母を送ったあと、ようやく仏壇まわりの準備が整いました|形を変えて続いていく、母との新しい関係
母が亡くなってからというもの、やらなければならない現実的な手続きや手配が本当にたくさんありました。
区役所でのさまざまな届け出。
後期高齢者医療や介護保険証の返却。
年金や各種契約の確認。
葬儀後にドッと押し寄せる書類の整理……。
悲しみに浸る間もなく、社会的な手続きは次から次へとやってきます。
けれど、そんなバタバタとした日々の中で、私の頭の片隅でずっと気になっていたのは、社会的な整理ではなく、「母をきちんとお迎えするための、あかるい場所を整えること」でした。
お仏壇。
お位牌。
ご本尊。
そして、そのまわりを彩る仏具たち。
各家庭によって様々ですが我が家は真言宗です。
今まで、わが家の仏事や季節の手向けはすべて母が中心になってやってくれていました。
法事のことも、お寺とのやり取りも、仏壇まわりのしきたりも、私はずっと横で見ていたつもりでした。
でも、いざ自分が母を送る側の当事者になってみると、本当に分からないことだらけだったのです。
「白木のお位牌はいつまで飾っておくの?」
「本位牌は四十九日の何日前までに用意すればいい?」
「いまの住まいに合う仏壇の大きさはどのくらい?」
「ご本尊はどのようにお祀りするのが正しいの?」
「仏具は最低限、何をそろえればよい?」
ひとつ調べて疑問を解消したと思ったら、また次の新しい疑問が出てくる。母を亡くした直後で、心も体もまだ追いついていない状態のまま、四十九日というリミットに向けて、たくさんのことを決めていかなければならない厳しさは、想像以上のものでした。
肩の力がふっと抜けた、発注の完了
それでも、あちこち調べたり比較したりしながら、ようやく先日、お仏壇まわりのすべての発注を終えることができました。
今週、わが家にお仏壇やお位牌、ご本尊が届く予定です。
すべての手続きと発注を終えた瞬間、張り詰めていた肩の力が、すーっと抜けていくのが分かりました。
もちろん、今週届いたら届いたで、今度は部屋のどこに置くか、配置や仏具のセッティングをどうするかといった「次のステップ」が待っています。
でも、まずは母をいつでもお迎えできる場所をしっかり準備できたという事実に、心からほっとしています。
振り返ってみると、お仏壇やお位牌、ご本尊を選ぶ時間は、人生のどんな買い物とも違う特別な時間でした。
どれを選べば、母が喜んでくれるか。
どの大きさにすれば、今の私たちの暮らしに馴染むか。
どこに置けば、毎日一番近くで声をかけられるか。
どれが本当に、凛として美しかった母にふさわしいものか。
ひとつひとつ迷いながら考えるプロセスのすべてが、私にとって「母のためにできる、最後の大切な恩返しの準備」のように感じられました。
大日如来さまと、本位牌に込める想い
特にお位牌は、母の生きた証である新しい名前(戒名)を、これから何十年も長く残していくものです。
一般的には葬儀のときから祭壇に祀っていた、白木のお位牌は四十九日までの仮のお位牌とされ、四十九日の法要を節目に本位牌へ移していきます。
そして四十九日の法要を節目に、漆や金箔で彩られた正式な「本位牌」へと魂を移していきます。
四十九日法要は自宅にお坊様に来ていただき営むことになりました。
新しい本位牌に、魂入れの読経をお願いしました。
これから家族全員が毎日手を合わせ、語りかける対象を整えるということ。そう思うと、本当に簡単には決められませんでした。
お位牌の大きさはどうするか。
戒名の文字はきちんと綺麗に収まるか。
お仏壇の中にきれいに収まるか。
そして、ご本尊との「高さのバランス(お位牌がご本尊より高くならないようにする)」は大丈夫か。
何度もサイズを見比べながら、母に似合うものを探しました。
そして、ご本尊。
わが家は真言宗なので、宇宙の根本仏である「大日如来(だいにちにょらい)さま」をご本尊としてお迎えすることになります。
お仏壇の中心にご本尊があり、そのまわりをお位牌や仏具が優しく守るように整えられていく。
これまで実家で何となく目にしていたお仏壇の風景の中にも、ひとつひとつに深い意味と家族の祈りがあったのだと、母を送って初めて心にストンと響きました。お仏壇は、ただの家具や物を置く棚ではありません。
母を愛おしみ、そっと手を合わせる場所。
家族がいつでも母と一対一で向き合う場所。
そして、これからの新しい日常の中で、「お母さん、今日はね」と話しかける場所になるのだと思います。
生きている母を支える時間から、手を合わせる時間へ
在宅介護の真っ只中にいた頃は、母の身体の命を支えることが私の毎日の中心でした。
毎日の食事の工夫。
排泄のケア。
お薬の管理。
訪問看護や訪問医の先生方との連携。
ベッド上での入浴や、山のような洗濯。
母が今日を生きるために必要なことを、毎日ひとつずつ、必死に積み重ねていました。
そして今は、旅立った母を供養するための場所を、ひとつずつ丁寧に整えています。
「生きている母を物理的に支える時間」から、「亡くなった母に心を込めて手を合わせる時間」へ。
その次元の変化は、私の想像以上に大きなものでした。
でも、お仏壇を選び、お位牌を選び、ご本尊をお迎えする一連の歩みは、単なる形式的な義務ではありませんでした。
これからの人生の中で、母との関係をあかるく続けていくための、大切な心の土台作りだと思っています。
母が息を引き取り、私の「在宅介護」という役割は終わりました。
でも、母と私との深い絆や関係が、終わったわけでは決してありません。
今週、お仏壇まわりが届いたら、心を込めて母のための特別な場所を整えます。
「お母さん、これでいいかな?」
「ちゃんと心を込めて準備しているからね」
「これからもずっと、ここで私たちを見守っていてね」
そんな温かい気持ちで、お母さんの新しいお部屋が届くのを、今静かに待っています。
🍀 介護をがんばるあなたへ「あかるく介護」のご案内
親を見送ったあとも、現実的な手続きや仏事の準備は続いていきます。
悲しむ間もなく、役所の手続き、保険証の返却、年金や契約の確認、そしてお仏壇やお位牌の準備……。
何から手をつければいいのか分からず、心が追いつかないまま動かなければならないこともあると思います。
私の運営するホームページ「あかるく介護」では、要介護4の母を自宅で看取り、その後の供養や暮らしを一つずつ整えている体験をもとに、介護する家族、見送った家族の心が少しでも軽くなるような情報を発信しています。
介護中の方も、介護を終えたばかりの方も、ひとりで抱え込まずに、必要なところから読んでいただけたらうれしいです。
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