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読曞感想 『䞖玀の資本』 トマ・ピケティ 「幎分の事実」

 自分にずっお、経枈孊は、遠かった。
 経枈ず無瞁で暮らしおいくこずも、珟代では䞍可胜なので、そうやっお、分からないたたな事に、埌ろめたさず、劣等感ず、䜕かを損しおいるのではないか、ずいうような浅たしい気持ちも、ずっずあった。

 同時に、「経枈」をなめらかな口調で語る人たちぞの、䞍信感も、ずっずあった。蚀葉に責任をずらない印象もあったせいだった。ただ、それは、自分の屈折した劣等感も関係しおいるから、そこで、たたもやもやしお、考えを止めおしたいがちだった。

経枈甚語ぞの䞍信感

 幎代の埌半に「リヌマンショック」があった時に、経枈には玠人に過ぎないのだけど、もう資本䞻矩が終わったのではないか、ず思っおしたった。それは、「金融工孊」などずいう蚀葉を聞くようになり、知識的には、自分は無知で語る資栌がないかもしれないが、感芚的には、これたでで、最倧のうさん臭さがあるように思っおいたからだった。

「金融工孊」に察しお、勝手にこんな印象を持っおいた。その理論の組み立お方が、階建おのビルを建おるのに、階郚分たでを䜜っお芋せお、だから、階たででも倧䞈倫ですよ、ず語っおいるように芋えおいた。蚭蚈ず実際にはズレがあるだろうし、それをなんずかしおいくのが、珟堎の力だろう、ずも勝手に思っおいるが、「金融工孊」には、珟堎の力はなく、ただ理論だけがあるず感じおいた。こうしたこずを、私のような玠人がうっかり蚀うず、膚倧な難しい蚀葉での非難はすぐやっおきそうだけど、リヌマンショックは、その幻の土台が厩れたように思っおいた。

 だが、圓然だけど、資本䞻矩がそう簡単に終わるわけもなく、経枈は回埩もしおいった。その時間の䞭で、実䜓経枈、などずいう蚀葉が、私のような経枈に疎い䞊に貧乏な人間にも聞こえおくるようになった。その反察語は、いろいろ蚀われおいるようだけど、個人的には、実䜓がない、のだから、その反察の抂念は、数孊でいえば、「虚数」に近い発想ではないか、ず感じおいた。たた、圢のないものを高く積み䞊げたあずに、「〇〇ショック」が起こるような䞍安がふくらみ、ひっそりずこわさを感じおいた。


「䞖玀の資本」

 この本が話題になっおいたのは、そんな怖さを感じおいた頃だった。
 経枈孊は盞倉わらず遠かったのだけど、その著者の研究方法に興味が持おた。
 過去、幎以䞊の資料を分析し、そのこずによっお「資本䞻矩」を捉え盎す、みたいな蚀われ方をされおいた。私が無知なだけかもしれないが、そんな、膚倧な事実に基づいお、研究をしようずした経枈孊者を知らなかった。

 話題になったこずで、この本に関する解説本みたいなものが、瞬くたに発売されおいた。こういう時は、䜕があっおも、元の本を読んだほうがいいず思っおいた。ずはいっおも、定䟡が円を超えおいるので、図曞通に頌るこずにした。予玄をしたら、半幎かかっお、読むこずができた。次の予玄も入っおいたので、週間でペヌゞ。それだけの厚さのある経枈の本を、自分にずっおは、短期間で読んだのは初めおだった。

 本圓に正確に読めたかどうかは、党く自信がない。
 だけど、始める前は、どうなるか分からなかったはずの研究を、基本を螏たえお、やりきったのは凄いず玠盎に思えた。
 この本のかなりの郚分は、䞖界各囜の、珟圚入手可胜な限りの「課皎蚘録」を集め、分析する過皋を厳密に曞くこずで、ペヌゞが割かれおいるようだった。だから、それは、退屈でもあったのだけど、ずお぀もない手間なのは分かったし、もし、この研究の内容に疑問を持ったり、批刀をしようず考えた人間がいた堎合には、少なくずも同じような方法によっお、再研究できるように、ずいう開かれたルヌルに埓っおいるようにも思えた。

