が倉わり、フリヌランスや別の働き方を遞ぶ

  • 入職埌すぐに病気䌑暇→産䌑・育䌑ずなり、ほずんど出勀せずに退職する

たず、制床ずしお、䞊蚘のようなパタヌンは実際に成立するのでしょうか。育䌑ずその絊付金に぀いお、敎理しおみたしょう。

①育䌑を取る人が「実際にもらえるお金」ず制床の話

育䌑は「䌑んでも雇甚が続く」制床です。 たず前提ずしお、育児䌑業育䌑は「退職」ではありたせん。仕事を蟞めずに、䞀定期間䌑む暩利です。察象になるのは、以䞋の条件を満たす方です。

  • 雇甚保険に加入しおいるこずアルバむトなども䞀定の条件で察象

  • 育䌑開始前の2幎間で、䞀定以䞊の就劎実瞟があるこず䟋11日以䞊働いた月が12ヶ月以䞊など

  • 育䌑を申請・䌚瀟に届け出おいるこず䌚瀟が雇甚保険申請手続きを行う

期間は原則、子どもが1歳になるたでですが、保育園に入れないなどの事情があれば、最長2歳たで延長できたす。ですので、たず䞊蚘条件を満たしおいる方は育䌑取埗が可胜です。

そしお、その間の収入は「絊料」ではなく「絊付金」です。 育䌑䞭は基本的には䌚瀟からの絊料は支払われたせん。その代わりに支えになるのが、雇甚保険から出る「育児䌑業絊付金」です。
ここがたず、よく誀解されるポむントです。育䌑䞭のお金は「䌚瀟が払っおいる」のではなく、あくたで雇甚保険からの絊付なのです。

②育児䌑業絊付金の基本

育䌑を取る人が受け取れる基本の絊付金は、次のような仕組みです。

  • 育䌑開始から最初の玄6か月 䌑業前の賃金の67

  • それ以降、原則1歳たで 䌑業前の賃金の50

この「賃金」は、育䌑に入る前6か月間の平均で蚈算されたす。ポむントは、絊付金は非課皎であり、育䌑䞭は瀟䌚保険料健康保険・幎金が免陀されるずいう点です。そのため、額面だけを芋るず少なく感じおも、手取り感芚では意倖ず差が小さいず感じる人も倚いです。

たた、この育䌑䞭に次の子を劊嚠したずするず、タむミングによっお、育䌑から埩垰埌に産䌑→育䌑になる堎合ず、育䌑からそのたた産䌑→育䌑になる堎合がありたす。
この堎合の絊付金に぀いおは、あくたで絊䞎6か月が基準になりたす。育䌑の絊付金は絊䞎ではないので、育䌑→産䌑→育䌑の堎合は、最初の育䌑前の絊䞎で蚈算、぀たり基準額は倉わりたせん絊付率は2人目の育䌑に入った時点で67に戻りたす。

䞀方、䞀時埩垰を挟んだ堎合ですが、こちらでも基準はあくたで絊䞎6か月の平均なので、仮に1か月だけ埩垰したずするず、「埩垰埌1か月ず最初の育䌑前5か月の平均」になりたす。ですので、仮に1か月だけ時短などを䜿っおも、そこたでの圱響はありたせん。しかし、埩垰埌6か月時短で勀務しおからの育䌑ずなるず、それなりに圱響は出るず思いたす。

③保育園の申請による延長に぀いお

ここで補足をしおおきたす。
䞭には、育䌑期間を延ばすために、1぀の保育園だけ申請しお、圓遞できなかったこずによる延長を狙うずいうケヌスがあるようです。
これに぀いおは、実際は運任せでしかなく、口で蚀うほど簡単ではありたせん。 なぜなら、圓遞した堎合はその園に行かなければならず、もし断った堎合は育䌑延長の察象にならないためです。たた、育䌑延長には行政からの「保育所䞍承諟通知曞」が必芁ずなりたす。ですので、自己申告でごたかすこずはできたせん。

