南鳥島の海底に眠るレアアース泥は、どのように生まれたのか
日本最東端の南鳥島周辺には、水深約5,600~5,800メートルの海底に、イットリウムなどを高濃度で含む「レアアース泥」が存在する。海底から海面までの深さは富士山の高さを大きく上回る。
この泥ができた背景には、約3,400万年前に起きた地球の寒冷化と、太平洋プレート上にある巨大な海山が関係している。寒冷化によって海洋循環が活発になると、栄養分を多く含む海洋深層水が流れ始めた。その深層水が巨大な海山にぶつかり、海面近くまで湧き上がる「湧昇流」が発生したと考えられている。
栄養豊富な海水によってプランクトンが大量に発生し、それを食べる魚も増加した。魚が死ぬと、骨や歯などのリン酸カルシウム粒子が海底へ沈んでいく。この粒子には、海水中にわずかに含まれるレアアースを長い時間をかけて吸着する性質がある。こうしてイットリウムなどが濃縮され、超高濃度のレアアース泥が形成された。
太平洋プレートは長い年月をかけて西へ移動しているため、レアアースを含む堆積物もプレートとともに現在の南鳥島周辺まで運ばれてきたとみられる。
南鳥島には、採取した泥を脱水・乾燥させる基地を整備できる可能性もある。海底のレアアース泥は、陸上鉱山に比べてウランやトリウムなどの放射性元素が少なく、精製しやすいことも大きな利点だ。2026年には水深5,569メートルの海底から連続して泥を引き上げる試験にも成功した。
南鳥島のレアアース泥は、太古の寒冷化、海底火山、深層水、プランクトン、魚の骨という壮大な自然の連鎖によって生まれた、日本にとって貴重な海底資源なのである。
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