月の少年 第1部 No.1 1-4話
第一話「落ちてきた少年」
宇宙は、静かだった。
無数の星の中に、月がひとつ、浮かんでいる。
そこへ、小さな影が近づいてくる。
少年だった。
音もなく、少年は闇を落ちていく。やがて月の重力に引かれ、その速度が増していく。
ヒュッ、と風を切る音がした。
白銀の大地が、みるみる近づいてくる。
ドサッ。
少年の身体が、月の砂に沈んだ。舞い上がった砂埃が、ゆっくりと、重力の弱い空気の中を漂っていく。
目を覚ますと、灰色がかった白銀の大地が広がっていた。空は黒く、星がやけに近い。
少年は身体を起こし、あたりを見回した。ここがどこかも、自分がなぜここにいるのかも、わからなかった。
ふと、大きな影が近づいてくる。
白い、大きなうさぎだった。タキシード服を着ている。しゃべらない。
少年はとっさに、足元の枝を拾った。攻撃するためではない。ただ、自分を守るためだった。
うさぎは動じず、じっと少年を見つめている。
やがて、二人の視線が重なった。
その瞬間、うさぎの首にかけられた古い時計が、1分だけ時間が進み、カチッと音を立てた。
気づいたのは、少年だけだった。
うさぎが、ふいに歩きだす。
少年は「待って」と、その背を追いかけた。
第二話「かぐやとの出会い」
うさぎに続いて、少年は月面を歩いていた。
灰色の大地の向こうに、やがて白く輝く城が見えてきた。見たこともない、静かで美しい造りだった。
近づくにつれ、大きな門がひとりでに開いていく。
中から、ひとりの少女が出てきた。
かぐや姫「おかえり」
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