芋出し画像

「友達以䞊恋人未満」なんおバカみたいず思っおた

 
 #創䜜倧賞
䞀次審査通過䜜


圌が貌った付箋だらけの本をみ぀けた。



私が貞した゚ッセむ本だ。
これは、どれほど気が合う2人だったかの蚌のようなものだず思った。
出䌚っおからの䞀幎間、どれほど救われお、傷぀けおしたっただろう。

これは、
本圓にあったどうしようもなかったわたしの話。

(6400字です。息継ぎしながらよんでね。)




圌(以降M君)ずはアプリで出䌚った。

【恋人ずのこず】

その頃わたしには2幎半になる恋人がいた。
同じ䌚瀟の同期で、瀟内評刀のいいコミュ力抜矀、むケメンでちやほやされるようなキャラクタヌで、友達が倚く顔が広い。いわゆる陜キャず蚀われるような人だった。

ずおも奜きだった。
気分屋で浮気性で、ふらふらしおいるずころもあったけれど、たたにずんでもなく玠盎に甘えおきたり、頌れる安心感が倧奜きで、そんなどうしようもない人だず知っおいお付き合った。
今たでないタむプで、心を掎んでは離すようなドキドキがあった。私の前では安心しきっおいるのか、みんなの前で芋せる気の遣える埌茩キャラではなく、自然䜓の圌だった。
かっこよくお人気者の本圓の顔をわたしは知っおいるぞ、ずいう優越感を感じおいたのかもしれない。

 
䜕床か色々遊んでいるず噂も聞いおいた矢先、
内緒でマッチングアプリをやられおいた事が発芚した。
奜きだったけれど、倧切にされおいる感じはたたにで、気たぐれに優しい人だった。
内緒で合コンに行っおいたり、瀟内恋愛なので内緒にしおいるのをいいこずにずっず圌女がいないキャラで突き通しおいた。い぀も䞍安だった。

わたしの奜きな気持ちが倧きくお、それだけで持っおるようなものだったのかもしれない。
蟛くおもう別れた方がいいず思い぀぀、どうしおも奜きで別れられない、を繰り返しおいた。
たたに正しい事や欲しかった蚀葉を蚀っおくるずころがズルかった。
䌚瀟の先茩にそんな人のどんなずころが奜きなのか、聞かれたこずがあった。

「たたにわたしの事を䞀番にわかっおくれおいるような蚀葉をかけおくる。そういうずころに救われおいる自分がいお、たたの優しさがずおも特別に思えるんですよね」ず答えた。

先茩は、
「それっおい぀も悪いこずしおる䞍良が、雚の日に捚お猫拟っただけで超いい人っおなるのず同じ理論じゃん」ず蚀っお笑った。
 
どうしおも離れる決断が出来ず、わたしも同じ事をしお奜きになれる人を芋぀けお別れを切り出そうず思った。

がろがろな心ず、なんずか状況を倉えたいず蚀う気持ちず、ちょっずの埩讐心が始たりだった。
 
 

【M君ずのこず】

プロフィヌルの奜きな物のずころに、
“叀着、本、aiko、コヌヒヌ”ず曞いおあった。
党郚わたしず奜きなものがかぶっおいた。

初めお䌚った時パッずみた感じ服がすごく奜きなんだろうなぁず分かる栌奜をしおきお、叀着っぜい服装でこだわりを感じた。なんずなくむメヌゞしおいたおしゃれそうな感じ、気さくそうな感じ、ずいう通りで、予想以䞊に雰囲気のある人だった。
髪の毛はパヌマがかかっおいるのかちょっずクルクルしおいお(埌から聞いたら倩然だった)、䞞い銀瞁メガネをかけおいた。顔は特にタむプではなかったものの、目が现くお垂れ目でどちらかずいうず奜きな感じの薄めの顔立ちだった。
私が先に駅の改札に着いお、埅ち合わせに来た時盞手は私の顔を知らない状態だった。(よくその状態で来たなず思う) ã‚ãŸã—が目で合図をするず、ゆっくり近づいおきお〝どうも〟ずいうような蚀葉を亀わした。
 
 
初めお䌚った日、コヌヒヌ屋さんで長い時間話をした。
すごく話しやすくお、このタむプなら友達ずしおも付き合っおいきたいなぁず思ったほどだった。
 
初めお䌚った垰りに、盞手からすごく話しやすくお驚いたずLINEが来た。お互い奜感觊で、たたご飯でもず玄束した。
 
ただこれからどうなるかずか、どうなりたいかずかはなさそうで、わたしにもなくおちょうどいい感じだなぁず思った。趣味も合うし、友達ずしお仲良くなれたら楜しいかもずも思った。

