お客様は、あなたの会社をどこまで知っていますか?
自分の会社が何をしている会社なのか。
仕事をしている本人たちにとっては、当然分かっていることである。しかし、取引先や周囲の人たちも同じように理解しているかというと、必ずしもそうではない。
相手には一部分しか伝わっていなかったり、実際とは少し違う認識を持たれていたりすることも多いのではないだろうか。
探している会社が、すでに取引先の中にいる
何か新しいものを仕入れたいときや、自社が抱えている課題を解決してくれる会社を探すとき、多くの人はインターネットで検索するところから始める。
検索して、条件に合いそうな会社を探し、問い合わせをする。
もちろん、それで適切な相手が見つかれば問題はない。しかし実際には、自分たちが求めていることを実現できる会社が、すでに取引先の中に存在していることもある。
先日、ある取引先と何気なく話をしていたところ、私が課題として感じていたことを、その会社が対応できるということが偶然分かった。
あらためて考えてみれば、その会社が本来行っている事業の延長線上にある仕事であり、「確かにできそうだ」と理解できる内容であった。
しかし、私が普段接しているのは、その会社の一部門だけである。そのため、会社全体として何ができるのかまでは見えていなかった。
これは、その会社にとっても、私にとっても、機会損失だったのではないかと思う。
知られていなければ、「できない」と同じ
この出来事を、自分の会社に置き換えて考えてみた。
私たち自身ができると思っていることであっても、お客様がそのことを知らなければ、依頼してもらうことはできない。
お客様から見れば、知らないサービスは、存在しないサービスと同じである。できると伝わっていなければ、「その会社にはできない」と思われても仕方がない。
そうなると、お客様は別の会社を探す。
本当は自分たちで十分対応できる仕事であっても、発信していないために相談すらされず、知らないうちに機会を失っている可能性がある。
自分たちの能力が不足しているのではない。能力の存在が、相手に伝わっていないのである。
「こんなこともできます」と伝えておく
自分の会社が何をしているのかを伝える方法はいろいろある。
言葉にして説明する。会社案内や提案書を作る。チラシにする。ホームページに掲載する。SNSなどで定期的に発信する。
新規のお客様に向けて発信することも大切だが、既存のお客様に伝えることも同じくらい重要である。
「うちは、こんなこともやっています」
「このようなことであれば、対応できます」
その場では、お客様が特に興味を示さないことも多いと思う。今すぐ必要としている内容でなければ、深く聞いてもらえないかもしれない。
しかし、数か月後、あるいは数年後に同じような課題が発生したとき、ふと思い出してもらえる可能性がある。
「あの会社が、そんなことをやっていると言っていたな」
そう思い出してもらえれば、相談につながる。
必要になった瞬間に思い出してもらうためには、必要になる前から伝えておかなければならない。
主力事業以外にも、価値が眠っている
会社の中には、今はそれほど力を入れていないものの、実は得意な仕事や、比較的簡単に対応できることがある。
自分たちにとっては当たり前すぎて、わざわざサービスとして説明するほどではないと思っていることもある。
しかし、その当たり前がお客様にとっては、大きな課題を解決する価値になるかもしれない。
自社では簡単にできることでも、お客様にとっては、どこに頼めばよいのか分からない仕事かもしれない。
自分たちが重要だと思っていることと、お客様が求めていることは、必ずしも一致しない。
だからこそ、現在の主力商品やサービスだけではなく、自分たちが持っている技術、経験、設備、人材、ネットワークなどを広く見直す必要がある。
言語化は、社内の認識もそろえる
自社の仕事を言語化することは、お客様への発信だけを目的としたものではない。
会社案内や提案書を作るためには、「私たちは何ができるのか」を整理しなければならない。
この作業を通じて、社内のメンバーも、自分たちの会社について理解を深めることができる。
同じ会社で働いていても、所属する部署や担当する仕事によって、会社全体の見え方は異なる。
営業担当者が知っていることを、現場の担当者が知らないこともある。反対に、現場では当たり前にできていることを、営業担当者が価値として認識していないこともある。
会社として何ができるのかを明文化することで、社内でも共通認識を持ちやすくなる。
そして、社員一人ひとりがお客様との会話の中で、自社の可能性を伝えられるようになる。
定期的に仕事を棚卸しする
会社の仕事や強みは、少しずつ変化していく。
以前はできなかったことが、設備や人材が増えたことで対応できるようになっている場合もある。日々の業務の中で経験を積み、いつの間にか得意になっている仕事もある。
反対に、以前は強みだったものが、今ではそれほど価値を持たなくなっていることもある。
だからこそ、自分たちの仕事を定期的に棚卸しする必要がある。
自分たちは何屋なのか。
何ができるのか。
何が得意なのか。
お客様のどのような課題を解決できるのか。
それらを言語化し、明文化し、社内外に発信する。
自分たちができることを、相手も知っていると思い込んではいけない。
知られていなければ、仕事にはつながらない。
自分たちの持っている力をきちんと発揮するためにも、「何屋さんなのか」を繰り返し伝えていくことが大切なのだと思う。
