Ta-065:蚵仔煎│牡蠣オムレツ
喧噪に満ちた活気あふれる台湾の夜市。日が落ち、夜市を挟むビルにネオンが灯る頃、鉄板をたたくヘラの甲高い音と、漂う香ばしい匂い。「蚵仔煎(オアチェン)」は、日本人にもおなじみ、定番の台湾グルメの一つです。ある人は、お好み焼きといい、ある人はオムレツという、どことなくつかみどころのない料理です。答えは「煎(ジェン)」。今回は細かいことを気にせずオムレツと訳しましょう。
蚵仔煎(オアチェン)とは、一言でいえば「牡蠣と野菜入りの、甘辛いタレをかけた台湾式オムレツ」。しかし、日本人のイメージする一般的なオムレツとは似て非なるものです。主役は、小粒ながら旨味の濃い「蚵仔(牡蠣)」と、あの独特の「QQ食感(モチモチ、プルプルした食感)」を生み出す「地瓜粉(サツマイモ粉)」の生地。これらを卵、そして小白菜(シャオバイツァイ)や豆苗といった青菜と共に鉄板で焼き固め、仕上げにピンクやオレンジ色の甘い「甜辣醤(ティエンラージャン)」ベースのタレをたっぷりとかけて完成です。
この料理の名前は、台湾語(閩南語)の知識がないと正しく理解できません。「蚵仔(オア)」は牡蠣を意味する台湾語。「煎(チェン)」は北京語で「(少量の油で)焼く」という意味の動詞です。直訳すると、「牡蠣焼き」、料理の姿をそのまま現すことの多い中国語の名称にしては、卵の要素が抜け落ちている少し奇妙な名前です。でも、この名前が定着しているので、これでいいのです。
この料理の起源には諸説ありますが、最も有名なのは17世紀、オランダ統治時代の台湾にまで遡ります。明朝の復興を掲げた鄭成功が台湾を攻略した際、オランダ軍が小麦粉を隠してしまったため、兵士たちは飢えに苦しみました。その時、鄭成功が小麦粉の代わりに台湾で豊富に採れたサツマイモ粉を水で溶き、沿岸で採れた牡蠣と混ぜて焼いて食べたのが始まりとされています。まさに「万事休す」 の状況から生まれた、庶民の知恵と不屈の精神が詰まった一皿なのです。台湾人がこの料理を愛する理由が、少しだけ理解できたでしょうか?
蚵仔煎は台湾全土で食べられますが、タレの配合などに微妙な地域差があります。また、この料理は海を越え、東南アジアでも愛されています。シンガポールやマレーシアでは「Oyster Omelette(オー(ァ)ジアン)」と呼ばれ、観光客にも大人気です。ただし、台湾式がサツマイモ粉の生地による「QQ食感」を重視するのに対し、シンガポール式は生地が少なめで卵が多く、よりカリッとクリスピーに焼き上げるのが特徴です。どちらも同じ牡蠣を使っていますが、別の料理として進化しているのも面白い点です。
それではレシピ行ってみましょう。
【初級編】雰囲気重視!片栗粉で作る 蚵仔煎「風」
(難易度) ☆
(調理時間) 約15分
(材料・1人分)
牡蠣(加熱用): 80g
卵: 2個
もやし: 1/2袋(または小松菜1株)
(A) 片栗粉: 大さじ2
(A) 水: 大さじ4
(A) 鶏ガラスープの素: 小さじ1/2
サラダ油: 大さじ1
<タレ>
(B) ケチャップ: 大さじ2
(B) 砂糖: 小さじ1
(B) 醤油: 小さじ1/2
(B) 水: 大さじ1
(調理方法)
牡蠣は塩水で軽く洗い、水気を切る。
(A)の材料をボウルでよく混ぜ、生地を作っておく。
(B)のタレの材料を小鍋で軽く煮立たせておく。
フライパンにサラダ油を熱し、牡蠣ともやしを炒める。
火が通ったら、2の生地を回し入れ、ヘラで軽く混ぜながら半透明になるまで焼く。
上から溶き卵を回し入れ、全体を大きくまとめて両面を焼く。
皿に盛り、3のタレをかける。
(注意点)