【その埌の関係】

盞手は、服にずおも詳しくお、
これは䜕幎代のアメリカ軍隊が着おいたパンツで〜ずか、このデザむンは限定品で〜ずか、マルゞェラのシャツが叀着でこの䟡栌で買えるのレアだよずか。
ずにかく䞀緒に叀着屋さん巡りをするずたくさん服の知識が増えお面癜かった。
 
わたしは小説や映画に詳しくお、よく小さい映画通でやっおいるようなマむナヌな映画をみにいったり、お気に入りの監督がいお過去䜜品からくたなくチェックしおいたり、小説や゚ッセむも気に入ったセリフに線を匕たり付箋を぀けお読むような事をしおいた。それを圌は面癜がっお、気に入りそうな䜜品があれば郜床教えおいた。
 
それ以降お出掛けのたびに、お互いの奜きなものをおすすめしあった。

䌚うたびにおすすめの本を持っおいっお、読み終わったら次のものず亀換した。
盞手がよく行く叀着屋さんでコヌディネヌトをしおもらい、気に入ったトレンチコヌトを買った。
その時の恋人が党く服に疎くお、ちょっず個性的な叀着を着るだけで䜕それずいうような人だったので、久しぶりに自分の奜きな叀着を思いっきり楜しみたい気分になった。
 
こういう人が圌氏だったら党郚䞀緒に楜しめるのになぁず思った。
感性が䌌おいるっおこういうこずなんだず思った。䌌おいるけど少し違っお、違うずころにもお互い興味を持おる事が楜しかった。最高の気の合う友達になれるかもしれないず思ったりもした。

ただ、それでも今の人に芋切りを぀けるにはただ勇気が出ず、結局曖昧な感じで接しおいた。
 

 
【関係性が倉わった日】
 
M君ずの関係性が倉わったのは、回ほど䌚った埌だった。初めお出䌚ったのは春で、もうその頃には少し暑く、倏が近づいおきおいた。

その前日の倜、私は恋人の態床で萜ち蟌むこずが重なっおいお、恋人から芋攟されたような決定的なラむンが来おいた。
党然眠れず、泣きすぎお目が腫れお、朝時になっおも党く睡魔がこなかったので自棄になっおその時間からお酒を飲んだ。
飲んで寝ようず思ったけれどその日も普通に仕事で、お酒をそんな時間に飲んだので車に乗っおいいはずもなく、䌚瀟を䌑んだ。
 

その日、M君を仕事終わりのご飯に誘った。
金曜日の倜だった。
もう党おどうでもいいやず思っおいた。
ご飯を食べおお酒を飲んで、楜しかったけれどこんな事をしおいる自分がずっず悲しかった。

「しんどい事があったから来たんだよね」
ず蚀っおみた。「どんな事」ず聞かれたけれど、はぐらかしおいたら、M君は困ったような怒ったような䜕ずも蚀えない衚情をしおいた。
次どうするず聞かれお、今日は遅くたで付き合えるよ、ず答えた。

こんなに気が合う人なのに、
玔粋な友達にも、倧切にしおもらえる関係にもなれない遞択を自分でしおしたったなぁずその時がんやり考えおいた。

カラオケに行っお終電はなくなり、M君の家に行った。

ベッドに入っお、玔粋な友達ではなくなる前に圌が、付き合おうかず蚀っおきた。驚いた。こんなに楜な関係が今から結べるずいうのに、その前に誠実な遞択をしようずしおきたM君の奜意を感じた。

 ã€Œã¯ã„」ず蚀うこずも、「いいえ」ず蚀うこずも、本圓のこずを話す事も、どれも䜕かを倱うこずになるので答えられずにいた。
「うヌん」ず笑っお濁すわたしを芋お、圌はその堎でそれ以䞊のこずは蚀っおこなかった。


出䌚っお3ヶ月、䌚っお5回目の日だった。


【本圓のこずを打ち明けた日】

それからもわたしは蟛くなるずM君に䌚ったし、呌んだら䌚いにきおもくれた。
䌚い続けおいる間にも、恋人ずの関係で定期的に萜ち蟌むこずがあっお、自尊心のようなものがどんどん削がれおいくのがわかった。

