芋出し画像

絊湯宀で知った“チル“の正䜓

倏の熱ず高ぶりに、ビヌルの魔法

コヌヒヌ5杯目。
眠気が飛ぶずいうより、ただ惰性で飲んでしたっおいる。
倏の定時、ただただ倖は明るい。  

日䞭の日差しずいう名のビンタをくらい、
少し倖回りに出ただけなのに、
顔や銖の埌ろのあたりに熱が残っおいる。  
床が過ぎた冷房の瀟内に戻っおきおいるはずなのに、
なんずなく熱い、萜ち着かない。

絊湯宀の前たで来たずころで、廊䞋の向こうから若手瀟員の声が聞こえた。

「ちょっず倖でチルっおきたす」

チル

数幎前からよく聞く。  
なんずなく、萜ち着くずか、ゆるむずか、そういう意味なのはわかる。
でも、実際にどういう状態なのかは、いたいちわからない。

䌑む、ずは少し違う気がする。  
サボる、でもない。  
気合いを入れる、ずはたぶん正反察。

どこか
特別オシャレな堎所で
特別オシャレな飲み物を飲んで
特別オシャレに萜ち着く
そんなむメヌゞ

「チルかヌ」

チルチルミチル。  
幞せの青い鳥はどこに。

子どものころに聞いた話を、なぜか思い出した。  
どこか遠くに探しに行った幞せが、実はすぐ近くにあった、ずいう話。

でも、今の私の青い鳥はどこにいるんだろう。
少なくずも、
この5杯目のコヌヒヌの䞭にはいないな。

「  なんか、さすがにコヌヒヌじゃないな」

仮眠を取りたいほどではない。  
でも、このたた仕事に戻るには、
頭が重い、熱い。
少し萜ち着きたい。

その瞬間、奥の物眮で、小さく明かりが揺れた。

叀いファむル、
本䜓のない䜕かのアタッチメント、
誰も䜿わない延長コヌド、
なぜかある高そうな謎の花瓶。

“前任者“達が残しおいった、
“アむテム“達の墓堎。

その奥に、い぀もの小郚屋が 

じゃない
屋台だ屋台があった。

朚補の小さなカりンタヌ
小さなランプ
そしお看板
看板には、控えめにこう曞かれおいる。

『Hop’s Chill Stand』

営業蚱可は総務に怒られるよ


私はしばらく芋぀めた。

「  䌚瀟の物眮で開業しないで」

カりンタヌの奥から、䜕かが顔を出した。

䜓は毬花、蔓を肩に巻いおいる。  
顔はやったら爜やかだった。

「埅っおいたよこの時を  ぀いに  
私はフムルス、癒しの神だ
いや、今は店長だ」

私は埅っおたせん
知りたせん

「君は今から、宇宙ず同期する真のチルを䜓隓するこずになる
副業始めた甲斐があった」

本業じゃないんだ
宇宙ず同期、
もう戻っおこれない気がするんで遠慮したす


「今日も、よく冷えおるキレおるよ」

私の蚀葉は届かないの

神様は小さなグラスを取り出した。  
氷は入れず、よく冷えた瓶を静かに傟ける。

フムルス ルプルス トクトクトク
肩に仙桃乗っおんじゃないのヌ
キレおるキレおるよ
そのグラス次元ごず切っおんじゃないのヌ

ボディヌビルダヌのアレ

淡い黄金色。  
シュワヌず现かい泡。  
ふわっず立぀、青くお少し苊い銙り。
ノンアルコヌルビヌルだった。

呪文掛け声はずもかく
  普通においしそうなのが困る

「この銙りは、疲れた心に効く」

爜やかな喉越し。
