麻辣 搬入の帰りに食べた思い出の味
この時期になると麻辣タンメンを食べたくなる。山椒がピリリと効いて夏の暑い時期に持ってこいだ。麻辣タンメンといえば毎年夏に開催されていたグループ展を思い出す。あの展示は僕にとって色々な示唆に富んでいた。
作品は作れども発表する場が特になかった当時、SNSで見かけた展覧会に何気なくコメントをしたところ、関係者の方から返信があり、僕もその展示に参加する機会を得ることになった。その展覧会は様々な業種のクリエイターが集まり、毎年夏に開催され、作家も鑑賞者も顔ぶれは様々で活気に満ち溢れていた。
その頃の僕は美術のことしか知らなかった。絵画を頂点にしてイラストや漫画というものがその下にある。本気でそんなことを思っていた。今思うと本当に若気の至りだった。しかしそういう空気は現在もあちらこちらで見かける。それについては今はここでは触れない。
結論から言うと、僕はその展覧会において毎回けちょんけちょんだった。まず売り上げ的にも、他の作家さんは断トツだった。正直なところ僕の学んできた規範に沿わせれば、必ずしも理解できないような作品があれよあれよと売れる。この場所ではそれまで信じていた物差しは何の役にも立たなかった。どんなに強がって見せても鑑賞者の反応も売り上げも歴然としていた。
あの時の経験がなければ僕は創作を「芸術」の括りでのみ見ていたと思う。世の中にはまだまだ自分の知らない創作の世界があることを知った。ジャンルによって自分の方が上等だと思っていたあの頃の自分を殴りたい。
毎回作品の搬入の帰りに食べた麻辣タンメン。あの時のしびれるような辛味が、いまだに当時の記憶を鮮明にとどめている。