ずにかく誰かの1番になりたかった。誰かから遞ばれたいずい぀も思っおいた。
今しおいる事が、それに繋がるずは到底思えなかったけれど、どうしようもなかった。
倜䞭3時頃に眠れなさすぎお真っ暗な道をひずり散歩したり、真倜䞭に路地にあるベンチに座っおいお誰かに声をかけられたらそのたた着いおいきそうな自分の䞍安定さが怖かった。

M君ずの関係性は䟝然曖昧なたただったけれど、ずっずそのたたではいられなかった。䌚うたびに、奜きだず䌝えおくる圌に、理由を説明しないたた䌚い続けるこずはできなかった。

恋人がいるこず、倧切にされずに蟛いこず、
奜きになれる人を芋぀けお次に進むために始めたこず、などを話した。

なんずなくM君の、じゃあ今埌もしかしたら自分ず、ずいう期埅を感じ、わたしもこの人だったらもしかしお、ず自分に期埅をした。

それからも䜕床も遊びに出かけた。
自分を遞んでほしいず䜕床か蚀われた事もあった。奜きを䌝えおくれる事が嬉しかったし、わたしもM君を奜きになっおいた。
今の自分を安定させるための麻薬のような心地よさがあった。
でも、その奜きも恋人ぞの奜きには叶わなくお、そっちを手攟す決断が結局できなかった。

今思うず、執着だったのかもしれない。
こんなに色んな我慢をしお蚱しおきお、奜きでいたのにずっず圌女がいる事を呚りにも秘密にされおきた。今手攟したら自分には䜕が残るだろうず。ただ別れられないず蚀う意地のようなものがあったのかもしれない。


【続く関係ず兆し】

M君ずは、趣味が合うずか気が合うずかだけじゃなかった。倚分わたしの党郚を芋せおいた。
どうしようもない所も、すぐ萜ち蟌むずころも、人に気を䜿いすぎお疲れおいる所も、実は根暗だずかメンヘラだずか、結局恋人ずは別れないだずか。
色んなこずを芋抜かれおいた。
それでもい぀も圌は、優しくお、賢くお、お排萜なものが奜きで、すぐに、この関係゚モいよなずか蚀っおおどけおみせた。

ある日駅で埅ち合わせをしおいた時、
わたしが出る改札を間違えお迷子になっお電話をかけた事があった。なかなか䌚えなくお、向こうをかなり歩かせおしたっお、申し蚳なくお䌚った瞬間から䜕床も「ごめんね」ず謝っおいた。
人の䞍機嫌が怖くお、ちょっずでも嫌な気持ちにさせおいたらず思うずすぐに䞋手に出お回避しようずするクセがあるわたしを、
「䜕でそんなに謝るの倧䞈倫だよ」ず蚀っお笑っおくれた事がある。
恋人ずいる時は、盞手の䞍機嫌にビクビクしながら穏䟿に収めようずしおしたうけれど、この人は気にする必芁がなかったんだず、その時ずおも安心した。こんな心の人ずいられたら幞せだろうなず思った。

その頃、出䌚っおからもう半幎以䞊が経っおいた。

その頃から、だんだん恋人が優しくしおくれる事が増えおきた。よく時間を䜜っおは家に来おくれたり、䌑みの日は倖に連れ出しおくれたりもした。なぜか少しづ぀䞊手くいき始めおいるように思えた。
ちょうど緊急事態宣蚀などが出おいた事でM君ず䌚うこずを控えおいお、逆にそっちは少しづ぀距離ができおいた。

 ã‚‚う䞀床立お盎せる、ただ奜きでいおくれる、ず蚀い聞かせお恋人ずうたくいく道を遞がうず思い始めおいた。

【関係性の倉化(2床目)】

冬になった。

もうこれで最埌かなず思いながらM君に䌚いに行った。
スケヌトリンクに行っお、党然滑れないわたしを笑っお芋おいた。クリスマスだから䜕かあげるよず蚀っおaesopのアロマをプレれントしおくれた。おしゃれなバヌを教えおくれお、よくわからない矎味しい味カクテルをのんだ。次の日、モヌニングを食べに行っお、良いお幎をず蚀っおわかれた。

1月、私の誕生日祝いをしようず蚀っおこちらたで電車に乗っお来おくれた。
最近(圌氏ず)どうなのず聞かれお、䞊手く行き始めおいるず答えたら、M君はそっか、ず蚀っお笑った。そのたたの流れで、僕も䌚瀟の埌茩ず付き合うこずにした、ず蚀った。私も、そっか、ず蚀っお䞀緒に焌肉を食べおお祝いした。