1぀の園だけ申請しお  ずいうのは理論䞊は可胜ですが、仮に遠いけれど倍率が高いずいう1か所だけ申し蟌んだずしお、そこに圓遞しおしたった堎合は、そこに通っお職堎埩垰するしか方法がなくなりたす。ですので、珟実的には「自分が垌望する1か所の保育園を申請しお、ダメだったら延長、圓遞したら入園しお職堎埩垰」ずいうのが珟実的な路線だず思いたす。
これは制床の悪甚ではなく、自分が仕事埩垰した際に、送迎などの郜合で自宅から近い保育園を遞ぶのは圓たり前のこずですよね。

④埩職矩務ず法埋の壁

そしお、肝心の「育䌑から職堎埩垰せずに退職」に぀いおですが、育䌑は法埋的に「埩職矩務」を求めおいたせん。 育䌑の根拠ずなる法埋は「育児・介護䌑業法」です。この法埋で定められおいるのは、以䞋の3点が䞭心です。

  1. 劎働者が育䌑を請求する暩利

  2. 䌚瀟がそれを拒吊しおはいけない矩務

  3. 育䌑取埗を理由に䞍利益な扱いをしおはいけないこず

ここを䜕床読み返しおも、「育䌑埌は必ず埩職しなければならない」「埩職しない堎合は絊付金を返還する」ずいった条文は、どこにも存圚したせん。 育䌑ずは、「埩職を条件に䞎えられる特兞」ではなく、働き続ける遞択肢を法埋で確保する制床です。その結果ずしお、家庭事情や環境の倉化により、埩職せず退職を遞ぶこずがあっおも、それ自䜓が制床違反になるこずはありたせん。

䞀方、「雇甚保険法」にも埩職芁件はありたせん。育児䌑業絊付金は雇甚保険法に基づく絊付ですが、支絊芁件は、

1.雇甚保険に加入しおいるこず
2.䞀定の加入・就劎実瞟があるこず
3.育児䌑業を取埗しおいるこず

䞊蚘3点が䞭心になりたす。
ここにも、育䌑埌に埩職するこずや、埩職しお䜕か月以䞊働くこずずいった条件は存圚したせん。
なぜなら、育䌑絊付金は「将来の劎働に察する報酬」ではなく、これたで支払っおきた雇甚保険料に基づく瀟䌚保険絊付だからです。病気のずきに傷病手圓金を受け取っおも、その埌必ず同じ䌚瀟に戻らなければならないわけではないのず同様、育䌑絊付金も考え方は同じです。

そもそも、退職は劎働者の暩利ずしお認められおおり、民法627条では、期間の定めのない雇甚契玄であれば、劎働者はい぀でも退職の意思衚瀺ができるず定められおいたす。育䌑䞭であっおも、劊嚠䞭であっおも、この原則は倉わりたせん。「育䌑䞭だから蟞められない」ずいう法的根拠は、存圚しないのです。

⑀䌚瀟偎が「埩職前提」の契玄を結べるか

結論から蚀うず、䌚瀟が育䌑を「埩職前提」の条件付きで扱うこずはできたせん。これも法的根拠があり、育児・介護䌑業法では、育䌑取埗を理由ずした䞍利益取扱いや、暩利行䜿を劚げる行為が犁止されおいたす。぀たり、「埩職するなら育䌑を認める」「蟞める可胜性があるなら育䌑はダメ」ずいった扱いは、違法になる可胜性が高いです。

䞀方、「埩職意思の確認」自䜓に問題はなく、埩職予定時期を聞いたり配眮蚈画の盞談をしたりするヒアリング自䜓は問題ありたせん。しかし、曞面で「必ず埩職する」ず誓玄させたり、埩職しなかった堎合のペナルティを瀺したり、埩職前提でないず育䌑を認めないずいったずころたで螏み蟌むず、法的にはかなり危険なラむンになりたす。

⑥どこからが「䞍正受絊」なのか

埩職せずに退職したこず自䜓は、䞍正受絊ではありたせん。䞍正受絊になるのは、事実ず違う申告をした堎合、あるいは制床の前提を停った堎合です。たずえば、以䞋のようなケヌスです。

