「提灯を持って歩いたお盆」
子供の頃の記憶
子供の頃の記憶に、お盆がある。
「お盆」という行事そのものを
覚えているわけではない。
なぜお盆にそうするのかも、
子どもの頃にはよく分かっていなかったと思う。
ただ、提灯を持って
お墓まで歩いていったことを覚えている。
途中には、茄子や胡瓜で
作った飾りがあった。
今思えば、あれもお盆の
風景の一つだったのだろう。
夕方の薄暗くなりかけた道を、
提灯を持って歩く。
大人たちについていきながら、
何となく周りを眺めていた。
不思議なもので、年月が経っても、
そういう断片だけは消えずに残っている。
お盆という言葉よりも、
提灯の明かりや、茄子や胡瓜の飾り、
そしてお墓まで歩いた道のほうが、
私の中では「お盆」なのかもしれない。
昔の記憶というのは、
出来事そのものより、
そこで見たものや感じた空気のほうが、
長く残るものなのだろう。
