なぜ私は、夫に黙ってMLMを始めたのか―孤独だった私が「居場所」と「未来」を買おうとした日―
生まれて初めてのMLM。
そして私は、始めたばかりで「辞めたい」と思う日が来るなんて、その時は想像もしていませんでした。
いや、正確には——
辞めたいと思っても、簡単には辞められない仕組みがそこにはありました。
オートシップ。
自動的に商品が届く仕組み。
「辞めたい」と口にしても、現実には支払いが続いていく。
でも、最初の私は、そんなことも知りませんでした。
私は20代前半で結婚しました。
今振り返れば、かなり勢いのある結婚だったと思います。
顔だけは100点。
でも中身は……。
昭和どころか、大正時代の男尊女卑を引きずったような考え方。
プライドは富士山級。
今の時代なら「なかなか難しい人」と言われるタイプだったと思います。
ただ、当時の私は若くて、そこまで見えていませんでした。
結婚後、彼が無職の時に年子の子供が生まれました。
若い夫婦には、よくある話なのかもしれません。
でも、生活費がない中で子育てをする現実は、想像以上でした。
彼は家事も育児もほとんど関わらない。
一人暮らしの経験もなく、生活にどれだけお金がかかるのかも分からない。
私はいつの間にか、
「家政婦であり、ATMのような存在」
になっている気がしていました。
生活費の話をしても、
「やりくりできないお前が悪い」
と言われる。
最初は私も言い返しました。
負けん気だけは強かったから。
でも、強く否定され続けると、人は少しずつ自信を失っていきます。
子育ての寝不足も重なり、考える力そのものがなくなっていました。
そんな時に出会ったのが、MLMのマダムたちでした。
「年子の子育てなんてすごいね」
「働きながら育児して偉いね」
「若いのに頑張ってるね」
その言葉が、当時の私にはどれだけ嬉しかったか。
自尊心を失っていた私にとって、それは砂漠の中のオアシスでした。
家では認めてもらえない自分を、ここでは認めてもらえる。
そこに居場所がありました。
そして登場したのが、「一生もののお鍋セット」でした。
「阪神大震災でも燃えなかった」
「磨けばまた使えた」
そんな逸話とともに紹介された鍋。
家族のために、体にいい料理を作りたい。
その気持ちは本物でした。
さらに、これはビジネスになる!
「来年には月10万円」
「子供が学校に行く頃には月100万円」
そんな未来の話を聞きました。
子供たちと楽しく過ごせる未来。
テーマパークに連れて行ける未来。
その未来が、当時の私には眩しく見えました。
でも、問題がありました。
12万円のお鍋セット。
夫に、なんて言えばいい?
すると彼女たちは言いました。
「旦那さん、家事しないんでしょ?」
「だったら黙っていても分からないよ」
今なら分かります。
あの言葉は、私の背中を押したようでいて、危険な一歩でした。
ただ、彼女たちは知らなかった。
私がどんな生活をしていたのか。
カードを持っていないこと。
寿退職後、パート勤めでローン審査が簡単ではないこと。
私の「普通」が、彼女たちの「普通」と違ったこと。
ローン用紙を書きました。
そして、マダムからのアドバイスで、
勤務半年足らずの職歴を「2年」と書いて提出しました。
審査結果を待つ時間。
通ってほしい気持ち。
でも同時に、不安もありました。
通れば、今の生活費に新しい支払いが増える。
でも通らなければ、それはそれで、
「貧しい自分」を突きつけられるようで恥ずかしかった。
私はこの時、
夢を買おうとしていたのか。
それとも、
認めてもらえる場所を買おうとしていたのか。
まだ気づいていませんでした。
いつでも認めてもらいたかった。それは、ずっとずっと心に根ずくものだったころの記事はこちらです。👇