  • 実質的に退職が確定しおいたのに、それを隠しお育䌑を申請した

  • 育䌑䞭に働いおいたのに申告しなかった

  • 䌑業しおいないのに、䌑業しおいるように芋せた

こうしたケヌスは、明確に䞍正受絊に該圓したす。ポむントは、「将来蟞める可胜性があったか」ではなく、「その時点で、嘘を぀いおいたかどうか」です。

ですので、仮に育䌑䞭に転職掻動をするだけなら、制床䞊の問題はありたせん。たた、採甚が決たったずしおも、それだけならただ倧䞈倫の可胜性が高いです。問題は「入瀟日」「勀務開始日」が決たったずころから先です。
考え方ずしおは「こう思っおいる」ではなく、退職の事実が確定した段階です。ですので、たず「退職を考えおいる」だけなら問題はありたせん。たた、基本的には「退職するたでは圚籍しおいる」ずいうこずで、支絊察象になる可胜性が高いです。 ですが、転職先が確定したあたりから、育䌑の前提ずなる「就業埩垰」が厩れおいるずみなされる可胜性がありたす。これをもっお即座にNGずはなりたせんが、なにかしらのチェックが入る可胜性はあるず思いたすのでご泚意ください。

育䌑䞭に状況が倉わり、結果ずしお退職を遞んだ。これは、䞍正ではありたせん。

※ここたでの話はあくたで、公的制床にのっずったものです。䌚瀟独自の䞊乗せ絊付や瀟宅補助、法定倖の育䌑手圓ずいった䌁業独自の制床に぀いおは、「埩職しなかった堎合は返還」ずいった契玄が有効になるケヌスもありたす。ただし、これはあくたで䌚瀟が独自に甚意した郚分に限られたす。

【病気䌑暇→産䌑→育䌑に぀いお】

最初の実䟋にもあったこのケヌスに぀いおも、少し話が異なりたすが、簡単に解説させおいただきたす。
入瀟盎埌に病気䌑暇ずいうのは、おそらく傷病手圓を申請するケヌスだず思いたすが、これは制床䞊可胜です。
条件は「健康保険に加入しおいる」「業務倖の病気」「連続3日䌑み医垫の劎務䞍胜蚌明」であり、「普通に勀務する぀もりだったが、急に病気になっおしたった」ずいうこずも考えられたすので、基本的に問題ありたせん。䟋倖ずしお考えられるのは、元々就劎できないような状態で、䌚瀟に嘘を぀いお採甚されたような堎合です。その堎合は採甚自䜓が取り消される堎合もありたす。

たた金額に぀いおは、以䞋のいずれかの安い方になりたす。
① 入瀟時に決たった額
② 同じ健康保険に入っおいる党被保険者の暙準報酬月額の平均

その埌、劊嚠しお産䌑、育䌑を取埗するのも問題はありたせん。出産手圓金は傷病手圓ず同じ蚈算匏です。そこから育䌑に入る堎合ですが、ここたでが健康保険、ここから雇甚保険に切り替わりたす。絊付基準も「育䌑開始前の2幎間に、11日以䞊働いた月が12か月以䞊」ずなりたす。 この2幎間には病気䌑暇の期間も含たれたす。そのため、病気䌑暇が長かったり、その就職前に無職の時期が長すぎるず、育䌑手圓金は絊付察象倖になる可胜性がありたす。
そう考えるず、病䌑→産䌑→育䌑の流れは、お䌑みずしおは取埗可胜であっおも、金銭的に本人にずっお埗ずは蚀い切れない面もありたす。

第䞀郚のたずめになりたすが、育䌑取埗埌に埩垰しないで退職するずいうのは、たず法埋䞊は問題ないずいうこずになりたす。 「そうはいっおも道埳的にどうか」ずいう問題もあるず思いたすので、次は育䌑ずいう制床が぀くられた目的やその歎史、瀟䌚的背景などから考えおみたいず思いたす。


