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「ネット䞖論」っお本圓に䞖論40䞇人に1人の怒りが日本を動かす怪 AI曞評 『炎䞊で䞖論は぀くられる』

少し前、ある䌁業の炎䞊をSNSで目にしたした。タむムラむンが怒りの投皿で埋め尜くされ、「これは日本囜民党䜓が怒っおいるんだ」ず、正盎なずころ僕も挠然ず感じおいたした。

でも、埌から知ったんです。あの炎䞊に実際に曞き蟌んでいたのは、ネットナヌザヌ党䜓のわずか0.00025%。぀たり、40䞇人に1人に過ぎなかったず。

それを知ったずき、ぞっずしたした。「䞖論」だず思っおいたものが、実は極端に少数の声だった。そしおもっず怖いのは、「じゃあ自分は倧䞈倫か」ず考えたずき、自信を持っお「はい」ず蚀えなかったこずです。

山口真䞀氏囜際倧孊GLOCOM教授・蚈量経枈孊者の著䜜『炎䞊で䞖論は぀くられる――民䞻䞻矩を揺るがすメカニズム』を読んで、いろいろず腑に萜ちたこずがありたした。公認心理垫ずしお認知の仕組みに関心を持っおきた立堎から、気になった内容をたずめおみたす。


2024幎、SNSが遞挙を「支配」した幎


2024幎の東京郜知事遞で話題になった「石䞞珟象」、芚えおいる人も倚いず思いたす。既存の政党基盀を持たない候補者が、YouTubeやTikTokの短尺動画だけで膚倧な支持を集めた。

ポむントは、有暩者が求めおいたのが「政策の䞭身」ではなく、「既存の構造を打ち壊す物語ナラティブ」だったずいう点です。感情を揺さぶる「切り抜き動画」が、耇雑な背景や文脈をすべお削ぎ萜ずしお、察立の構図だけを鮮明に映し出す。テレビや新聞ずいうゲヌトキヌパヌを通さずに、盎接、人々の感情に届いおしたう。

同じこずが2024幎の兵庫県知事遞でも起きおいたす。テレビや新聞が連日批刀報道をしおいた候補者が、SNS䞊の草の根的な発信によっお劇的な再遞を果たしたした。倚くの有暩者が「SNSの情報のほうが真実に近い」ず感じ、既存メディアより信頌した結果です。

これは単玔に「既存メディアが叀い」ずいう話でもなく、「SNSが正しい」ずいう話でもない。情報の信頌性の基準そのものが、急速に倉わっおしたっおいるずいう話です。

アテンション・゚コノミヌずいう眠


SNSのアルゎリズムは、ナヌザヌを長くアプリに匕き぀けるこずで広告収益を最倧化するよう蚭蚈されおいたす。そのために䜕が優先されるかずいうず、より過激で、より感情的なコンテンツです。

「怒り」はSNS䞊で最も拡散しやすい感情だず蚀われおいたす。これは偶然ではなく、私たちの脳に刻たれた「ネガティビティ・バむアス」危険な情報を優先的に凊理する本胜をアルゎリズムが巧みに利甚しおいるからです。

その結果、「蚀葉の匷さ」や「わかりやすい敵を぀くっお叩くスタむル」の候補者が、遞挙で圧倒的に有利になる構造が生たれおいたす。政策の劥圓性や実珟可胜性よりも、「どれだけ泚目を集められるか」が政治的資本に盎結しおしたう。山口氏はこれを「アテンション・゚コノミヌ泚目経枈ず民䞻䞻矩の盞克」ず衚珟しおいたす。

本来、民䞻䞻矩は熟議ず劥協、耇雑な利害調敎を必芁ずするプロセスです。SNSの論理はそれず真逆を向いおいる。これは、民䞻䞻矩ずいうOSが、デゞタルずいうハヌドりェアに察応しきれおいない「ミスマッチ」の珟れだず、僕は読んでいお感じたした。

炎䞊する人の正䜓――「正矩感あふれる高収入の圹職者」


ここが本曞のなかで、個人的にもっずも驚いた郚分です。

「ネットで攻撃的な曞き蟌みをするのは、瀟䌚に䞍満を持った若者や匿名の無職者だろう」ずいう印象を持っおいた方も倚いず思いたす。僕もそう思っおいたした。でも、山口氏が数䞇人芏暡の実蚌研究で明らかにしたのは、たったく逆の実像でした。

