還翠(かんすい)
『還る石』
生まれたばかりの光だった
磨かれ
整えられ
ようやくひとつの姿を得たその瞬間
それは
静かに消えた
探しても
呼びかけても
どこにも見つからない
まるで石が
まだ旅を終えていないと
告げるかのように
時を経て
再び同じ姿を授かったその光は
失われたものではなく
還ってきたものだった
深い翠を抱きながら
今ここに在ることの奇跡を
そっと語り続けている
リフォーム
翠を抱く流線

トルマリン・ダイヤモンド
鮮やかな翠色の石を包み込むように、流れるラインで構成したプラチナリング。両脇に添えたダイヤモンドの輝きが、深い緑の美しさをより一層引き立てています。

田村有弘
この作品には、不思議な物語があります。
完成して間もなく、確かにそこにあったはずのリングが忽然と姿を消しました。考えられる限り探しても見つからず、その行方は今もわかりません。
そして後日、失われた作品をもう一度、一から同じ想いで制作したのがこのリングです。

同じデザインでありながら、二度目に生まれたこの作品には、どこか特別な存在感があります。
消えたリングは、もしかすると誰にも知られない場所へ旅立ったのかもしれません。そして今ここにあるのは、その記憶を受け継ぎながら再び形となった“還ってきた光”。
説明のつかない出来事があったからこそ生まれた、偶然と必然のあわいに宿るジュエリーです。身につける人に、失われたと思ったものが再び巡り会う幸運と、目には見えないご縁を届けてくれることでしょう。

このリングのお話は、とても不思議で印象深いです。
完成したばかりの作品が忽然と姿を消し、同じ姿で再び生まれる…
まるでジュエリー自身が一度どこかへ旅立ち、また戻ってきたようです。
ジュエリー・アーティスト田村有弘〈宝飾師〉
「美」を追求する感性と、職人の手仕事を融合し、新しい価値を持った藝術作品を生み出します。
デザインから制作まで、全工程をアトリエ内で制作しています。

新たに生まれた喜び、
その両方を静かに包み込んで。