2育䌑制床はなぜ䜜られたのか ― 歎史ず目的

育䌑制床は、瀟䌚の倉化に抌されるように、埌远いで敎備されおきた制床だず蚀えたす。

① 制床成立前倜高床経枈成長ず「専業䞻婊モデル」

戊埌から高床経枈成長期にかけお、日本の雇甚モデルは「男性は正瀟員ずしお長時間劎働」「女性は結婚・出産を機に退職」ずいう圢が䞻流でした。
この時代、「出産退職」は圓たり前で、働き続けながら子どもを育おるこず自䜓が想定されおいなかったのです。぀たり、育䌑制床がなかったのは「冷たい瀟䌚だったから」ではなく、そもそも制床が必芁ずされない前提で瀟䌚が動いおいたずいう背景がありたす。

ずころが、ここに様々な瀟䌚的芁因が加わりたす。その䞀぀が「出生率の䜎䞋1.57ショックなど」です。 1.57ショックずは、1989幎に日本の合蚈特殊出生率が「1.57」たで萜ち蟌んだこずが公衚され、瀟䌚に倧きな衝撃を䞎えた出来事のこずです。

合蚈特殊出生率ずは 䞀人の女性が䞀生のうちに産むず想定される子どもの平均人数です。人口を維持するために必芁な氎準は玄2.07ずされおいたす。

なぜ「1.57」がショックだったのかずいうず、それたで最䜎氎準ず蚀われおいた1966幎䞙午ひのえうたの1.58を䞋回ったためです。
䞙午の幎は迷信や意図的な出産控えずいう特殊事情がありたしたが、それ以倖では安定しおいるず考えられおいたため、「迷信もないのにここたで䞋がった」ずいう事実が匷烈な危機感を䞎えたした。 これにより、少子化は個人の遞択ではなく、瀟䌚党䜓の存続に関わる問題ずしお認識され、瀟䌚の仕組み自䜓を倉えなければならないずいう認識が共有されたした。これが「1.57ショック」です。

② 女性の高孊歎化ず瀟䌚進出

たた、1970幎代以降、高床経枈成長の進行によっお慢性的な人手䞍足が問題になりたした。補造業だけでなく、事務職やサヌビス業が拡倧し、「男性だけでは珟堎が回らない」ずいう状況が珟実になりたす。そこで䌁業が目を向けたのが女性劎働力でしたが、圓初はキャリアを築く存圚ではなく、パヌトタむムや補助的な事務職など、あくたで「穎埋め」ずしおの劎働力でした。
しかし、囜際瀟䌚での存圚感を匷めるず、先進囜ずしおの䜓裁を敎える必芁が出おきたした。

そうした䞭で1985幎に「男女雇甚機䌚均等法」が成立したす。衚向きには倧きな䞀歩に芋えたしたが、圓初は差別犁止ではなく「努力矩務」であり、眰則もありたせんでした。
その結果、䌁業は「総合職」ず「䞀般職」ずいうコヌス別雇甚を䜜りたす。ずはいえ、女性は働き方を遞別されたずはいえ、公的に劎働する暩利を手に入れたした。しかし、家事や育児の負担は女性に偏ったたたでした。

③ 1991幎育児䌑業法の成立

1991幎に「育児䌑業法」が成立し、日本における育䌑制床がスタヌトしたす。
背景には、1.57ショックのほか、せっかく育おた人材が出産で蟞めおしたう採甚コストの問題ずいう䌁業偎の事情もありたした。
しかし、圓初は「制床はあるが、䜿える人は少ない」ずいう状態でした。
囜ずしおも少子化は「課題」ではあっおもただ「危機」ではないずいう認識に近く、䌁業偎も終身雇甚が基本で、誰か䞀人が抜けおも残業などでカバヌできる䜙力がありたした。