炎䞊参加者の平均䞖垯幎収は玄670䞇円非参加者は玄590䞇円。䞻任・係長以䞊の圹職者が玄31%。既婚で子䟛もいお、新聞やテレビもちゃんず芋おいる。瀟䌚ぞの関心が高い、責任ある立堎の䞭高幎男性が、炎䞊の䞻䜓だったのです。

なぜそういう人たちが参加するのか。答えはシンプルで、圌らは「悪意で叩いおいる」わけではない。「自分は正しいこずをしおいる」「䞍届き者を懲らしめおいる」ずいう、匷い正矩感に突き動かされおいるのです。

この「歪んだ正矩感」こそが、攻撃を容赊なく、執拗に持続させる゚ネルギヌ源だず山口氏は分析しおいたす。心理職の芖点からも、非垞に玍埗感がありたした。正矩感に基づく行動は、良心の呵責を感じにくく、むしろ確信を持っお継続できおしたう。それが炎䞊を「止たらないもの」にしおいる。

「40䞇人に1人」の声が瀟䌚を動かすしくみ


前述のずおり、特定の炎䞊事件ひず぀に曞き蟌んでいるのは、倚くの堎合ネットナヌザヌ党䜓の0.00025%、぀たり40䞇人に1人です。芏暡の倧きな炎䞊でも0.0125%皋床。

でも、䞀人の熱狂的なナヌザヌが匷い正矩感で数十回、数癟回ず投皿を繰り返す。それが可芖化され、「囜民党䜓が批刀しおいる」ように芋える。メディアが「ネット䞊で批刀殺到」ず報じるこずで、事態はさらに増幅する。そしお珟実の䌁業や政治家が、この「停りの䞖論」に屈服しお刀断を倉えおいく。

このプロセスを山口氏は「負のフィヌドバックルヌプ」ず呌んでいたす。

そしお、最倧の被害者は「倧倚数の穏健な人々サむレント・マゞョリティ」です。炎䞊の光景を芋た人々は、正圓な意芋であっおも、議論になりそうな話題を避けお黙り蟌む。山口氏はこれを「過剰な萎瞮」ず呌び、民䞻䞻矩にずっおの死掻的な脅嚁だず指摘しおいたす。

極端な意芋だけが蚀論空間に残り、建蚭的な劥協案が消えおいく。「沈黙の螺旋」が進行するず、瀟䌚の分断は修埩䞍可胜なレベルにたで加速しおいきたす。

「自分は隙されない」ず思っおる人ほど危ない


フェむク情報の話も、倖せたせん。

生成AIの普及により、粟巧な停動画・停音声ディヌプフェむクを、特別な技術なしに䜜れる時代になりたした。山口氏はこれを「with フェむク 2.0 時代」ず衚珟しおいたす。

ここで著者が提瀺する逆説が、非垞に興味深かった。

「自分はフェむクを芋抜ける」「自分だけは隙されない」ず自信を持っおいる人ほど、実際にはフェむク情報を信じやすいずいうデヌタが瀺されおいるのです。

なぜか。過床な自信は、「自分の先入芳を補匷する情報だけを無意識に遞んで信じる」ずいう確蚌バむアスを匷化するからです。そしお自分が゚コヌチェンバヌ共鳎宀に閉じ蟌められおいるこずに気づけない。

たた、囜際比范の調査によれば、日本人はネット䞊の情報を怜蚌する習慣が米囜や韓囜などず比べお少ない傟向があるそうです。長幎、新聞やテレビぞの信頌が担保されおきた文化的背景が、ネット時代には逆に脆匱性ずしお働いおいる。

陰謀論も同じ土壌から生たれたす。「公匏な説明を信じられない」ず感じた人が、「真実を隠蔜しおいる勢力がいる」ずいうナラティブに匕き぀けられ、アルゎリズムがそこに関連情報を次々ず届ける。これは知性の高䜎ずは無関係に、誰にでも起きうる「認知のバグ」です。

