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なぜ朝顔は朝に咲くのか?──朝顔は光ではなく「暗闇」を数えていた! @チコちゃん(元教授、定年退職847日目)

朝・昼・夕・夜、4つの「顔」を持つ花たちの秘密

皆さんは、「朝顔」と聞いて何を連想されるでしょうか。私がすぐに思い浮かべたのは、「昼顔」や「夕顔」と何が違うのだろう、ということでした。調べてみてまず驚いたのは、これら以外にも、咲く時間帯の異なる「夜顔」があることでした。また、この4つの中には仲間外れがいて、それが「夕顔」です。この花だけはウリ科で、その果実はいわゆる干瓢に加工されます。それ以外はすべてヒルガオ科で、「朝顔」と「夜顔」はその中のサツマイモ属です。さらに、「朝顔(あさがほ)」については万葉集にも詠まれた歌が複数ありますが、実は現在の朝顔ではなく(まだ日本に渡来する前?)、桔梗を指しているという説が有力なのだそうです。桔梗の清冽な青紫色と、朝露を帯びて咲く姿が「朝の気品ある顔」にふさわしいと見なされていたようです。いやはや、驚きました。


夏休みの定番、「朝顔」の絵日記

ということで、今回は「朝顔」について、NHK『チコちゃんに叱られる!』の特集を視聴しました。朝顔といえば、個人的には夏休みの宿題の定番として、絵日記に描いた記憶がありますが・・・休みの最後にはどうなっていたのでしょうか。途中で枯らしてしまったような気もします。ただ、家の近くの路地にはたくさんの朝顔の鉢が並んでいて、まさに昭和の原風景でした(とはいえ、最近でも自宅近くの小学生たちが、1学期の終業式のあとに朝顔の鉢を持ち帰っていましたので、今でも絵日記は続いているのかもしれません)。奥様に朝顔について聞いてみると、昨日の蝶の幼虫の話題とは違い、「これといった思い出はない」と気のない返事でした。まあ、いつも身近にあり、普通に生活の中に溶け込んでいたということなのでしょう。(タイトル写真、下写真もどうぞ:注1)

『チコちゃんに叱られる!』で、朝顔の特集(注1)

<追記1> 少し思い出したのは、子どもの頃、夏の朝に「ほおずき・朝顔市」に連れて行ってもらったことです。夏の風物詩ですが、私もなぜかあまり印象に残っていません。食べ物の屋台が少なかったからかもしれません(笑)。


『チコちゃんに叱られる!』で知る、朝顔は光で咲かない

さて、番組ではチコちゃんから、「なぜ朝顔は朝になると咲くの?」という質問がありました。私は、「それは簡単だ。朝の日光を感知して開花するのだろう」と思っていました。しかし、専門家である九州大学の仁田坂先生によると、直接的な引き金は朝の明るさではないというのです。実際には、その前にある「約 10 時間の連続した暗闇」がトリガーになっているといいます。つまり、光を感知して咲くのではなく、暗闇の長さを「測っている」というのです。


光ではなく「闇」を測る植物の時計──朝顔のしたたかな生存戦略

仁田坂先生は続けます。朝顔がなぜ「光を待つ」のではなく、「暗闇を数える」という戦略を進化させたのか。その根本には、受粉を効率よく行うという目的があるそうです。花粉を媒介する虫たちが活動を始める早朝には、すでに完全に開花した状態で待っていたいのです。朝顔は自分の花粉でも受粉できますが、そればかりでは近親交配が進み、次第に遺伝的な多様性が失われて弱くなってしまいます。そのため、できるだけ虫に花粉を運んでもらいたいので、虫たちが動き始める早朝に咲くというわけです。一般に、花が開くまでには 30 分から1時間ほど必要です。もし朝の光を感知してから準備を始めたのでは、虫の活動が活発になる時間帯に間に合わず、「出遅れ」が生じてしまいます。そこで採用された戦略が、暗闇の時間を計測し、約 10 時間後に開花のプロセスを自動的に始めるというものです。これにより、日の出を待たなくても、虫が活動を始める最適な時間帯に開花を合わせることができます。内部の生物時計に基づいた、いわば「予測型」の戦略なのでしょう。しかし、本当にそんなことができるのかと疑問がわきました。(下写真もどうぞ)

朝顔は、光ではなく「闇」を測っている?(注1)


実験が解き明かした意外な真実: 暗室に入れた朝顔は夜に咲く?