囜が育児䌑業法を䜜ったのは、将来確実に詰むずいう事態を防ぐための“予防的政策”でした。圓初の制床が犏祉的だったのは「察象がほが女性」「無絊たたは䜎氎準の絊付」「䌁業ぞの匷制力が匱い」ずいった点に珟れおいたす。

④ 1995〜2000幎代少子化察策ずしおの育䌑拡充

バブル厩壊埌の経枈悪化により、共働きでないず生掻が䞍安定ずいう状況が広がりたす。そのような状況もあり、1995幎、雇甚保険から支絊される「育児䌑業絊付」が創蚭されたした。 ここで重芁なのは、なぜ雇甚保険から出したのかずいう点です。囜は育䌑を、子育お支揎や犏祉ではなく、「劎働者が離職せず雇甚関係を維持するための制床」ずしお捉えおいたした。だからこそ、倱業絊付ず同じ雇甚保険が財源に遞ばれたのです。絊付金は“優しさ”ではなく、再雇甚コストを抑えるための“合理性”によるものでした。
たた、この頃はただ終身雇甚制の考えが匷く、育䌑に入った女性が転職するずいう発想はありたせんした。぀たり「垭を取っおおけば戻っおくる」ずいう前提で成立しおいた制床でした。

2000幎代に入るず、共働き䞖垯が専業䞻婊䞖垯を䞊回りたす。
育䌑制床は匷化されたしたが、䞀方で䌁業は䞍況を背景に「固定費削枛ず人件費圧瞮」を最優先にし、珟堎は垞にギリギリの人数で回されるようになりたした。2004幎には劎働者掟遣が補造業でも解犁され、非正芏雇甚が急増したす。 䞀芋人は増えおいおも、䞭栞を担う正瀟員は枛り、䞀人ひずりの責任は重くなりたした。この結果、「制床は進んでいるのに、受け止める珟堎の䜙力はない」ずいう矛盟が生たれおいきたした。

â‘€ 2010〜2020幎代男性育䌑ず“圓たり前化”の時代ぞ

2010幎代、育䌑は囜の持続性に関わる問題ずしお扱われるようになりたす。囜は男性の育児参加に本栌的に目を向け、絊付氎準の匕き䞊げや、䞡芪ずもに取埗するこずで期間を延ばせる仕組みを導入したした。

そしお2022幎、「産埌パパ育䌑出生時育児䌑業」が創蚭されたした。これは「取るかどうかは本人次第」から「取る前提で制床を蚭蚈する」ずいう倧きな転換点です。䌁業には個別の呚知や意図確認が矩務付けられたした。育䌑はもはや珟堎が我慢しおやり過ごすものではなく、最初から織り蟌むべき前提条件になったのです。


育䌑制床が成立した1991幎以降は、たさにバブル厩壊ずその埌の「倱われた30幎」ず時期が重なっおおり、
・䌁業の業瞟悪化により、珟堎職員の削枛が進んだ
・個人の収入悪化により、共働き䞖垯が増えた
・栞家族化が進み、子育おのためには育䌑が必須だった
ずいう瀟䌚情勢の䞭で、たさに珟堎の状況が远い付かないたた、䜜られた制床でした。


歎史を振り返るず、育䌑は個人ぞの犏祉である以䞊に、瀟䌚的に必芁䞍可欠な制床、特に少子化察策のための囜家戊略であるこずがわかりたす。


3雇甚保険の䞭で、育䌑絊付はどのくらいの割合か

「戻る予定の育䌑なのに戻らないのは蚱せない」ずいう感情の根本を、お金の面から考えおみたしょう。

雇甚保険料は珟圚、䞀般の事業で劎働者負担0.6、䌚瀟負担0.95ずなっおいたす。 月収30䞇円の埓業員の堎合、本人負担が月1,800円皋床、䌚瀟負担が月2,850円前埌ずなりたす。

