サンダルで出かけるといつも母に怒られた。
どこへ行くにも、私はサンダルだった。
中学生の頃の話だ。
「ちゃんとした靴を履きなさい」
「サンダルでいいじゃん」
そのやりとりを、何十回繰り返しただろう。
ちょっとそこまで、ちょっと気軽に。
母にとってサンダルは庭先だけで履くものだった。
時が経ち、怒る人はいなくなった。
玄関にあるはずの娘のサンダルは今日もない。
片隅には、少し寂しそうな私のサンダル。
今日くらいは、サンダルを履こうか。
母の月命日だから。
小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します。
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