仁田坂先生はこのメカニズムを確かめるため、次のような実験を行いました。まず午前 10時45分 に、朝顔のつぼみを完全な暗室へ移します。もし「10 時間の暗闇」がトリガーになるのであれば、10 時間後の夜 8時45分 ごろに花が開くはずです。そして実際に 10 時間後、実験室を訪れてみると、きれいに開いている朝顔と、まだ半分ほどでこれから開こうとしている朝顔がありました。基本的には大成功です。予測どおり、朝顔は夜 8時45分 ごろ、暗闇の中で開花したのです。これによって、「開花のトリガーは朝の光ではなく、一定時間続いた暗闇である」ということが実験によって確かめられました(ちなみに、本実験では2〜3日かけて開花周期を調整したそうです)。(下写真もどうぞ)

仁田坂先生が、このメカニズムを確かめるために行った実験(注1)

<追記2> 朝顔の葉や花には光を感知する仕組みがあり、暗い時間の長さの変化を感じ取っています。夏至を過ぎて夜が少しずつ長くなり始めたことを感じると、朝顔はつぼみを作り始めます。そして7月下旬ごろから花を咲かせるのですが、暗くなってからおよそ 10時間後に開花します。そのため実は、7月と8月では花の咲く時刻が違うのだそうです。7月下旬では、夕方 6時45分 ごろに暗くなると、その約 10時間後、朝 4時45分 ごろに花が咲きます。一方、8月の終わりになると、夕方 6時15分 ごろには暗くなるので、その約 10時間後、朝 4時15分 ごろに花が咲くそうです。(下写真もどうぞ)

7月と8月では咲き始める時間が違う(注1)


「光で咲く」は私の思い込みでした

いやあ、素晴らしい実験でした。私の「光が原因」という思い込みは、完全に間違っていました。こうなると、さらにいろいろな疑問がわいてきます。どうやって「夜の始まり」を起算点としているのでしょうか。暗闇の長さを、どのように「カウント」しているのでしょうか。また、夜顔や夕顔は夕方から夜間にかけて開花しますが、こちらはどのような仕組みなのでしょう。これらも気になります。ちなみに、夜間に開花する夜顔や夕顔が、ともに「白い花弁」を持ち、夜顔の場合は「強い芳香」を放つことにも、受粉を助ける虫たちの活動が関係しているようです。つまり、暗闇でも目立ちやすい白い花と、遠くまで漂う香りによって、夜行性のスズメガ類などを誘い寄せているのです。


番組後半では、仁田坂先生がお好きだという「変化朝顔」の世界も紹介されていました。江戸時代から続く品種改良によって、突然変異を利用した実に多様な朝顔が生み出されてきたそうです。映像で拝見する限り、知らなければとても朝顔とは思えないほど、大きく姿を変えたものだらけでした。面白いことに、その独特な形や特徴が、そのまま長い名前に反映されていました。たとえば、「青林風飛龍葉白総管弁流星獅子咲牡丹」などです。いやあ、楽しそうな世界ですね。それでは、また。(下写真もどうぞ)

「変化朝顔」の世界:上は江戸時代のもの、下は仁田坂先生の変化朝顔(注1)


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注1:NHK『チコちゃんに叱られる』の特集「アサガオの謎」より
(番組ではカタカナで表記されていましたが、本稿では漢字にしました)

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