見出し画像

4⃣「道徳科感想分析法」による授業研究(1)ー授業前の感想を分析するー

感想分析を用いた授業研究では、授業前に教材を一読させ、その感想を分析することから研究を始めます。子どもたちが書いた授業前の感想に含まれた情報を分析すると、的確な授業設計ができます。

みなさんは、授業に関わる「子どもたちの実態」をどんな方法で把握していますか?

意識調査(アンケート)を行ったり、日常生活の様子から実態をまとめたりするのではないでしょうか。

子どもたちの実態を把握することは大切です。
実態に合わせて授業展開を工夫する必要があるからです。

他に方法はないのでしょうか?

授業前に子どもたちに教材文を一度読んでもらい、感想を書いてもらう方法があります。この教材を読むと、子どもたちがどんなことを考えるのかを把握する方法です。感想は個人によって違いがあり、学級によってもその傾向に違いがあります。それを知ることで、効果的な授業を考えることができるはずです。

児童の実態を把握できれば、授業研究は一歩前進します。


授業研究のために、授業前にできることはあるでしょうか?

授業前の子どもたちの考えと、授業後の子どもたちの考えを比べることができれば、授業による効果を明確にすることができます。

では、授業前と授業後の子どもたちの考えを比べるには、どうしたらよいでしょうか?

子どもたちの実態で述べた「教材を一度読んで書いた感想」と「授業後に参加して考えたことを書いた感想」を比べることができます。
授業前の感想と授業後の感想には違いがあるはずです。
そして、「授業前の考え」と「授業後の考え」を比べれば、その授業の効果(授業効果)を捉えることができるはずです。

では、二つの考えを客観的に比べる方法はあるのですか?

授業効果を評価する方法には、「道徳科感想分析法」があります。
子どもたちが書いた感想を「ねらいの価値絵の焦点化」と「価値を自分ごととして捉えた度合い」の二つの観点から分析し、感想分析表というマトリックス表に整理して分析結果を可視化し、授業効果を確認する方法です。

感想分析法を使うと、授業研究の質が格段に進化します。

道徳科感想分析法を利用して授業研究を行うと、授業研究の質が大幅に向上します。感想分析法という客観的な評価方法を用いて授業の効果を検討することで、授業の良かった点、改善すべき点を数多く見つけることができるからです。
そして、授業展開をどのように改善すればよいのか、そのヒントは感想分析表から読み取ることができます。

道徳科感想分析法は、従来の授業評価の方法である「授業の観察」と並行して利用することができる評価方法で、これら二つと、授業展開の様子を利用することで、授業を立体的に捉えることができるのです。

授業を詳細に分析して評価する

授業研究に当たっては、「道徳科感想分析法」を複数回利用することで、授業効果を詳しく検討することができます。
「授業の後」に感想を書いてもらうことは、これまでも行われてきました。これに加えて、「授業の前」に「一度だけ教材を読んで感想を書いてもらう」ことで、「教材との出会い」による子どもたちの反応を把握することができます。
この「授業前」と「授業後」の二つの感想を分析し、その「変化の様子」を捉えて授業効果を検討することで、授業研究が大きく進展するのです。


本稿では、道徳科感想分析法を利用した授業研究の様子を紹介します。

本授業研究で用いる教材は「日曜日のバーベキュー」です。この教材は、バーベキューのごみを野外に投棄してしまった話です。投棄してはいけないことに気付いたが、そのままにしてしまったことが描かれています。

授業前の感想を分析し可視化する

次の表は、授業研究で用いる教材「日曜日のバーベキュー」を、「授業前」に一回読んだ状態で児童に書いてもらった感想を分析し、感想分析表としてまとめたものです。

感想分析法では、子どもたちの感想を二つの観点から分析し、「感想分析表」と呼ぶマトリックス表にまとめて分析結果を可視化します。

表中の数字は出席番号などを表しています。感想には、複数の異なる内容が書かれることがあるため、同じ番号が複数ある場合があります。(本稿では個人情報の特定を防ぐため、出席番号とは異なる方法でナンバリングしています。)
感想分析表では、左の欄ほど「ねらいの価値」に近く、下の欄ほど「価値を自分ごととして深く捉えた」ことを表しています。

1 ねらいの価値への焦点化のしやすさを考える

本表の横方向の分布を見ると、ねらいである「規則の尊重」に該当する感想を書いた児童が多いことが分かります。
その中で「自ら規則を守る」内容の「規則尊重(青囲みの部分)」と「周りを考えて規則を守る(赤囲みの部分)」内容を含む感想が共に9名、次いで「ごみの投棄」との関連で「自然愛護」の価値を含む感想が4名、その他が4名となっています。
本授業では、「自ら規則を守る」ことをねらいにしています。
感想分析結果からは、マナーなどの「ねらい以外の内容に流れやすい」傾向があることが読み取れます。
「自ら規則を守る」ことに焦点化した展開をする必要があります。

2 価値を自分ごととして捉え易いか考える

本表の縦方向の分布を見ると、価値を自分ごととして捉えることができている感想(表の下の方、CやDの枠)は少ないことが分かります。
また、価値を自分ごととして浅く捉えている感想(上の方、AやBの枠)、他人事のように捉えている感想が多いことが分かります。
価値を自分に当てはめて考える展開をする必要があります。

感想分析法を用いると、授業で対応すべきことが明確になります。

授業前の感想は、授業後の感想と比較できる

授業前の感想は、授業後の感想と比較することで、その授業効果を考えることができます。

授業前の感想分析結果には、教材を読むことによる児童の反応が現れると考えることができます。

授業後の感想分析結果には、教材を読むことによる児童の反応と、授業を経験したことによる児童の反応の二つが含まれます。

つまり、「授業前」と「授業後」の感想分析結果の「変化」が授業による学習効果と考えることができるのです。ここから「授業効果を評価する」ことができはずです。

次稿では、感想分析結果を踏まえた授業展開を構想の様子を紹介します。

☆次の記事はこちらです。


いいなと思ったら応援しよう!