Z9・Z8は、メカシャッターレス機だと思えば全然高くない
カメラの価格だけを見れば、Nikon Z9やZ8は確かに高価である。
特にZ9は、新品で簡単に手を出せる価格ではない。中古でも40万円台が中心となれば、「カメラにそこまで出す必要があるのか」と考える人も多いだろう。
しかし、Z9とZ8を従来のカメラと同じ基準で評価すると、本当の価値を見落としてしまう。
この2台はメカシャッターを搭載していない。つまり、長く使ったときに大きな修理要因となりやすかったシャッターユニットそのものが存在しないのである。
そう考えると、Z9やZ8は決して割高ではない。撮影枚数が多い人ほど、むしろ長期的な安心感のあるカメラなのだ。
従来の高連写機にはシャッター寿命があった
従来の一眼レフやミラーレスカメラには、撮影のたびに動くメカシャッターが搭載されていた。
シャッターボタンを押すたびに幕が高速で動く以上、いつかは摩耗する。特にスポーツ、野鳥、鉄道、ライブ、報道などで連写を多用する人にとって、シャッター回数は無視できない問題だった。
中古カメラを買うときにも、「シャッター回数は何回か」が重要視されてきた。
外観がきれいでも、すでに数十万回撮影されていれば、シャッターユニットがどの程度消耗しているのか分からない。購入直後に故障し、修理代が必要になる可能性もある。
安く買ったつもりが、シャッター交換によって結果的に高くつくこともあったのである。
Z9・Z8には壊れるシャッター幕がない
Z9とZ8は、撮影にメカシャッターを使用しない完全な電子シャッター機である。
一般的なカメラにあるシャッター幕がないため、何万枚、何十万枚と撮影しても、シャッター幕が摩耗することはない。
ライブ撮影では、一度の公演で数千枚撮ることもある。毎月何度も撮影すれば、年間の撮影枚数は簡単に十万枚を超える。
従来のカメラでは、連写するたびにシャッター寿命を消費している感覚があった。Z9やZ8なら、その心理的な負担がほとんどない。
「必要な瞬間では遠慮せず連写する」
これを実行できること自体が、撮影機材として大きな価値である。
シャッター回数の意味が変わった
Z9やZ8にも撮影枚数の記録は残る。しかし、その数字はメカシャッターの残り寿命を直接示すものではない。
撮影枚数が多ければ、それだけボタン、ダイヤル、液晶、マウント、端子、手ぶれ補正機構などが使われている可能性はある。そのため、撮影枚数を完全に無視してよいわけではない。
それでも、従来のカメラにおける「シャッターがいつ壊れるか」という大きな不安はなくなる。
Z9やZ8の中古品を見る場合は、撮影枚数だけで判断するよりも、次の部分を確認したほうがよい。
マウント周辺の摩耗や変形
グリップラバーの浮きや劣化
ボタンやダイヤルの反応
液晶とEVFの状態
カードスロットや端子の状態
センサーや手ぶれ補正機構の異常
落下や強い衝撃を受けた形跡
撮影枚数が多くても、丁寧に扱われてきた個体なら、十分に長く使える可能性がある。
電子シャッター専用を成立させたセンサー性能
単純にメカシャッターを外しただけでは、実用的なカメラにはならない。
電子シャッターには、動く被写体がゆがむローリングシャッター現象や、人工照明による縞模様などの問題がある。
Z9とZ8は、積層型CMOSセンサーによって読み出し速度を高め、電子シャッター専用でも幅広い撮影に対応できるよう設計されている。
もちろん、電子シャッターの問題が完全になくなったわけではない。LED照明の種類やシャッタースピードによっては、フリッカーや横縞が発生する場合がある。
それでも、スポーツやライブ撮影を実用的にこなせる水準でメカシャッターを廃止した意味は大きい。
Z9とZ8は、コストを削減するためにシャッターを省いたカメラではない。電子シャッターだけで成立する性能を持たせた結果、メカシャッターを不要にしたカメラなのである。
長く使うほど購入価格を回収できる
カメラの価格は、購入時の金額だけで考えるべきではない。
仮に45万円で購入したカメラを5年間使えば、1年あたり9万円である。年間100回撮影に持ち出すなら、1回あたり900円になる。
さらに長く使えば、1回あたりの負担はもっと小さくなる。
安いカメラを短期間で買い替え続けるより、信頼できるボディを長く使ったほうが、最終的な出費を抑えられることもある。
特にZ9は、縦位置グリップ一体型である。後付けグリップの接点不良や取り付け部分のガタを心配する必要がなく、大容量バッテリーによって長時間の撮影にも対応しやすい。
最初から縦位置撮影を多用する人にとっては、単なる大型ボディではない。長期使用を前提とした完成度の高い撮影機材である。
Z8とZ9は用途によって選べばよい
Z8の魅力は、Z9に近い撮影性能を比較的小型のボディで使えることにある。
縦位置グリップを必要とせず、持ち運びやすさを重視するならZ8が向いている。必要なときだけ縦位置グリップを追加する選択もできる。
一方、ライブ、スポーツ、野鳥、イベントなどで縦位置撮影を多用し、長時間の連続使用を想定するならZ9の価値は高い。
軽さと機動力を優先するならZ8
電池持ちや縦位置操作、ボディの一体感を優先するならZ9
両者は単純な上下関係ではなく、使い方によって選ぶカメラである。
中古Z9の40万円台には強い説得力がある
新品では高価だったZ9も、中古市場では40万円台の個体が見られるようになった。
もちろん、40万円は小さな金額ではない。しかし、フラグシップ機としての操作性、堅牢性、連写性能、AF性能、動画性能、大容量バッテリー、縦位置グリップ、そしてメカシャッターレスという構造まで含めれば、単純に高いとは言い切れない。
最新機種が登場したからといって、Z9の撮影能力が急に低下するわけでもない。
現在の性能ですでに自分の撮影を十分にこなせるなら、良い中古個体を適正価格で購入し、長く使い続ける選択には合理性がある。
インフレによって新品のカメラや修理費用が上昇していく可能性を考えれば、頑丈で長く使える機材を早めに確保することも一つの防衛策になる。
「高い」と「割高」は同じではない
Z9やZ8は高い。それは間違いない。
しかし、高いことと割高であることは別の話である。
メカシャッターの寿命を気にせず撮影でき、現在でも十分に高い性能を持ち、数年間にわたって第一線で使える。そうした価値まで含めれば、Z9やZ8は価格に見合ったカメラである。
特に撮影枚数が多い人にとって、壊れる可能性のある大きな駆動部品が一つ減っている意味は大きい。
一度の撮影で数百枚しか撮らない人より、一晩で数千枚撮る人のほうが、メカシャッターレスの価値を強く実感できる。
Z9とZ8は、「高価だから大切に少しずつ使うカメラ」ではない。
シャッター寿命を恐れず、必要なだけ撮り、長期間使い倒すためのカメラである。
その前提で考えれば、Z9もZ8も全然高くないのである。
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