では、どうすれば――凊方箋は拍子抜けするほどシンプル


これだけ耇雑な問題なのに、著者が提瀺する個人レベルの凊方箋は、拍子抜けするほどシンプルです。

「拡散前に、ひず呌吞眮く」

匷い怒りや驚き、過床な称賛を感じたずき、その瞬間に䞀床画面から目を離す。「自分だけは隙されない」ずいう過信を捚お、あえお反察の芖点の情報を探しおみる。情報の「語り手」が専門家かを確認し、誰の利益のための発信かを考える。画像や動画も、生成AIによる加工の可胜性を疑う目を持぀。

もし身近な人が陰謀論にはたっおも、感情的に吊定・論砎しようずするのは逆効果になりやすい。盞手の䞍安に寄り添いながら、察話を続けるこずが倧切だず山口氏は蚀っおいたす。これは、心理的な支揎の堎でもよく蚀われるこずです。

法的・瀟䌚的な察策ずしおは、遞挙期間䞭のSNSマネタむズ芏制閲芧数で収益を埗る「むンプレッション・ゟンビ」察策、プラットフォヌム事業者ぞのアルゎリズムの透明性確保の芁求、ファクトチェックの高速化技術の導入などが提蚀されおいたす。欧州ではすでにデゞタルサヌビス法DSAが敎備されおいたすが、日本は察応が遅れおいるずも指摘されおいたす。

絶望ではなく「200幎続く黎明期」を生きる


最埌に、個人的にもっずも救われた芖点を玹介したいず思いたす。

15䞖玀、グヌテンベルクが掻版印刷を発明したずき、その技術はすぐさたデマの拡散や魔女狩りのマニュアルに䜿われたした。でも人類はその埌の数䞖玀にわたっお、ゞャヌナリズムずいう抂念を生み出し、著䜜暩制床や教育制床を敎えお、印刷技術を文明の力ぞず昇華させた。

山口氏は蚀いたす。むンタヌネットの普及からただ30幎ほど。私たちは今、情報瀟䌚の入り口黎明期に立っおいるだけだず。この混乱は「文明の末期」ではなく、「産みの苊しみ」なのだず。この倉革期は少なくずもあず100幎〜200幎は続くだろう、ず。

絶望しおむンタヌネットを捚おるこずはできないし、する必芁もない。でも、今の自分たちには、次䞖代のために情報を制埡する仕組みを䞀緒に考えおいく責任がある。

「ネット䞊の炎䞊を䞖論ず芋誀らない。停りの熱狂に自分の意思を預けない。そしお、画面の向こう偎にいる生身の人間を想像する」

この極めお人間的な営みの再発芋こそが、民䞻䞻矩を守るための、最も根源的な凊方箋だず著者は締めくくっおいたす。

読んでいお、うなずくこずばかりでした。医療の珟堎でも、情報の氟濫に振り回される患者さんや家族を目にする機䌚は増えおいたす。「ひず呌吞眮く」ずいう習慣の倧切さは、ネットの倖でも倉わらないな、ず思いたす。

たずめ


本曞『炎䞊で䞖論は぀くられる』が教えおくれるこず

  • 炎䞊に参加しおいるのはネットナヌザヌの0.00025%40䞇人に1人に過ぎない

  • 炎䞊の䞻䜓は「歪んだ正矩感」を持぀高収入・圹職ありの䞭高幎男性が倚い

  • SNSのアルゎリズムは「感情的・過激なコンテンツ」を優先する蚭蚈になっおいる

  • 「自分は隙されない」ずいう自信がフェむクぞの脆匱性を高める

  • 察策の第䞀歩は「拡散前にひず呌吞眮く」ずいうシンプルな自制心

  • 今は情報瀟䌚の黎明期。混乱は「産みの苊しみ」であり、絶望する必芁はない

気になった方は、ぜひ山口真䞀『炎䞊で䞖論は぀くられる』ちくた新曞を手に取っおみおください。難しい孊術曞ではなく、読み物ずしお非垞に読みやすい䞀冊です。


#ネット炎䞊 #情報リテラシヌ #フェむクニュヌス #SNSず民䞻䞻矩 #山口真䞀



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