おひとり様のスイーツレシピ(8)|簡単キャロットケーキ
この先ひとつだけしか野菜が食べられなくなるとしたら、何を選ぶか。
私はたぶん、ニンジンを選ぶ。
一人暮らしで重宝している野菜で真っ先に思い浮かぶニンジン。食卓に出ない日はほぼない。
サラダとしてサンドイッチの具に、きんぴらとしてお弁当のおかずに、煮物やシチュー、野菜炒めまで。どんな料理法でも使える。彩りもいい。それに日持ちもするし栄養価も高い。
我が家の冷蔵庫の野菜室には、いつだってニンジンの定位置がある。しかし、この「いつも外さない万能選手」への信頼が厚すぎるせいか、真面目に買い置きをしすぎて、気づけば何本もダブらせてしまうことがあった。
今日もそうだ。
野菜室を開けると、まるでバトンを繋ぐかのように、新旧のニンジンたちが狭いスペースで行儀よく並んでいる。もちろんサラダやきんぴらにして食べるが、さすがにそれだけでは飽きてしまう。
何かいつもと違う目新しい食べ方はないかと考えた時、そういえばニンジンを使って作るケーキがあると思い出した。
ニンジンをすりおろして生地に混ぜ込んだキャロットケーキ。
毎日ニンジンを食べているのに、キャロットケーキは今まで食べたことがなかった。
「野菜はおかず」という固定観念のせいか、あえてスイーツの選択肢にニンジンを組み込む発想がなかった。しかし、すりおろしたニンジンを生地に混ぜ込んで作るというそのレシピは、今の私にとって救世主のように思えた。
食べたことがないのなら、ちょうど良い機会だ。冷蔵庫の在庫処分という現実的な目的を大義名分に、私はキャロットケーキ作りに挑戦してみることにした。

まずボウルに油大さじ1、牛乳大さじ1、砂糖大さじ1.5を入れて、よく混ぜてから、そこへニンジンを約30gを直接すりおろしていく。


すりおろしたニンジンを混ぜたら次は薄力粉30g、ベーキングパウダー小さじ1/3。一人分で量が少ないから、粉をふるわずそのまま入れる。そこへシナモンと刻んだくるみを入れてさっくりと混ぜる。


鮮やかなオレンジ色の生地。
いつもと違うポップな色合い。その鮮やかさが、おもちゃのブロックのようにも見えてくる。

クッキングシートを敷いた容器に混ぜた材料を入れ、電子レンジ600Wで1分50秒ほど加熱する。

容器から取り出し、冷ましてる間にフロスティング(表面に塗るクリーム)を作り、食べる前にケーキの上に塗れば完成。




オーブンではなく電子レンジで作ったので、食感はふんわりもちもちとしている。ただ、売っているキャロットケーキを食べたことがないので、どうなったら正解なのか分からない。
それでも、これはこれで素朴なおやつという感じがした。
ニンジンのオレンジ色が生地にじんわりと滲んでいて、見るからに野菜が入っているとわかる。
一番強く感じるのはシナモンの香りだ。ひと口食べるたびにふわりと広がって、シナモン好きにはたまらない。上に塗ったフロスティングの酸味も加わり、甘いだけではなくさっぱりと食べ進められる。
そして不思議だったのは、ニンジンを食べている感覚がほとんどないことだった。サラダやきんぴらのニンジンは、もっと存在感がある。噛めば甘みや香りがあって、「今、ニンジンを食べている」とはっきりわかる。
けれどキャロットケーキのニンジンは、生地の中にすっかり溶け込んでいた。味として前に出てくるわけではないのに、生地をしっとりさせ、やさしい甘さを作っている。
毎日のように食べている野菜なのに、まだこんな姿が残っていたのかと思う。少し大げさかもしれないけど、長年の知人に意外な特技を見つけたような気分だった。
完璧なキャロットケーキではなかったかもしれない。
それでも、ニンジンを買いすぎた失敗から始まったはずなのに、気づけばニンジンの新しい使い道をひとつ覚えていた。
冷蔵庫のニンジンたちは、ちゃんとおやつになった。このレシピを覚えたのだから、これからは買いすぎても大丈夫だと思った。
そして、そう思った瞬間に気づく。それはつまり、また買いすぎるということだ。我が家の野菜室に、ニンジンの定位置はこれからもなくならないだろう。
【キャロットケーキの作り方】
材料(270mlのスクエア容器 1個分)
・ニンジン(すりおろし):30g〜40g
・薄力粉:30g
・ベーキングパウダー:小さじ1/3
・砂糖:大さじ1
・サラダ油:大さじ1
・牛乳または豆乳:大さじ1.5
・シナモン:少々
・くるみ(粗く刻む):5gほど(なくてもOK)
・ナツメグ:あれば
〈フロスティング(表面に塗ってるクリーム)材料〉
・クリームチーズ:大さじ1
・砂糖またははちみつ:小さじ1
作り方
1.ボウルにサラダ油・砂糖・牛乳(または豆乳)を入れてよく混ぜる。
2.ニンジンをすりおろして混ぜる。
3.さらに薄力粉・ベーキングパウダーを加えてさっくり混ぜる。
4.くるみ、シナモンを加えて軽く合わせる。
5.クッキングペーパーを敷いた270mlのスクエア容器に生地を流し入れる(ラップなし)。
6.600Wで1分50秒ほど加熱。中心がふんわり膨らみ、竹串を刺して生っぽい生地がつかなければOK。
※加熱しすぎると固くなるので、やや早めに止めるのがコツ。
7.クリームチーズ大さじ1、に砂糖(またははちみつ)小さじ1を混ぜてフロスティングを作り、冷ましたケーキの上に塗る。あればナツメグを少し振る。
使った容器はこちら
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