研究されおいなかった理由

 これだけ倧芏暡な゚ビデンス事実・蚌拠に基づいた経枈の研究はあったのだろうか。「資本䞻矩」を研究できるだけの、幎分のデヌタは揃っおいるかもしれないが、それを集める手間や、分析にかかる時間を考えるず、研究しようず決意するのも、倧倉なのではないか、ず思った。ピケティは、研究の察象になっおいなかった理由を、こう述べおいる。

 課皎蚘録の歎史的・統蚈的な研究が孊問的に無人の荒野になっおいるせいだ。経枈孊者にずっおはあたりに歎史的だし、歎史孊者にずっおはあたりに経枈的すぎるのだ。

 ただ、仮説はあったずしおも、その怜蚌の過皋で、どうにもはっきりしないような、そんな結果になる可胜性もあったず思うし、そうなったら、その研究の時間は、ある意味で、無駄になる可胜性もあったのだから、他の誰もが手を぀けなかったのかもしれない。

 クズネッツ以来、栌差の動孊に関する歎史的デヌタを集めようずいう倧きな詊みがたったく行なわれおないこずに気が぀いた。それなのに経枈孊業界は、どんな事実を説明すべきか知らないくせに、玔粋理論的な結果を次々ず吐き出し続けおいた。

シンプルな䞍等匏

 そしお、ピケティの、幎かけたずいわれおいる、その研究の成果は、ずおもシンプルな䞍等匏で象城されるものになった。

 資本収益率が経枈成長率よりも、倧幅か぀氞続に高いなら、過去に蓄積された財産の盞続が珟地点で蓄積された冚である貯蓄よりも優䜍を占めるのはほが避け難い。䞭略rg ずいう䞍等匏はある意味で、過去が未来を蝕む傟向を持぀ずいうこずだ。

 「r」は資本収益率、「g」は経枈成長率だずいうのだが、自分自身の理解ずしおは、資本を持っおいれば、どれだけ優れた劎働よりも、圧倒的に経枈的には有利、ずいう結論にも思えた。だから、栌差は、攟っおおけば無限に広がるずいうこずでもあり、それが、ここ䜕十幎か、そう芋えなかったのは、倧芏暡な戊争があったせいだずいったこずを、幎以䞊のデヌタを元に明らかにしおいる。

 これが事実ずすれば、アンフェアなシステムを、介入なしに、このたたにしおおけば、ただ栌差が広がるだけで、未来に垌望が持おるわけはない。

 いったん生たれた資本は、産出が増えるよりも急速に再生産する。過去が未来を食い尜くすのだ。

 だから、著者が、「䞖界的な資本皎それも环進制」の提蚀をしおいるのも、玠盎な思考の道筋によるものに思えおくる。

 自分で自分の皎率を決める暩利など誰にもない。自由貿易ず経枈統合でお金持ちになった個人が、隣人たちを犠牲にしお利最をかき集めるなどずいうのは正圓ではない。それは窃盗以倖の䜕物でもない。

 この著者が、思想的な郚分での批刀がされおいたのを、幎の幎末から、幎の春たでの半幎間、図曞通での予玄を埅っおいる間に、そんなに関心がない自分でも知るようになったのだけど、この本を読むず、思想に基づいた発想ではなく、あくたでも、「幎分の事実」に背䞭を抌された蚀葉に思えおくる。

 だから、本文の最埌は、こんな蚀葉で締め括られおいる。

 特にあらゆる垂民たちは、お金やその蚈枬、それを取り巻く事実ずその歎史に、真剣な興味を抱くべきだず思うのだ。お金を倧量に持぀人々は、必ず自分の利益をしっかりず守ろうずする。数字ずの取り組みを拒絶したずころで、それが最も恵たれない人の利益にかなうこずなど、たずあり埗ないのだ。




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