コヌヒヌや゚ナドリずは違っお、
尻を叩かれおるような、
远われる、急かされる感じがない。

喉を通ったあず、肩の力が抜けた。
さっきたで頭の䞭でざわざわしおいたものが、
少し静かになった気がする。

  これ、いいかも

「でしょう」

神様は埗意げに胞を匵った。

「ホップは、ビヌルの銙りず苊味を䜜る怍物。
昔から、枕の詰め物になるくらい、
気持ちを静めるハヌブずしおも芪したれおきたんだよ」

ビヌルの材料っおだけだず思っおたら、
ちゃんずしっかり仕事しおるんですね

「぀ぎは呌吞だ。吞っお、吐いお、吞っお、吐いお、吞っお、吐いお、吞っお——」

䜕、このビリヌズブヌトキャンプのノリ

「10回目で悟りが開けるんだ、あず1回」

䜕、このしんどいノリ


そのずき、絊湯宀の入り口で音がした。
「お぀かれ。ただ残っおたんだね。」

むンスタントコヌヒヌの瓶を片手に
ナチュラルに郚長が入っおきおしたった。

「あ、スりゥヌ  
郚長、ハアァァァヌヌ、
お疲れ、スりゥゥヌ、
様ですハアァァァヌ」

「ええ倧䞈倫はちみ぀くん
䜕新型の過呌吞ずか
あた、たさか、ご、ご出産」

萜ち着け、それはラマヌズ法だ
なんだ嫌味か
マタハラがあるなら、
未婚ハラスメントだっお、
声高に叫んでいいよな

「スりゥヌ、気分 
ハアァァァヌヌ転換
には、
呌吞法っお、スりゥヌ
 いいらしくお、
今週の進捗はハアァァァァァァヌ」

「怖いよ、はちみ぀くん
ごめんよ、
業務連絡ず䌑憩を同時にこなさなくおはいけない状況に远い蟌んで」

倧䞈倫です
倧分気分転換できたした

「本圓に倧䞈倫
んそれ、䜕飲んでるの」

ノンアルビヌルです。
差し入れでいただいたや぀で、
郚長も䞀緒にどうですか

「わいいの」

どうぞ
郚長もちょっず萜ち着いた方がいいですから

「ぞさっきの君より」

あ、ううん、
ええ、さっきほら、
“確認事項を確認するための確認䌚”
ずか、ビンタしたくなる事蚀っおたしたから。


「ビンタするほど怒っおる」

あ、いや、たあ、
“確認“が倧枋滞しおたしたね


神様が、新しくグラスにノンアルビヌルを泚いだ。  
私はそれを郚長に枡した。
郚長は䞀口飲んだ。

「あ、うたい
なんか、すっきり、サッパリするね」

ほっ

みるみる郚長の肩が䞋がっおいく。
そしお、もう䞀口飲んだ。

「  そうだね、明日の朝の確認䌚、
なし、でいいか」

私は郚長を二床芋した。
今の䞀口、効きたしたね

郚長はちょっずうれしそうな顔でうなずいた。
「そうか、そうだよね。
あずは必芁なこずだけチャットで」

郚長は空のグラスを返しお、足取り軜く絊湯宀を出おいった。


私は物眮の奥を振り返った。
店長が、満足そうにグラスを磚いお

「では、枕じゃなく曞類にホップの時代かな」

それは混ぜないで。玙詰たりを起こしそう。

私は残ったノンアルビヌルを飲み干した。
ホップの苊味が、舌の奥に残る。  
そのあずに、泡の軜さがすっず抜けおいく。

暑さでこもった熱。  
残業で匵り぀めた気持ち。  
コヌヒヌでなんずか続けようずしおいた頭。
党郚が䞀気に消えるわけではない。  
でも、少しだけ乗っおるものが䞋りる。

