口に食べものがある間、手を動かしていませんか?
あなたは、口の中に食べものが入っている間、手を動かしていませんか?
私は昔、牛肉と豚肉の味の違いもよくわからないほど、ほとんど噛まずに食べていました。
とにかく早食い。
そんな私でしたが、食べる楽しみを知ってからは、「もっと味わって食べたい」と思うようになりました。
そして、「よく噛んで食べよう」と意識するようになったのです。
ところが、意識しただけでは、なかなか変わりませんでした。
食べ始めの2~3口くらいまでは、「よし、今日はしっかり噛もう」と思っています。
でも、その後は意識がどこかへ行ってしまう。
気がつくと、ちゃんと噛んでいるかどうかもわからないまま完食しています。
ただ、とにかく早食いなので、ちゃんと噛めていないことだけは間違いありません。
そこで、自分がどういう食べ方をしているのかを、客観的に観察してみることにしました。
すると、あることに気づいたのです。
私は、口の中で食べものを噛みながら、次のひと口の準備をしていました。
おかずを寄せたり、ご飯をすくったり。
そして、口の中のものを飲み込むや否や、待機していた次のひと口を口に入れているんです。
つまり、口の中に食べものがある間も、意識は次のひと口に向いていました。
これでは、今食べているものに集中できません。
さらに問題なのは、次のひと口の準備が終わった時点で口の中に入れようとするから、今口に入っている食べものがちゃんと噛めていなくても、無理に飲み込んでしまっていること。
これが、私がよく噛まずに食べてしまう流れだったんです。
原因がわかれば、あとは対処法を考えるだけ。
ポイントは「口の中の食べものに意識を集中する」こと。
これを実現するための方法をいろいろ試してみました。
その結果、一番効果があったのは「一口ごとに箸を置く」という方法でした。

箸を置けば、自然と次のひと口の準備ができません。
今、口の中にあるものに集中せざるを得なくなります。
ただ、これには少し問題がありました。
箸置きがある高級料理店ならともかく、私が普段行くような食堂や定食屋には箸置きがありません。
食器に箸を置くことも考えました。
ただ、食事のマナーにうるさい祖父に育てられたこともあり、食器のフチや中央に箸を橋のように渡して置く「渡し箸」には、どうしても抵抗があるんです。
そこで考えたのが、
「口の中に食べものが入っている間は、手を動かさない」
という方法です。
箸を持ったままでいいので、とにかく手を止める。
次のひと口の準備をしない。
ただそれだけです。
実際にやってみると、噛んでいるものの性状の変化や、味の変化がよくわかるようになりました。
硬いものが、だんだんやわらかくなっていく食感。
素材の甘味やうま味がじわっと広がってくる感覚。
そんな変化が、以前よりずっとよくわかるようになったのです。
そして、その変化に気づけるようになると、食べることがどんどん楽しくなっていきました。
口の中に食べものが入っている間は、手を動かさない。
たったこれだけのことで、食べることが楽しくなります。
もし今まで、口の中で噛みながら次のひと口の準備をしていたなら、一度試してみてください。
いつもの食事なのに、今まで気づかなかった味や変化に出合えるかもしれませんよ。
