朝夕お香を焚く新しい習慣|母へ届ける数分間の静かな時間
母が亡くなってから、朝と夕方にお香を焚くことが、私の大切な日課になりました。
実は、それまでの私は、お香というものにそれほど興味があったわけではありません。
仏壇にお線香をあげることはあっても、「香りを楽しむ」という感覚はあまり持っていなかったのです。
そんな私に、友人が「これ、とてもいい香りだから使ってみて」と、お香を持ってきてくれました。
その香りを部屋いっぱいに広げた瞬間、介護の緊張が残っていた心がふっとゆるみ、久しぶりに深く静かな息を吸い込めたことを、今でも鮮明に覚えています。
それ以来、いろいろなお線香やお香を試すようになりましたが、今のところ友人が届けてくれた、京都・香彩堂の「百楽香(ひゃくらくこう)」のベルガモットと木蓮(もくれん)が、私の中でダントツの一位です。
ベルガモットは、爽やかでスーッと心が軽くなるような香り。
木蓮はやさしく上品で、部屋全体を穏やかで温かい空気で包み込んでくれます。
朝、この香りを焚くと「今日も一日が始まるぞ」と気持ちが凛と整い、
夕方には「今日も無事に一日が終わったね、ありがとう」と自然に心をOFFへ切り替えられるようになりました。お香を焚く時間が、毎日の密かな楽しみになっています。
気分に合わせて試したい、私のお気に入り
もし「ちょっと試してみたいな」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ香彩堂さんの百楽香を試してみてください。通常1,650円ほどですが、Amazonが比較的お得に試せるのでリンクを置いておきますね。
(※もしみなさんの中で「これもお勧めだよ!」「この香りに癒やされるよ」というお線香やお香がございましたら、ぜひコメント欄で教えていただけたら嬉しいです!いろいろ試してみたいと思っています)
香りには、思い出を優しく包む記憶がある
お香には、部屋に香りを広げてリラックスしたり、気持ちを落ち着かせたりする効果があると言われています。
一方で、仏教において香りは「仏様への最高の供養(お給仕)」でもあります。
良い香りをお供えすることで、ご先祖様やお母さんへの感謝と敬意を表す。そして、その清らかな香りは空間だけでなく、手を合わせている自分自身の心も整えてくれる。そんな深い意味があることを、母を見送ってから改めて知りました。
介護中は、とにかく毎日の時間に追われていました。
おむつ交換や食事の準備、訪問看護や訪問入浴のスケジュール管理、夜中の呼吸の見守り……。
「香りを楽しむ時間」なんて、当時の私には考える余裕すらありませんでした。
でも今、お香を焚いて煙を追う数分間が、私にとって何物にも代えがたい大切な時間になっています。
不思議なことに、香りには記憶を呼び覚ます力があります。
母のことを思い出して急に寂しさがこみ上げてくる日もありますが、揺れる煙を見つめていると、少しずつ静かで穏やかなものへと変わっていきます。
「お母さん、今日も見守ってくれているかな。」
そんなふうに、姿は見えなくても、母へそっと話しかける時間。
これもきっと、母が私に届けてくれた新しい豊かな習慣なのだと感じています。
寂しさを抱えたまま、新しい明日へ
先週は五十年来の友人と食事をし、今日は三十年近い付き合いになる友人が遊びに来てくれます。
母を送ったあと、本当にたくさんの人が私のことを気にかけてくれているのだと、人の温もりが心に沁みています。
そして、少しずつ私の本業のお仕事も本格的に再開し始めました。
商品企画やサンプル制作、執筆、新しい企画の立ち上げなど。介護中心だった生活から、少しずつ「これからの私の時間」が動き出しています。
もちろん、母がいない寂しさが綺麗に消えたわけではありません。
でも、その寂しさを抱えたままでも、人は少しずつ、あかるく前へ進めるのだと感じています。
今週末、7月26日に四十九日の法要を迎えたら、仕事場も正式に事務所へ移し、本格的に新しいスタートを切る予定です。
母が最期まで私の背中を押し、応援してくれた仕事。
これからは、お母さんへの感謝も全部一緒に連れて、歩いていこうと思います。
朝、お香を焚いて手を合わせるたびに、心の中で母に語りかけています。
「お母さん、これからもずっと見守っていてね。」
やさしい香りに包まれながら始まる一日は、以前とは少し違う、でも愛おしい私の新しい日常になっています。
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