これはサツマイモ粉を使わない、日本家庭向けの代用レシピです。本場のQQ食感とは異なりますが、本物の持つ味わいは十分楽しめます。
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【中級編】QQ食感を再現!地瓜粉で作る本格 蚵仔煎
(難易度) ☆☆
(調理時間) 約20分
(材料・1人分)
牡蠣(加熱用): 100g
卵: 1個
小白菜(または豆苗): 1株(ざく切り)
(A) 地瓜粉(サツマイモ粉): 大さじ3
(A) 水: 大さじ5
(A) 塩、胡椒: 各少々
サラダ油: 大さじ1.5
<タレ>
(B) 甜辣醤(ティエンラージャン): 大さじ2(なければスイートチリソース大さじ1.5+ケチャップ大さじ0.5)
(B) 醤油: 小さじ1
(B) 砂糖: 小さじ1
(B) 水: 大さじ1
(B) 片栗粉: 小さじ1/2(同量の水で溶く)
(調理方法)
牡蠣は片栗粉(分量外)をまぶして優しく洗い、水気を切る。
(A)の材料をボウルでよく混ぜ、生地を作っておく。
タレの材料(水溶き片栗粉以外)を小鍋で煮立たせ、最後に水溶き片栗粉でとろみをつける。
フライパンにサラダ油を熱し、牡蠣を並べて焼く。
牡蠣に軽く火が通ったら、2の生地を回し入れる。生地が半透明になって固まり始めたら、上から溶き卵を流し込む。
卵が固まる前に、小白菜(または豆苗)を乗せ、ヘラで半分に折りたたむか、裏返して野菜がしんなりするまで焼く。
皿に盛り、3のタレをかける。
(注意点)
地瓜粉を使うことで、本場のQQ食感が再現できます。
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【上級編】屋台の技を盗む!究極の 蚵仔煎
(難易度) ☆☆☆
(調理時間) 約25分
(材料・1人分)
牡蠣(小粒のものが望ましい): 120g
卵: 1個
小白菜(または豆苗): 2株(ざく切り)
(A) 地瓜粉: 大さじ3
(A) 片栗粉: 大さじ1(生地の安定のため)
(A) 水: 大さじ6
(A) 塩: 少々
ラード(または多めのサラダ油): 大さじ2
<タレ(海山醤風)>
(B) 味噌: 小さじ1
(B) 甜麺醤: 小さじ1
(B) ケチャップ: 大さじ1
(B) 砂糖: 大さじ1
(B) 醤油: 小さじ1
(B) 水: 大さじ3
(B) 水溶き片栗粉: 適量
(調理方法)
牡蠣は塩で揉み洗いし、流水でぬめりを取る。
タレの材料を全て小鍋に入れ、煮立たせてとろみがつくまで加熱する。
(A)の材料を混ぜて生地を作っておく。
鉄板(または中華鍋)をカンカンに熱し、ラードをなじませる。
牡蠣を投入し、強火で一気に炒める。
すぐに3の生地を回し入れ、牡蠣と生地を一体化させる。
生地の縁が固まり、中心が半透明になったら、中央を空けずにそのまま上から溶き卵を流しかける。
卵が半熟のうちに、小白菜を山盛りに乗せる。
ヘラを使い、生地の四方を中央に折りたたむようにして野菜を包み込む。
全体を裏返し、野菜に火が通るまで(約1分)焼く。皿に滑らせるように盛り付け、2のタレをかける。
(注意点)
屋台の技術を再現するレシピです。強火で一気に、生地と卵と野菜を一体化させるのがコツです。
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コーヒーが好きだ。とくにミルクコーヒー。外出の予定がない時は、これにハチミツ酒をひとさじ加えて飲む。これがまたすこぶるいい。それぞれの銘柄を変えると、がらりと味が変わる。どうだい?一杯おごってはくれないか?