8月読んだ本

7月末から8月はそこそこ本を読んだ気がするのでメモ

アンジェラ・ドナーティ著、林要一訳『碑文が語る古代ローマ史』

結構前なので記憶が曖昧。古代ローマの碑文といえば、ラテン語やギリシア語のものが思い浮かぶが、他にもエトルリア語とか、それ以外の聞いたことないような文字の碑文も残っているらしい。あと、「ガイウス」を「カイウス」って音写してるの初めて見た。確かに「ガイウス」の語頭はCだけども。

ピーター・ブラウン著 ; 戸田聡訳『貧者を愛する者 : 古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生 』

ピーターブラウンということで古代末期の話。キリスト教の貧者救済のイメージがいかに形成されたか、それが政治的にどのように利用されたか。異教時代のエヴェルジェティズムとの連続性、差異は何か。少し読みづらい文章だったけれど、慣れたら『聖者崇拝』よりは読みやすかった。あれは翻訳が悪い。

レイ・ブラッドベリ著、宇野利泰訳『華氏451度』

ちょくちょく行われるkindleのハヤカワセールで購入。本の所持が制限されたディストピアの物語。個人的には抽象的な描写が多くて読みづらかった。翻訳の問題かもしれないが。筆致があまりリアリスティックじゃないと感じる。自分が文章にはまり込めなかったこと、著者が詩人であることも関係しているかもしれない。最後の希望的な場面は良かった。

ジョージ・オーウェル著、高橋和久訳『1984年』

こちらもハヤカワセールで購入。全体主義社会のディストピア。物語仕立てで読みやすい。世界観の設定や、「ニュースピーク」が補遺で解説されているのも面白かった。電子書籍版ではなんとピンチョンの解説が削除されている。許せない。紙の本を借りて読んだ。やっぱり電子書籍はダメかもしれない。

サマセット・モーム著、金原瑞人訳『人間の絆』(下)

上巻をしばらく前に途中まで読んで放置していた。『月と6ペンス』を読んだ時にも思ったけれど、モームの作品は狭い意味での文学と言えるかわからない。かなり通俗小説という気がする。しかし、通俗小説も才能のある人間が書けばここまで完成度の高いものになるんだ、という驚き。偉大な作家というのは、個別の時代や人間を描いていても、いつの間にか普遍に触れている。モームもその類の作家の一人だった。

小峰隆夫著『地域と人口減少の経済学-スマート・シュリンクという選択肢』

お盆に帰省した時に実家に置いてあったので読んだ。普段はあまり読まない類の本で、過疎化が進む地方において現在の枠組みに固執するのではなく行政やインフラを効率化、集約する「スマートシュリンク」を提唱しているのは興味深いし、現実的に思える。その一方で東京一局集中が問題でないとする章はあまり納得できなかった。

qntm著、鳴庭 真人訳『反ミーム部門は存在しない』

SCP財団の記事を元にしたSF小説。高校生の時にSCPにハマって色々と記事を読んでいたのが懐かしい。小説としてはそこそこ面白く、すいすいと読み進めることができた。ただ、書籍化にあたってSCPの要素や用語をライセンス上の問題から書き換えてしまったことで、物語そのものの魅力は減じてしまったようにも見える。SCPの記事の中でも長いものは、他のSCP記事とのリンクがあったり、ページ上にある仕掛けや「報告書」を読んでいるというワクワク感を感じさせてくれるが、小説になってしまうとそれがない。一般にも開かれたものにするために、SCPというコンテンツが持つ魅力が失われてしまう、という二次創作を商業出版する際に発生するジレンマがここでも見受けられる。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集