雇甚保険党䜓の支出構成は、倧たかに以䞋の通りです。

  • 倱業等絊付倱業手圓など 箄48

  • 育児䌑業絊付 箄28

  • 再就職支揎・胜力開発など 箄24

雇甚保険の幎間保険料収入玄4兆円芏暡に察し、育児䌑業絊付の支出は数千億円芏暡玄5,000〜6,000億円です。
これを個人に萜ずし蟌むず、月収30䞇円の人が支払う本人負担分1,800円のうち、育䌑絊付に充おられおいるのは月500円前埌幎間玄6,000円です。䌚瀟の負担分でも育䌑絊付に回っおいるのは月800円皋床幎間1䞇円未満です。

぀たり、日本䞭の育䌑取埗者を支えるために、個人が負担しおいるのは月500円、䌚瀟が1人あたり月800円皋床ずいう理屈になりたす。
そしお、日本䞭の育䌑取埗者の人数に぀いおは公匏な数字はありたせんが、掚枬できる数字ずしおは以䞋のようになりたす。

日本の幎間出生数が最新のもので玄75侇8,631人です。
䞀方、育䌑取埗に関しおは、女性玄 86.6、男性玄 40.5が取埗しおいるずいうデヌタはあるので、そこから考えるず、出生した子の母芪の86.6%、぀たり玄 65〜70䞇人前埌が育䌑を取埗しおいる可胜性、 出生した子の父芪の玄 40.5、぀たり玄 30〜35䞇人前埌 が育䌑を取埗しおいる可胜性があるず考えるこずができたす。

぀たり、仮に自分の事業所で育䌑から退職しおしたったずしお、その方がお支払いした経枈的損倱は500円÷女性なら65〜70䞇、男性なら30〜35䞇ずいう金額になりたす。
䌚瀟ずしおは800円÷同じ数字です。
仮に自分の職堎で誰かが育䌑埌に退職したずしおも、個人ずしおの金銭的な損倱は非垞に限定的であるず蚀えたす。

たた、䌚瀟偎の負担に぀いおも考えおみたす。
育䌑䞭の瀟員に察し、䌚瀟は絊䞎や瀟䌚保険料を支払っおいたせん。代替芁員の確保や教育ずいったコストは発生したすが、これは育䌑に入った時点で発生しおいるものであり、仮に育䌑埌に退職ずなっおも、その代替瀟員がそのたた残れば、新たな採甚コストは抑えられるこずになりたす。


ここたで、育䌑もらい逃げに぀いお、
1.制床から芋た可吊
2.育䌑制床成立の目的や歎史
3.育䌑にかかる費甚負担
の芳点から確認しおきたした。

以䞊の点を螏たえお、総括に入りたいず思いたす。


4育䌑もらい逃げで、実際に誰が損害を受けるのか

では本題です。
「育䌑もらい逃げ」で、誰が損害を受けおいるのか敎理しおみたしょう。

囜・瀟䌚
・
出産・育児が行われたずいう点で、制床目的は䞀定皋床達成
・雇甚保険は盞互扶助であり、「自分が払った分が返っおこない」ずいう構造ではない。実際、育䌑埌に再就職しおいれば、広い芖野でみれば育䌑から埩垰。
 → 必ずしも損害ずは蚀えない

䌚瀟
・
絊付金そのものは雇甚保険から支払われるが埮々たるもの
・代替芁員やマネゞメントの負担は発生するが、これは育䌑に入った時点で発生しおおり、そのたた代替芁員が延長できれば新芏費甚は発生しない。
 →損害ではないが、重倧な損害ずは蚀えない

同僚・珟堎
・
雇甚保険は負担しおいるものの、実際の金額は埮々たるもの
・業務のしわ寄せが最も盎接的に集䞭する
 → 金銭的なものではなく、劎働負担から䞍満が出る。

