夜間巡回|毎週ショートショートnote
小学校の夜間警備の仕事を始めて三ヶ月、妙なことに気がついた。
深夜の巡回。
毎週金曜日、6年2組の黒板だけは、いつもきれいに消え、チョークの粉もない。
あのクラスには特別に几帳面な生徒がいるのだろうか?
ある夜、廊下でばったり出くわした。
この春退職した用務員の山田さんだった。
「定年してもね、つい来てしまうんですよ」
山田さんはチョークで白くなった手をズボンで拭きながら、そう言った。
山田さんは三十年、この学校の黒板を消し続けた。
「子どもたちが帰った後に消すとね、今日も終わったな、と思えて」
「6年2組には孫がお世話になっていたんです。」
私は見なかったことにすると約束した。
山田さんは何度も頭を下げて帰っていった。
教室に入ると、黒板は、また真っ白、いや真っ黒だった。
翌週の金曜日、他の教室と変わらない6年2組の黒板を見て、私はゆっくりと電灯を消した。
田原にかさんの企画に参加させていただきます。
お題は「夜行性の黒板消し」
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