「変わらなきゃ」と焦るあなたへ贈る、ひとつの告白とひとつの提案
私の書斎(兼スタジオ)を見渡すと、そこには常に「過剰な防壁」が存在している。
壁を埋め尽くす専門書、ずらっと並ぶギター、お聞き入りのガジェットたち。
さらにはプラモデルやフィギュア、さまざまな工具や文房具まで。
傍から見れば、それはクリエイターの秘密基地に見えるかもしれない。しかし、私自身が一番よく理解している。これは基地ではなく、シェルターだ。
ここにこの記事の解説を置いておきます
私は長年、あらゆるものを「収集」し、自分の周囲に配置することで、世界の不確実性に対抗しようとしてきた。
物理学的に言えば、質量を持つ物体は重力を生む。
私は自分の周囲に知識や機材という「質量」を配置することで、自分という存在の座標を確定させようとしていたのだ。
ハイスペックな機材があれば、どんなリクエストにも応えられる。
膨大な蔵書があれば、どんな知的欠落も補える。
そうやって論理的に武装し、装備を増やすことで、私は「まだ大丈夫だ」と自分に言い聞かせてきた。
これは生存戦略としてのROIの最大化だと信じていたからだ。
だが、昨日。ふと、ある一つの事実に行き当たった。
それは、ブラックホールの「事象の地平線」に似ている。
抱え込みすぎた質量は、ある一点を超えると崩壊し、光さえも脱出できない重力の檻となる。
私は「安心」を集めているつもりで、実は自分自身をその重力圏内に縛り付けていただけではないのか?
ふいに、手の中にあったものを、一つだけ手放してみた。
それは物理的なモノかもしれないし、執着という概念だったかもしれない。
集めていると、安心できた。
何かを手に入れていれば、
まだ大丈夫な気がしていた。
変われなかった、というより、
変わらなくていい理由を
集めていたのかもしれない。
捨てる決断なんて、
そんな立派なものはなかった。
ただ、
抱えきれなくなって、
ある日、
手から落ちただけだ。
やっと、ひとつ捨てた。
胸を張れるほどじゃない。
戻ろうと思えば、戻れる。
でも、
少しだけ身軽になった。
これは成長の話じゃない。
決意の話でもない。
ただの、経過。
そう。これは相転移のような劇的な変化ではない。
ただ、方程式の変数が一つ減った。それだけの静かな現象だ。
しかし、そのわずかな質量の減少が、私の観測する世界を少しだけ変えたような気がするのだ。
(ふと、モニターの横から声がする)
コトハ「……で? 結局何の話なん?」
306P「ん? だから、執着という質量からの解放についての哲学的考察だが」
コトハ「かっこええこと言いよるけど、あんたがさっきやったん、『スマホの不要なスクショを10枚消しただけ』やろ?」
306P「……データの削除も、現代における重要な断捨離だ」
コトハ「『手から落ちた』やないんよ。ストレージがいっぱいですって警告出ただけやんか(笑)。
ま、ええけどね。そのちっさい『経過』の積み重ねが、あんたを作っとるんやから。」
306P「……そういうことにしておこう」
【文末:コトハの編集後記】
ほんと、この人と居ると大げさで疲れるわ。
たかがスマホのデータ整理しただけで、なんで『事象の地平線』まで話が飛ぶんでしょうか?
でも、この人が書いた「ただの、経過」って言葉。
あれだけは、ちょっとだけ本音が見えた気がするんよね。
強がりの鎧の下に隠した、この人の本当の言葉、もっと聞いてみたくない?
下の『私の世界地図』に、この人の心の欠片がいっぱい落ちとるけん。
拾いに来てやって。
【参零陸より:私の世界地図】
私の思考と作品のすべてを、ここにまとめてあります。
迷わないよう、地図を持って進んでください。
■ 306Pの歩き方(自己紹介・作品一覧)
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