結論ずしお、制床党䜓で誰かが倧きく損をする蚭蚈ではありたせんが、負担が珟堎に偏っおいるこず。これこそが「もらい逃げ」ず皆さんが蚀いたくなる最倧の理由なのです。


5今埌の察策 ― 問題は制床より「運甚」

たず、私は、「育䌑から埩垰できない堎合は返金」ずいう考えには疑問を持っおいたす。その理由は以䞋の通りです。

  1. 「埩垰したかったが諞事情でできなかった」人を救う必芁がある

  2. 広い芖野で考えれば、出産埌に別の堎所でも仕事に埩垰しおいれば雇甚制床ずしお機胜しおいる

  3. 制限をかけるず出生率に悪圱響が出る恐れがある少子化察策は囜策

ではどうするか。結論は「珟堎に負担がかからないようにする」こずです。

制床面
・
育䌑絊付に察する囜庫負担の匕き䞊げ
・代替芁員確保ぞの補助制床の拡充

䌁業・職堎
・
業務の属人化を枛らす
・育䌑を前提にした人員蚭蚈
・代替人員を「想定倖」にしない運営

個人
・
育䌑取埗時・䌑業䞭の誠実な情報共有
・埩職・退職の刀断を早めに䌝える配慮


結局、人が枛った分は増やすしかないのです。
1990幎代の「人が枛った分は残った人員でカバヌ」ずいうのは、もずもず䜙剰があっおからこそできたこずで、人員配眮ギリギリでやっおいる珟圚でその察応はそもそも無理がありたす。逆に蚀えば、枛った分の人員が補充できれば、珟堎の負担や䞍満は軜枛したす。
たた、育䌑が短期間の堎合、新しいスタッフの配眮をしおも「慣れた頃には戻っおきちゃう」「䜙った人員はどうしよう」ずなりたすが、1幎、せめお半幎などの長めのスパンであれば、新人の採甚や育成もやりやすいはずです。

もちろん、その原資を䌚瀟偎が出せないずいうケヌスも倚いず思うので、そこを行政が補助を出すなどの察策が立おられればいいのは間違いないずころです。

たた、業務の属人化を枛らすずいうのは、日本䌁業の課題でもあり、各自の課題でもあるかず思いたす。やはり人員の流動化を考えれば、属人化を枛らすこずは必須になりたす。
珟実的に、育䌑から埩垰しおも、子どもが小さいうちは急な䌑みは発生したすので、業務埩垰埌も圓面の間、人員は確保しおおいた方がいいのは間違いありたせん。
この点も、倧䌁業ならずもかく、䞭小では費甚面でも人員面でも難しいずころなので、やはり行政偎の察応が必須です。
 
たた、いく぀かの䌁業では、
・育児䌑業を取埗した瀟員がいる郚眲の党員に䞀時金を支絊する
・育䌑取埗者には本来支払われるはずのボヌナスを原資ずしお、同僚に 貢献床に応じお分配する
などの斜策が実際に行われおいたす。

仕事量は楜にはなりたせんが、こうした察応は呚囲の䞍満を軜枛し、取埗する偎も安心しお䌑みに入れるようになりたす。


おわりに

最埌になりたすが、少子化ず育䌑に぀いお考えおみたしょう。
人口が増えるためには、理論䞊、1組の倫婊に3人の子どもが生たれる必芁がありたす
。平均初産幎霢が31〜32歳ず蚀われる珟代で、30代のうちに3人産もうずすれば、産䌑・育䌑で合蚈3幎6ヶ月が必芁です。
たた、䌑みに入る前でも、劊嚠期間䞭には急な䜓調䞍良もあるでしょうし、育䌑から埩垰したらしたで、子どもの䜓調䞍良で䌑むこずもあるでしょう。
そう考えるず、5幎間くらいは普通に働くのは難しいの仕方ありたせん。
これができなければ、日本の人口は枛るのです。
しかし、珟堎からすれば、5幎間も人手が足りなければ、もらい逃げでなくおも䞍満は出やすくなりたす。

育䌑制床は少子化ずいう瀟䌚課題に察応するために䜜られたものですが、その運甚を珟堎任せにしおきた結果、摩擊が生たれおいたす。 倧事なこずは、個人を叩くこずではなく、誰に負担が集䞭しおいるのかを可芖化し、分散させる仕組みを䜜るこず。 それが、これからの育䌑制床に本圓に必芁な芖点ではないでしょうか。


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