私は空のグラスを芋぀めた。

たぶん、これだ。
最近よく聞くけれど、なんずなくしか解っおない蚀葉。

「これが、チルっおや぀か」


もっず遠くにあるものかず思っおた。
どこか特別に倖に探しに行っお、
䜕か特別なものを買っお味わうものかず。
チルは青い鳥ず同じで近くにいた。

どこか遠くある目新しいものでも、
特別なご耒矎でもなく、  
絊湯宀の物眮で飲んだ䞀杯で、
心ず肩は軜くなった。

物眮の扉の奥で、小さく振る手を芋た。

「たた疲れたらいらっしゃい
フムルス、ルプルス」

倏の暑さも
頭に登った熱も  
むラむラも
゜ワ゜ワも
ホッず包んで流しおくれる
そんな、のむ魔法。

枕ほしいな、ちょっず気になるな

ホップっお、偉いんです

ホップ
ビヌルの原料ずしお、苊味や銙りを぀ける圹割がありたす。  
なんなのかよくわからないけど、
ビヌルに入っおるもの。

そういう認識だけでした。
知れば、ホップはかなり頌もしい怍物でした。


ペヌロッパでは、ホップの毬花が、軜いストレスや眠りのサポヌトに䜿われおきた歎史があり、
䌝統的なハヌブ医薬品ずしお

「軜い粟神的ストレスの緩和」
「睡眠を助ける目的」

ずしお䜿甚され、
ホップを詰め物にした枕たであったようです。

ホップの苊味成分ず GABA の関係

GABAは、神経の高ぶりにブレヌキをかける偎の神経䌝達物質。
ホップ由来の苊味成分であるフムロンには、GABA_A受容䜓の働きを高める可胜性が瀺されおいお、鎮静や睡眠に関わる研究も報告されおいるようです。

苊味は“心を鎮める味”

薬膳では、味を五味に分けお考える。

酞・苊・甘・蟛・鹹。

この䞭で、苊味は
心粟神や意識、自埋神経を叞る
をサポヌトする圹割ずされる。

倏は暑さで䜓に熱がこもりやすく、気持ちも高ぶりやすい季節。  
寝぀きにくい。  
むラむラする。  
頭ががんやり熱い。  
なんずなく萜ち着かない。

そんな時期に、
苊味のあるものを少し取り入れるこずで、
こもった熱や高ぶりを鎮める、
䞊った熱を䞋す、
ずいう考え方がありたす。

ゎヌダ、緑茶、苊味のある野菜。  
そしお、ホップ。

西掋ではハヌブずしおリラックスや眠りのサポヌトに䜿われ、  
東掋では苊味ずしお心を鎮める方向に重なる。

文化は違っおも、苊味が「少し萜ち着く」に結び぀いおいるのは、おもしろい。

倏の日差しケアに  ãƒ¬ãƒƒãƒ‰ã‚¢ã‚€



ビヌルずトマトゞュヌスを合わせる、赀いビアカクテルです。
今回の䞻圹は、ホップの銙りず苊味。
ビヌルもいいけど、
ノンアルビヌルで
「少し萜ち着く時間」を䜜る。


材料1杯分

・ノンアルビヌル 150ml  
・トマトゞュヌス 150ml  
・レモン汁 小さじ1  
・顆粒コン゜メ ひず぀たみ
・黒こしょう 少々  
・氷 適量  

お奜みで  
・タバスコ 1〜2滎  
・りスタヌ゜ヌス 2〜3滎  
・セロリスティック 1本  

䜜り方

1. グラスに氷を入れる。  
2. トマトゞュヌス、レモン汁、顆粒コン゜メ、黒こしょうを入れお軜く混ぜる。  
3. ノンアルビヌルを静かに泚ぐ。  
4. 泡を぀ぶさないように、スプヌンを䞋から䞊ぞ䞀床だけ持ち䞊げる感じで混ぜる。  
5. 奜みでタバスコやりスタヌ゜ヌス

汗をかいた日なら少しだけ塩を効かせおもいいし、倜に軜く飲みたい時は控えめでもいい。


ホップの銙り。  
ほどよい苊味。  
泡の満足感。  
冷たい䞀口の気分転換。

䌚瀟の物眮にチルスタンドが出るかどうかは別ずしお、  
家の冷蔵庫に䞀本あるだけでも、だいぶ助かる倜がある。

トマトの赀い色のもずであるリコピンは、倏の日差しを济びる季節に抗酞化力ずしお意識したい成分。
薬膳においおも、暑さでこもった熱を冷たし、枇きを最す。倏にもっおこいな圹割。

日差しを济びた日。  
䜓の䞭に熱が残っおいる日。  
軜く敎えたい倜。

そんな時にぎったりの䞀杯です。

いいなず思ったら応揎しよう

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