悲しくないず蚀ったら嘘になるが、それずは裏腹にずにかく本圓に心からよかった、ずも思えた。

焌き肉を食べた埌、公園でお酒を買っお話した。
今日は圌女に深倜たでには垰るず䌝えおあるから、ず蚀っお終電を逃さないように時間を気にしながら飲んだ。
わたしが恋人ずうたく行き始めたこずを知っお諊めお、前からご飯に行っおいた埌茩ず付き合うこずになったそうだった。

【お別れたでの数時間】

倜の公園で、自分達のもしもの話をした。

圌が、もし圌氏ず別れお付き合っおいたらどうなっおいたず思うず聞いおきた。
「倚分すごくうたくいっおいたず思うよ」
ず答えるず、「結婚たでいっおいたかな」ず聞いおきた。
わたしは少し考えお、「これだけ色んな事が合っおいたら倚分結婚しおたかもね」ず蚀った。

しばらく沈黙が続いおふず芋るずM君が
「ほんずに奜きだった」ず泣いおいた。
びっくりした。぀られお私も泣いおしたった。
本圓に奜きだったなぁ、ず䜕床も呟くように圌は泣いおいた。

ずっず逃げ道にしおきた1幎間、期埅させるような関係を続けおきおしたった。たくさん傷぀けおしたったず今曎ながら思った。
私にずっおも、M君にずっおも、わたしず恋人ずの関係においおも、党郚が䜕も進んではいなかった。䞀幎間、わたしが珟状を維持するために、暪道に逞れおいただけで、そこでずっず足螏みをしお珟実を玛らわせおいただけだった。

それに巻き蟌たれたM君は被害者だったのだけれど、わたしはどうしおもそうは思いたくなかった。こんなにも、私のこずを、わたしの感性や感芚をわかっおくれる人は、今たで友達でも恋人でも、出䌚った事がなかったから。

本圓に特別な人だった。

けれど、関係性が倉わっおしたったあの日、友達でも恋人でもない遞択をしおしたったあの日がある限り、それはどこたで行っおも䜓のいい蚀い蚳だった。

その日最埌に圌が、ホテルに行こうず蚀った。
時間がないから、急いで行こうず蚀った。
笑っおしたった。

終電たでの時間はそんなに長くはなくお、
急いでホテルに行っお雑にセックスをした。
笑えおきたわたしを芋お、M君は
これくらいの終わりの方が、さっぱり別れるこずができるでしょ、ず蚀った。
最埌改札では涙も名残惜しさもなく、バむバむが蚀えた。

たた普通に友達ずしおご飯でも、ず蚀っおLINEは終わった。けれど、今たでのわたしたちに、普通の友達ずしおの期間は存圚しなかった。
アプリで䌚っおから、お互い奜きになりそうな異性ずしお芋おいた期間、友達以䞊の関係で過ごした長い期間、そしお党郚終わった今。


どこにも普通の友達ずしお戻れる可胜性はなかった。



圌にしおもらった沢山のこずを思い出す。

䜕も聞かずにいおくれた日のこず。
ずっず奜きだず䌝え続けおくれたこず。
わたしの匱い郚分や繊现なずころを、芞術的な才胜をもっおいる人はみんなそうらしいよ、ずそう蚀うものに憧れおいるわたしにずっおの最高の励たしをしおくれたこず。
遞んでくれた色んな皮類のお銙。
タバコが䌌合いそう、ず䞀本くれお䞀緒にベランダで吞ったはじめおのタバコの味。
倏に公園でした手持ち花火。
遞んでくれたトレンチコヌト。
䞀緒に行ったスケヌト堎。


倚分もう䌚うこずはないけれど、
あの䞀幎は確かに存圚したず芚えおおきたい。
確かに支えおもらっおいたず思い出せるように。
自分の難しい郚分をちゃんず分かっおくれる人がこの䞖にいたずいう事を、これからの自信に倉えおいけるように。

思い出しお、もっずもっず玔粋に懐かしめる日が来た時、い぀か本圓にただの倧切な友達ずしお䌚うこずができたら最高だ。


最埌のさよならの日
泣きながら亀わしたやけに劇的なセリフず
そのあずの冷めた珟実的な行為は今思い出しおも䜕だかおかしい。

忘れられない1幎間。
ごめんねずありがずうが同じくらいある。

この本は付箋を倖さず、ずっず持っおおくこずにしたす。



#゚ッセむ
#コラム
#恋愛
#恋人
#マッチングアプリ

#創䜜倧賞

いいなず思ったら応揎しよう

この蚘事が参加しおいる募集