見出し画像

244.カレーをおいしくするのは技術か材料か? 問題

カレーの学校10年分の授業内容を2冊にまとめた新刊『カレーの世界』『カレーの宇宙』が完成した。

おいしいカレーの作り方について授業している内容に、次のような文章が書かれている。

カレーをおいしく作りたければ、実力をつけるしかありません。

実力とは主に技術のことである。元も子もないような発言だけれど、「腕を磨くしかない」ということだ。一方で同じページを読み進めていくと、こんなことも書いてある。

隠し味を上手に使えばカレーはあっという間においしくなります。

おお、よかった。実力をつける以外にカレーをおいしくする方法があるということだ。常日頃、僕は、「カレーのおいしくするには2つの方法しかない」と言っている。「材料を工夫する」か「作り方を工夫する」かだ。レシピには材料と作り方が記載されている。
どちらかを工夫する以外にカレーをおいしくしようとするなら、魔法でもかけるしかない。

材料の工夫は、誰にでもできる。「それを使えばおいしくなる」とわかっているアイテムを加えるだけだから、簡単なことだ。
ところが、作り方の工夫は誰にでもできることではない。技術が伴うからだ。
僕にとってカレー作りは後者の方が断然に面白い。技術を磨いてあれやこれやができるようになった結果、カレーがおいしくなる。おいしくなったというこは技術が身についたことを実感できることと同義である。

一方で材料の工夫は僕には退屈だ。だから、「これを入れたらカレーがおいしくなる」ことが判明したら「それはもう使いたくない」となる。結果、引き算に引き算を重ね、「そんなミニマルな材料じゃカレーはおいしく作れないよ」というところまで引き算をした上で、「ほら、この味が出せるんですよ」をやって自己満足に浸るのだ。

とはいえ、多くの人は、おいしいカレーを作れればゴールテープを切るだろう。技術の向上なんて興味がない。自分の作るカレーがおいしくなればいい。
それなら、今回は、ひとつの例を示してみよう。まず、僕が毎週欠かさず作っているミニマルカレーを作る。そこから材料(隠し味的なもの)を追加することで、3種のアレンジカレーを作ってみたので、紹介したい。

まず、現在のミニマルカレーは、たったこれだけの材料を使う。

玉ねぎ、にんにく、しょうが、鶏肉、水、塩、油、スパイス

このミニマルカレーの時点で僕にとっては十分おいしいカレーだが、そのおいしさはちょっと伝わりにくいかもしれない。多くの人に「おいしい!」と言ってもらうためには、もっとはっきりおいしさがわかりやすいカレーにする必要がある。

そこで、ここから秘密のアイテムを加えて3種類のカレーを完成させる。

A.塩こうじ・ココナッツミルク・レモン汁
B.トマトペースト・ヨーグルト・レッドチリ・パプリカパウダー
C.砂糖・しょう油・ローステッドカレーパウダー・カスリメティ

あっという間にめちゃくちゃおいしいカレーが3種類できあがる。しかも、3種類のカレーが3色になるようにデザインカレーしておいた。

Aのカレー
Bのカレー
Cのカレー
Aのカレー
Bのカレー
Cのカレー

カレーの料理教室では、よくこんな話をする。

おいしいカレーを作るのは簡単です。

そう本当に簡単なのだ。「材料の工夫」に頼りさえすれば、技術を磨く必要はなく、おいしくなる材料を加えればいいだけなのだから。僕にとってはちょっと退屈な行為だけれど。



いいなと思ったら応援しよう!